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紫外線と海水浴に伴う皮膚病
2005,03,27, Sunday
皮膚病AtoZ 「紫外線と海水浴に伴う皮膚病」
2001年7月熊本県でビブリオ・バルニフィカス(Vibrio
vulnificus)感染症の死者を含む患者が発生したとの報道がなされて話題になりました。このビブリオによる感染には、汚染した海産物を十分に加熱
しないで食べる(経口感染),あるいは,ビブリオを含んだ海水に傷口をつける(経皮感染)二つのタイプがありますが、ほとんどは前者のようです。健常人で
もビブリオ・バルニフィカス(Vibrio
vulnificus)が,口から入ることにより,嘔吐・腹痛・下痢を起こすことがあります。免疫力の低下した人(肝炎や肝癌、ステロイド治療中の方な
ど)では,ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio
vulnificus)は,発熱・悪寒を伴う敗血症を起こし,急激に皮膚の水疱・低血圧・ショック状態などが進行し、死亡する場合もあります。壊死性筋膜
炎などを起こす状態から、人食いバクテリアと恐れられています。さて、今回は海水浴に伴う皮膚病についてのお話です。1)日焼け(sunburn):やけどと同じです。
以 前は小麦色の肌がもたらす健康的なイメージに多くの人が憧れました。また、食糧事情がよくなかった時代には日光浴によって活性型ビタミンDを作る目的も あったのか、子どもたちは日光浴を推奨されていました。しかし、現在では紫外線はシミやシワをはじめとする皮膚の老化を早めたり、発ガン性も有しているこ とが広く知られており、いかに紫外線を防御するかということが重要になってきています。日焼けにはサンバーン(sunburn:紫外線に暴露した直後に現 れる赤い日焼け、主にUV-Bによる)とサンタン(suntan:赤い日焼けが消えた後に現れて数週間から数ヶ月続く黒い日焼け、主にUV-Aによる)が あります。紫外線量は6月~8月にかけて、1日のうちの正午をはさむ数時間で最大になります。サンバーンは私たちが感じることの出来ない紫外線によって出 現します。暑さを感じるのは主に赤外線によるものですから、灼熱の状態でなくてもサンバーンを起こしますので注意しましょう。ゴルフや釣りなども要注意で す。日頃から、
①長袖の衣服、②帽子、③サングラス、④日焼け止め、⑤日傘などを効果的に利用しましょう。サンバーンを起こすと、幹部は真っ赤になりヒリヒリ痛みます。症状が強いと水疱が出てきます。夏場の外出ではサンスクリーン(日焼け止め)をお使いになるほうが良いでしょう。また熱中症に備えて、水分補給をお忘れなく...。
また各種検索サイトからも紫外線情報が簡単に得られます。
①冷却:流水、冷水、アイスノン、カーマインローションなど
②ステロイド外用剤(軟膏)の塗布:軟膏基剤を選んでください。クリームでは刺激を来たします。
③ひどい場合にはステロドや消炎鎮痛剤の内服:早めに病院を受診しましょう。痛みが早く軽減します。
紫 外線(主にUV-B)に暴露されて、数時間後には皮膚にうっすらと赤み(紅斑)がでますが、この広範をもとにサンスクリーンの紫外線防御効果(SPF: Sun Protection Factor)が決められています。(サンスクリーンを塗った時の紅斑が出現するまでの時間)=(サンスクリーンを塗らなかった時の紅斑が出現するまでの 時間)×SPFと考えればよいので、平均的な日本人の場合は真夏の強い紫外線のもとでは素肌は15分から25分で紅斑が出現しますので、SPF15のサン スクリーン使用により、紅斑が現れるまでの時間はその15倍の時間、すなわち4時間から6時間かかります。この表示は1cm2あたり2mg外用した時の効 果ですから、しっかり外用し、時に塗りなおしをしないと確実な効果は得られません。一方、PAはUV-Aに対する効果で、+から+++までの3段階表示で す。通常はSPF10~20を基本とし、アウトドアスポーツなどでは30~50で耐水性の高いものを選べばよいでしょう。また、肌が敏感な方は紫外線吸収 剤を含まないものを選ぶようにしましょう。
