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2006年03月27日
毒虫による皮膚病について
2006,03,27, Monday
皮膚病AtoZ 「毒虫による皮膚病について」
毒虫による皮膚病についてこ こでは毒虫を、昆虫類やダニ類などの節足動物で、直接人体に危害を加えるもの、としておきます。虫によるアレルギー反応のおこりかたは個人差が激しいもの ですが、体質だけではなく、刺されたり血を吸われた頻度によっても変化します。大人が蚊にさされても最初は赤く腫れますがすぐに消えてしまいます。ところ が同じ蚊に刺されても小さな子供では1~2日後から赤く、硬く腫れあがって時に水ぶくれまでできることがあります。前者がIgEと肥満細胞、化学伝達物質 による反応で即時型アレルギー反応と呼ばれます。後者はTリンパ球による遅延型反応です。蚊に初めて刺された時には唾液腺物質に対して感作されていないの で無反応です。その後にまず遅延型反応が出現し、次いでIgE産生に伴って即時型反応が出現し、さらに刺され続けると遅延型反応が弱まり、さらには即時型 反応までもが弱まって、ついには無反応になるとされています。すなわち、無反応→遅延型反応のみ→即時型反応+遅延型反応→即時型反応のみ→無反応という ように刺され続けることによって反応が変化してゆきます。屋外での予防は長袖長ズボン、防虫スプレー、発生源を探して駆除を行う必要があります。保健所で も相談できます。治療の基本は強めのステロイド外用剤を使用して早めに治して痕を最小限にしましょう。また、夏の時期、お子さんたちは「とびひ」に注意が 必要です。
【血を吸う毒虫】
吸血の際に注入する 唾液腺物質には、坑凝固作用や麻酔作用を持った物質が含まれており、皮膚に対して刺激性が少ないので気づかないうちに容易に血を吸われてしまいます。しか し、体がこの唾液腺物質に感作されると、吸血後にアレルギー性炎症が起きるようになります。①二酸化炭素、②体温、③皮膚のにおい、が吸血性の虫を引き付 けるとされます。
1)蚊
メスだけが吸血し、主に顔面 や手足などを刺される。都市部ではアカイエカやヒトスジシマカによる被害が多い。症状は上述したとおりで、治療は症状の程度に応じて坑ヒスタミン剤やステ ロイド剤の内服、そしてステロイド剤を外用します。問題は「蚊過敏症」で、蚊にさされた後に38~40℃の発熱を伴って、局所に水ぶくれや血まめが出来た 後に潰瘍化して、治癒までに1ヶ月近くかかってしまい汚い瘢痕(傷跡)を残すような場合にはEBウイルスの持続感染が関与したNK細胞性白血病の発生が危 惧されます。疑わしい場合にはEBウイルス抗体価(EBVCA-IgM/G,EBNA)EBウイルスDNAの検査を行います。
2)ブユ
西日本では「ブト」、関東では「ブヨ」と呼ばれ、小型のハエといった呈をしており、メスだけが吸血する。幼虫がきれいな渓流にすむため成虫も山間部に多 く、ハイキングやキャンプの際に足などの露出部を刺されることが多い。都会の人は刺される機会が少ないため、遅延型反応が主体ですが、痒みが長く続いて痒 疹化(大き目の硬いブツブツ)することがあります。このような場合にはステロイド含有テープやステロイドの局所注射を要することもあります。
3)ノミ
遅延型反応だけが出現していることが多い。最近はネコノミ(イヌやネズミにもつく)が主体である。成虫で2~3ヶ月生存し、絶食しても1ヶ月は生き延びる そうで、体調3mm程度であるが、地表から30cmくらいジャンプできる。そのため、足や下腿を中心に強い浸潤を伴う紅斑や水疱や血疱が出来て、かゆみが 強いのが特徴です。ネコノミが押し入れや畳下などに住みつくことや犬についたノミが草むらに住みつき人が草むらを通ると刺されます。成虫のみが吸血。メ ス・オスともに吸血。ノミが人の息中の二酸化炭素に反応するのを利用したのが、「ノミのサーカス」の原理だそうです。
4)シラミ
ノミと違ってオス・メスともに一生を人血に依存します。頭ジラミと毛ジラミがありますが、形態はケジラミの方が小さくて幅広く英語でクラブラウス(カニジ ラミ)と呼ばれるのも頷けます。「頭ジラミ」は、小学校、幼稚園などで集団発生することがあります。頭髪の中を這い回り、虫卵を髪の毛に産み付けたものが 白い点状の粒として見られ、稀に動く虫体(成虫:2mm位の虫)が見つかることもあります。女の子は男児よりも髪の毛が長くて住みやすいので、比較的女児 に多いとされています。一方、「毛ジラミ」は陰毛に寄生し激しい痒みを伴い、性行為にて感染しますので、成人にみられます。比較的多くの人で虫体が確認で きます。虫卵も陰毛に産み付け白い点状の粒として観察されます。いずれも痒みを伴い、よくみると白っぽい粒が毛に付着していますから、おかいいと思ったと きには皮膚科を受診しましょう。髪の毛を剃ったりする必要はありません。どちらもスミスリンパウダーやシャンプーで簡単に治ります。
