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手湿疹の治療とスキンケア

皮膚病AtoZ 「手荒れ・手湿疹の治療とスキンケア」
1)手荒れの状態
皮膚の一番外側に角層があります。内部を守る最外層のバリアです。この角層に適度な湿度(水分)、柔軟性や滑らかさがなくなって、乾燥やかさかさが目に見えるようになり、硬くなったり裂け目(亀裂)が生じるといわゆる手荒れという状態になります。一般的に皮膚の滑らかさには皮脂腺から分泌される皮脂と角層の水分と脂分などが関係しますが、手のひらには皮脂腺がないので、表皮細胞から放出されたり分解されたりして出来たセラミド、コレステロール、脂肪酸などの表皮脂質とアミノ酸などの水溶性の天然保湿因子によって維持されています。水溶性の保湿因子が水分を引き付け、表皮脂質が細胞同士をくっつけたり水溶性物質の侵入や保湿因子の流出、体内の水分蒸散を防いで滑らかで柔軟な角層を保っています。様々な刺激により炎症が引き起こされ、細胞の健やかな成長が障害されて病的な(出来損ないや剥がれ損なった)角層が出来てしまい、皮膚の滑らかさや柔軟性が損なわれることになります。手荒れのほとんどは体内の要因(アトピー素因など)に種々の外的要因(外的刺激や環境因子など)が加わって生じた手湿疹です。手湿疹は指や手のひらの湿疹性病変の総称ですので、実際には種々の疾患が含まれています。症状も様々で、がさがさした状態、赤みや痒みをともなったり、じゅくじゅくしていたり、小さな水疱が見られたり、一部が硬くなっていたり、亀裂(ひび割れ)を伴って痛みがでてくる場合もあります。

2)手荒れの要因
A.体内の要因:アトピー性皮膚炎、汗疱、心因など
アトピー性皮膚炎:アミノ酸やセラミドの減少が知られており、乾燥とバリア機能の低下みられます。手のひらには皮脂腺がないので、摩擦や種々の接触物などの刺激によって皮膚炎が生じやすいのです。
汗疱、異汗性湿疹:原因は不明ですが、指や手のひらに小さな水疱が出来て、その後に薄皮がむけてきます。人によっては水疱がはっきりしない方もおられます。水疱が出来ている時には痒みを感じることが多いようです。時に食物や歯科金属に含まれる金属による全身型金属アレルギーが関係する場合があります。
B.外的要因:外的刺激や環境因子、細菌感染など
・ 刺激性:石鹸、界面活性剤、有機溶剤、摩擦、軽微な外傷、乾燥した風など。
手湿疹の原因の7割を占めると言われています。長時間、水や界面活性剤などに接していると、水溶性の保湿因子や表皮脂質が流出して手の皮膚の細胞が剥がれやすくなると共に柔軟性が無くなってがさがさしてきます。その後に炎症を生じて、さらにセラミドも減少し、悪循環をきたします。
・ アレルギー性:クロム、ニッケル、ゴムなど。
手荒れがあると、種々のアレルギー原因物質が皮膚に吸収されやすくなり、アレルギーが成立する機会が増えてしまいます。ニッケルはアクセサリー、硬貨、鍵、台所用品などに、クロムはセメント、皮革製品などに含まれています。天然ゴムに加えられるチウラム系化学物質もゴム製品によるアレルギー原因物質です。ラテックス手袋によるアレルギーではほとんどの場合が接触した後に蕁麻疹を生じます。また野菜やエビなどの食材による接触皮膚炎も知られています。セロリ、パセリ、ライムなどでは紫外線と共同でアレルギーを起こします。日常生活では様々な物質に触れるため,原因がはっきりしないことも少なくありません。また単独では湿疹を起こさない濃度の物質が複数では湿疹を生じることもあります。
・ 経口摂取アレルゲン:薬剤、ニッケル、クロム、香料など。
薬剤、香料、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、亜鉛などの金属などが、食物や歯科金属から口を介して摂取されて手湿疹がひどくなることが知られています。汗として濃縮されて排出されるので、手のひらや足の裏など発汗が多い場所に影響を与えるものと考えられています。

3)検査:パッチテスト(別途資料を用意していますので、必要な方はスタッフへお申しつけ下さい)
日常で使用する疑わしい製品や金属成分を皮膚に貼りつけて、後日皮膚反応を判定することによって少しでも原
因あるいは増悪物質を検索しようとするものです。

4)治療:ステロイドで炎症を抑え、日頃のスキンケアに加えて日常生活の見なおしが重要です。症状に応じてステロイドの強さを選んで処方いたします。赤み・痒み・水疱などの炎症症状が強いときには、一度にべっとり大量に使うのではなく、1日に4~5回など頻回に少量を薄く延ばして使用します。基本的には表面を保護する目的もあり、軟膏基剤を用います。亜鉛華軟膏という白っぽい薬剤を併用するとより効果的です。状態によって混合して処方する場合と、別途にステロイド軟膏の上から重ね塗りしていただく場合があります。多少べとつきますが、クリームや液剤ではかえって刺激が出てくることがあるので注意が必要です。時により薬剤を浸透させるためにクリームやテープ剤を使用することがあります。亀裂(ひび割れ)部位では亜鉛華軟膏を厚く重ね塗りし、ガーゼやリント布・不織布などで保護したり、ステロイドテープなどを使用します。症状が改善してきたら、ステロイドの使用回数を減らしてゆき、その後に強さも弱めて行きます。ハンドクリームと日常生活を注意するだけでコントロールできればよいのですが、繰り返す場合や難治の場合にはパッチテストなどによって原因検索を試みましょう。

5)スキンケアと日常生活の注意点
・ 手荒れしやすい人は、水仕事前の「保護クリーム」、水仕事後の「ハンドクリーム」をこまめに使用します。また、面倒くさがらないで、水仕事前には綿の手袋の上にゴム・塩化ビニル・プラスチック手袋を使用したり、その他の手仕事の際にも可能な範囲で綿手袋を使用します。できるだけ外的刺激から皮膚を保護して下さい。
・ がさがさ型では、手袋や保護クリームを用いて洗剤などから手を保護するとともに、洗剤の使用濃度を守る、脱脂力の強くない石鹸を使う、洗い物はまとめて行なって水や洗剤との接触を減らす、熱湯を使用しない、などが重要です。
・ じゅくじゅく型ではさらにかぶれやすい状態になっていますので、触れるものに注意しましょう。
保護クリーム:サンプルをお渡ししています。ご希望の方はスタッフまでお申し付け下さい。
シリコンを成分とした撥水性に優れるハンドクリームをご紹介しています。使用後2時間くらいは水をはじいています。様々な事情(理美容師など)で手袋を着用できない方にも塗る手袋として、ゴム手袋は使うけれどもその前に綿手袋までは着用できない方にも最適です。食品も扱えます。
処方されるハンドクリーム:1日4~5回以上、こまめに使用しましょう。
白色ワセリン:油の膜を作って保湿・保護。かぶれにくく、安価。多少べとつく。
サリチル酸ワセリン:角質軟化作用併せ持つ。がさがさ型に使用。
尿素製剤(ウレパール、ケラチナミンなど):保湿と角質融解作用。ひび割れ部位ではしみます。
ヘパリノイド(ヒルドイドソフト):保湿。刺激感少なく使いやすい。
参照:Dermatology Practice 5, P173-181など

2005年08月13日

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