1)プランクトン皮膚炎:海水浴皮膚炎とも呼びます。
海 水浴に行って生じる皮膚炎のなかには、クラゲに刺されたり、日焼けなど原因が本人に分かるものが多いのですが、海水浴皮膚炎(sea bather's dermatitis)といって、水着の中に入り込んだプランクトンなど原生動物の幼虫(主にコメツキダニの幼虫のゾエア)により生じる皮膚炎は本人に はっきりした自覚がありません。これは海水浴の当日の夜から翌日に、水着に覆われた部位(腰や臀部)にかゆみの強い赤いブツブツした発疹ができるもので す。患部にはステロイド外用剤を塗ります。
2)クラゲ刺傷:Jerryfish Dermatitis
クラゲを始 め、イソギンチャク・サンゴなどは刺胞動物(腔腸動物)と呼ばれます。触手には刺胞という「トゲ」のようなものがたくさんついていて、その刺胞の中には毒 液が含まれています。一本の触手が触れると数千の刺胞が皮膚に刺さり、刺胞がはじけて中の毒が皮膚内に入り強い炎症を引き起こします。日本で、人を刺すク ラゲが大きく成長するのは8月頃からです。多いのはカツオノエボシ、アンドンクラゲ、アカクラゲです。刺されると患部がムチで打たれた痕のように線状(み みず腫れのよう)に赤く腫れます。時にハチ毒と同じように、アナフィラキシー症状で呼吸困難など激しい症状を来たすことがありますので注意が必要です。ク ラゲに刺されたら、刺胞がはじけないように触手を取り除くことが重要です。先ず、タオルなどやわらかい布(素手で行なうと刺される場合があります)で軽く 拭くように海水を使って触手を洗い流し取り除く(真水で洗うと、浸透圧の関係で刺胞がはじけやすくなります)ようにします。このとき絶対に強くこすらない ようにすることが重要です。 クラゲの毒液はアルコールにも弱いといわれ、海水で洗った後に、アルコール類をかけるのもよいという説もあります。温めたタオルなどで患部をおさえると、 疼痛が和らぐようです。放置すると、初期の痛みが引いた後に皮膚に刺さった刺胞が時間とともに破れて再度赤みや痛みが出てきます。時に二次感染を起こして 化膿したり、強い炎症のあとに潰瘍を作り、ケロイド状に盛り上がることもあります。早めに皮膚科を受診しましょう。
3)ウニ刺傷:Sea-urchin Dermatitis
ウ ニとヒトデは同じ棘皮動物に分類されるもので同じ性質の棘を持っています。ウニの1種(Globiferous pedicellariae)は,人間の皮膚をも貫く顎を備えた毒物器官を持つそうですが,実際の被害はまれとのこと。やはり、はるかに多いのはウニの棘 による受傷で,棘が皮膚の中で砕けて局所に炎症を起こします。除去しなければ,棘はさらに深部の組織へと入り込み,肉芽腫性病変(硬いしこり)を生じるこ とがあります。異物肉芽腫だけでなく、中には非定型坑酸菌が検出される症例もあるようです。ウニの棘はできる限り直ちに除去すべきです。また棘が大きいと きにはX線で見える場合もありますので、取り残しが無いかどうかの確認に有用です。表面の棘のほとんどが酢で分解されることから、日に数回,酢の中で傷を 洗い,酢で湿らせた圧迫ガーゼを当てておくとよいとも言われます。棘を抜き取るために小切開を要することもあります。ヒトデもそうですが、ウニの被害は海 岸を素足で歩いたり、素手でウニを採取しようとして生じます。
2005年03月27日