5)ダニ
ダニは昆虫ではなく、足が8本(幼虫時代は6本)あることからもわかるように、クモの仲間です。「イエダニ」は皮膚の柔らかな、幼児や女性、しかも女性の 内腿などを好んで吸血するので、エロダニとの別名があるそうです。本来はネズミ(特にドブネズミ)につくダニで、発生のピークは6~9月の頃。ネズミがい ないのにイエダニにやられる、というのは「トリサシダニ」によるもので、もとは鳥類に規制するダニで、軒端に巣食ったムクドリ、ツバメ、スズメなどの巣や 体から這い出して人に吸血する。ペットの小鳥から移ることもあります。鳥の繁殖期のあとに巣から這い出して軒伝いに室内に入り込むことが多いので、6~7 月に被害が集中しやすいとされています。「マダニ」は野生動物に寄生して吸血する。草むらなどに静止していて、人に接触すると皮膚を俳諧して適当な部位を 探して、唾液を注入しながら吸血し、数日から2週間程度で飽血状態となって脱落する。虫体(の口器)が皮膚に強く咬みついているので、無理に除去しようと すると口器が皮膚に残るので、切開を要する場合もあります。基本治療は他の毒虫と同様で、坑ヒスタミン剤の内服や、ステロイド剤やクロタミトンの外用を行 います。
【刺 す毒虫】
刺咬・接触の際に生じる赤みや痛みは、刺咬時の物理的な刺激と、注入された毒成分による科学的な刺激から起きます。毒成分には、科学的刺激物質と してヒスタミン、セロトニンなどや、さらにはアレルゲンとして考えられているプロテアーゼなどの酵素が含まれています。
1)毛虫(ケムシ)
ほとんどがツバキやサザンカに見られるチャドクガの幼虫の毒針毛による皮膚炎で、首すじや肩、腕などに生じることが多いようです。年に2回発生し、成虫は 6~7月、9~10月だが、集団でいることもあり幼虫による被害が多く、接触時の痛みは少なく、数分から数時間後にピリピリ感、強い痒みが生じて、小さな 点状の赤いブツブツが寄り集って現われて2週間くらい続きます。その他、カレハガ類やイラガ類では接触時に強い痛みを感じます。イラガではその後数日で症 状が消失します。木の剪定をしたり、草取りをしたりするときは手袋をし、厚手の長袖のシャツを着て、首周りをタオルなどで保護し、毒針毛から身を守りま しょう。刺された覚えがなくても、毒針毛は肌についていることがありますので、散歩などをした後は肌を水で洗い流したほうがよいでしょう。刺されたと感じ たときは、セロテープ等で毒針を取り除き、水で洗い、ステロイド外用薬をつけてください。
2)蜂(ハチ)
刺すのは社会生活性の強いミツバチ、スズメバチ、アシナガバチである。蜂の種類に、よって異なるが一度目は軽いが2度目以降に刺されるとショックを起こす ことがあるので注意が必要です。スズメバチやアシナガバチ類の毒にはセロトニンやブラジキニン類似物質が含まれ、初回でも激痛を起こします。注意として、 色;黒や花柄模様を好むため白、赤、黄色などの原色の服を着る。におい;ヘアスプレー、ヘアトニック、香水等の化粧品を使用しない。音;小型超音波発信器 も興奮を誘うため使用を控える。行動;追い払う様な行動は興奮を招くため避ける。応急処置として、冷水で冷やし四肢を刺された場所より心臓に近い方をゴム などで縛ります。最近、携帯用エピネフリン自己注射キット(エピペン®)が上梓されています。
【咬みつく毒虫】
咬みつくのと同時に毒液を分泌するもの(ムカデ、アリ)と、咬みつくだけのもの(大型のクモ、バッタなど)。
1)蟻(アリ)
咬むと同時に蟻酸をふりかけるタイプでは症状が強い。時に毒針で刺すタイプに日本でも遭遇します。
2)ムカデ
オオムカデ属によるものが多い。ヒスタミンや酸が含まれており、咬まれると激痛が走るといいます。腫れや赤みとともに、リンパ管炎を伴うことがあります。ムカデの多い地域では屋内への侵入もありますので注意が必要です。
参照:野外の毒虫と不快な虫(梅谷献二・編:全国農村教育協会)、毒虫の話(梅谷献二ら:北隆館)、Visual Dermatology Vol.4 No.6(夏秋 優・編:秀潤社)
投稿者 mildix : 01:44