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水虫治療の実際

皮膚病AtoZ 01号「水虫治療の実際」
水虫は水虫菌(主に白癬菌という真菌:カビ)がケラチンからなる皮膚の角質や爪に感染・寄生して起きるものです。食べ物にカビがつく場合も同じですが、高温多湿といった環境で発育しやすいので、夏の季節に悪化しますし、靴や靴下をはくために蒸れやすい足によく見られます。以前に基礎的なお話をしましたので、今回はより当院で行っている実践的な治療について述べます。

1)診断:皮膚や爪の一部をメスで削り、真菌(カビ)が顕微鏡で見えるかどうかを検査します。痛みはございませんので安心してください。真菌(カビ)の成分が認められて初めて水虫と診断できます。見つからなくても、その時に偶然見つからなかっただけという可能性がありますので、水虫ではないと即断は出来ません。出来るだけクスリを使用しない状態で来院下さい。日を変えて検査をして水虫かどうかを確定してゆきます。

2)治療法の選択:皮膚だけの場合と爪にも水虫がいる場合では治療法が異なります。
① 足白癬症(足水虫):塗り薬(クリーム)が基本です。完治を目指して、完全に水疱やがさがさが無くなってからも数ヶ月以上は塗り続けます。全ての足趾の股から足の裏、足のへりに薄く広くを基本に毎日風呂上りに外用します。
・ 趾間型:かぶれやバイ菌が入って化膿している時には、そちらの治療を最初に行います。
かぶれ:ステロイド外用剤や亜鉛華軟膏
バイ菌による化膿:抗生物質の内服や外用
・ 角質増殖型:内服薬や尿素軟膏(角質を薄くして、薬剤の浸透を高める)などを併用しないと治りにくいタイプです。
② 爪白癬症(爪水虫):飲み薬が基本です。爪には薬が中々吸収されないためです。主に下記の2種類が使用されます。昔の薬(グリセオフルビン)に比べると治癒率が高くなっていますし、副作用も少なくなっています。さらに薬剤の角質への親和性が高い(長く爪に留まる)ため、実際に内服している期間がぐんと短くなりました。但し、爪の治り方の基本は、爪の根元から新しいきれいな爪が生えてきて、段々と汚い濁った厚い爪の先へ進んで割合が少なくなるというものです。治るまでの期間は、その人の爪の伸びる速度や爪が縦にどれくらい真菌に侵されているか(変形・変色しているか)によって異なります。足の爪は1ヶ月で約1mmしか伸びません。そのために治癒までにはどうしても数ヶ月以上の期間がかかります。ご本人のスタイルに合った薬剤を選んで始めましょう。
・ イトリゾール®:1回4カプセルを1日2回、7日間(1週間)内服し、3週間お休みするというサイクルを3回繰り返すパルス療法が主体です。薬剤の相互作用(飲み合わせ)に注意すること。薬剤費が高めです。
・ ラミシール®:現時点では、1日1回1錠を食後に内服するのを約6ヶ月続ける方法が主体です。時に肝機能障害や味覚障害。薬剤相互作用が少ないのと薬剤費が少し安価なのが利点です。
*薬剤内服開始前に採血を行って、肝臓などの機能の評価を行います(以後の採血結果との比較に必要です)。
*現在の内服薬をお教え下さい。

3)爪白癬症(爪水虫)の治療効果をあげるための方法
同じ爪水虫でも、爪の伸びが遅い高齢者、極度に厚い爪、爪床から浮き上がった爪(爪甲剥離)、爪の両端の病変、縦に細長く病変がある爪、などは内服薬剤の病変への移行がよくないなどの理由で治りがよくないとされています。少しでも改善するために、爪の表面をルーター(やすりの付いたドリル)で削ってゆきます。その上から坑真菌剤(液剤)を外用します。爪の表面が白く混濁する表層混濁型では特に有効です。

4)再診時に行うこと
採血:特にラミシール®については内服開始1ヵ月後と2ヶ月後の採血が義務付けられています。また、体調不良などを認めた際にはお申し出下さい。適宜採血などで確認をいたします。また、内服終了時にも確認をいたします。
爪削り:厚い爪は治りにくいので、時々爪表面を削って、薬剤の浸透を助けます。水虫になると爪は脆くなっていますので、先端の切りすぎに注意してください。
顕微鏡による真菌検査:内服中や内服終了後にも時々真菌検査を行い、薬剤の効果などを確認します。
副作用や合併症が無いか、クスリの効果を確認:水疱やがさがさが無くなったかどうか?爪の根元に新しい爪が生えて爪の混濁が減少しているかどうか?を過去の写真と比較してゆきます。
また、体調不良や局所のかぶれ、痛み、じゅくじゅくになる変化など普段と異なるようであればお教え下さい。また、汗疱・異汗性湿疹とよばれる水虫とは関係の無い皮膚病が合併して、皮膚に水疱が出来たり皮がむけてくる場合があります。その際には追加でステロイドなどを外用していただきます。

5)内服終了後に行うこと
先に述べたように、最近のクスリは爪が完全に生え変わるまで飲み続ける必要はありません。爪に数ヶ月という単位でクスリが残って作用するためです。しかし、クスリは皮膚には爪ほどは長く残らない(皮膚の方が爪よりも生まれ変わりが早いため)ので、内服を終えた後にも爪の先端に残っている水虫菌がこぼれ落ちてクスリの残っていない皮膚へ再度感染してしまうのを予防するために、足全体に坑真菌剤のクリームを外用していただきます。このようにしながら、爪が完全に治ってしまうのを確認する必要があります。1ヶ月ごとに再診していただき、下記のことを行います。
・ 爪や皮膚の観察
・ 爪の真菌検査

6)最後に
家族内に同じ症状の人がいればピンポン感染を防止する意味でも同時に治療した方がよいでしょうし、水虫と思っているものが実は他の皮膚疾患の場合もあるので皮膚科を受診して、顕微鏡による検査を受けて下さい。症状にもよりますが数ヶ月から1年という期間が必要になりますので、根気よく治療を続けてください。またかぶれや化膿の症状があるときは早めに再来してください。

2005年03月26日

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