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2006年12月10日
シワ対策&化粧品成分について
2006,12,10, Sunday
シワ対策&化粧品成分について
シワやたるみなど皮膚の老化には、通常、「加齢に伴う老化」と「光老化」と呼ばれる紫外線によるダメージが加わったものがあります。光老化といえば、ある夜の席で先輩から聞いた印象的なエピソードを思い出します――「昔、とある先生が、当時の中国なら(化粧をしないので)化粧品による皮膚の障害がほとんどないのではないか? との仮説のもとに現地に赴いたところ、逆に化粧品による遮光をしないために光老化が顕著であることがわかった…」と。私たちが社会生活を送る上では、紫外線の影響なしには考えられません。今回は、皮膚の老化とシワの発生ならびに化粧品成分についてのお話です。
■乾燥ジワ
小ジワには「乾燥ジワ」といわれるものと、折れ癖の始まりとしての「表情ジワ」があります。
「乾燥ジワ」とは皮膚表面の角質の水分が欠乏して、角質の透明感が失われて白さが出現し、皮膚紋理がはっきりと目立ってしまう状態をいいます。たとえば“皮脂”という油の膜がなく角質が厚い「かかと」を見てください。白くはっきりした皮膚紋理は、水で濡らすだけで目立たなくなります。ティッシュペーパーを丸めると小さなシワがたくさんできますが、光と影の影響でそのときははっきり見えるシワも、水を垂らせば繊維が膨化し、空気が無くなり透明になってしまい、やがて目立たなくなります。
こうした現象は油の膜が少なく、その下に水分保持がままならない部分に出やすいといえます。顔でいうと“目元”は特に出やすいところです。しかも30代も半ばになると、女性は男性とは異なり皮脂の分泌量が著明に減少してきます(逆に男性は、皮脂の分泌量が多く、その下に水分が蓄えられるため、乾燥小ジワが少ないのです)。
また、年齢を重ねるにつれてターンオーバーが遅くなり、角質は厚くなる傾向になるため、皮膚はより水分を欲するようになります。こうした場合には水分だけではなくて、その上から油分を補うことが必要になります。皮膚表面の水分を保持する代表的な成分としては①皮脂膜、②NMF(天然保湿因子:各種アミノ酸、乳酸塩、ピロリドンカルボン酸など)、③細胞間脂質(セラミドが主成分)などがあげられます。皮脂のみならず、細胞間脂質という表皮細胞から分泌される脂や、天然保湿因子であるアミノ酸も年齢とともに減少しますので、こうしたものを化粧品で補っていく必要もあるのです。
■折れ癖の始まりジワ≒表情ジワ
これは先ずもって皮膚(表皮と真皮)が加齢とともに薄くなり、しかも紫外線などの影響によって真皮内線維(コラーゲン、エラスチン)が断裂や変性(生体内酵素で分解されにくくなってしまう)を起こすことが原因となり生じます。修復されても元の構築状態には戻らず、さらに紫外線などにより発生した活性酸素によって、コラーゲン線維がいたるところで架橋結合(クロスリンキング)してしまい、柔軟性が低下するのです。
たとえば日光に当たった輪ゴムが劣化し、簡単に切れてしまうことを想像してみて下さい。形は残っていても本来の性質が失われている状態が“変性”です。こうして皮膚の軟らかさが無くなり、硬くなる(皮膚を内部臓器に密着させる力が弱まる)ことが、シワの形成に重大な影響を与えるのです。たとえば、ティッシュを丸めたものと、硬いコピー用紙を丸めたものを用意し、伸ばしてみてください。コピー用紙は伸ばしても、きれいにシワは伸びてくれません。また、曲げ伸ばしを繰り返すと、同じ部位での折れ癖がつきやすくなるのもコピー用紙です。
しかも皮膚のみならず、皮下脂肪も痩せると外側にある皮膚が余ってしまい、シワの原因になります。たとえばゴム風船にパンパンに空気を入れて膨らませても、空気をぬけばゴムといえどもシワシワが目立ちますよね。これは皮膚組織(表皮+真皮)が薄くなり柔軟性が無くなるのに加えて、皮下組織(脂肪や筋肉)がやせてしまうと「タルミ」や刻まれた「シワ」になりやすいということを示しています。でも、しぼんでシワが出来た風船でも、空気を入れて膨らませればシワはなくなります。
こうしたことを考えますと、年齢と共に少しずつふくよかになること(痩せすぎない)ことも重要なポイントです。また、男性は一般的に女性に比べると紫外線による皮膚ダメージを受けやすい傾向にあり(防御を行わないため)、女性に比べると小ジワは少ないものの、深く刻まれたシワが出来やすいように思います。これは、皮膚自体は本来厚くて皮脂も十分で乾燥しにくいのですが、柔軟性が失われて折れ目がつきやすいためと思われます。
以上、「折れ癖の始まりジワ≒表情ジワ」に触れてみましたが、これらの予防には、何よりもまずは紫外線対策が重要です。同時に外用剤の治療法では、全般的に皮膚の厚みを出して、柔軟性を出す(硬くなるのを防止する)ような成分が有用となります。皮膚の厚みを出す成分の代表はレチノイン酸です。
■表情ジワ
「表情ジワ」と呼ばれるものとしては、眉間の縦ジワ、目じりの「カラスの足跡」などが代表的なものになります。皮膚の下の筋肉が収縮して表情を作る際に、皮膚に筋肉ほどの柔軟性がなければ皮膚は筋肉の縮みに追随し、たわみながら距離を縮めるようになり、これがシワとして認識されるわけです。こうした表情ジワと呼ばれる部位への医学的治療には、筋肉の動きを抑える“ボトックス”を用いると有効です。そして同じような効果を発揮する化粧品成分としては、アルジルリンがあります。
* * *
以上、各シワのメカニズムを述べてみましたが、ヒアルロン酸注入によるシワ治療はどうでしょう? 私見ですが、シワが生じる順序を考えると、後年になって目立ってきたシワから治療をしてゆくほうが違和感がありません。一般的には、シワの進行はまず上まぶたの張りが緩み始め、次いで目尻にカラスの足跡、前額に横ジワ、鼻根部の横ジワ、鼻唇溝、眉間に縦ジワ、口角から顎にかけてのシワ(マリオネットライン)、口まわりの縦ジワ…といった順序となります。
<“シワ対策&保湿”成分>
薬事法により「シワに有効」とは表記できないため、多くは「有効成分」あるいは「保湿成分」と記されます。抗酸化剤も有用ですが、後日サプリメントの項にまとめたいと思います。ヒアルロン酸、セラミドなどの保湿成分も別項で扱いたいと思います。
●アルジルリン
筋肉の収縮に関与する神経伝達物質の過剰放出を抑制し、アドレナリンを貯蔵している細胞の膜蛋白質を動かなくする作用があり、シワの改善成分として注目されています。神経伝達系に働きかけて、筋肉の緊張を和らげ表情ジワの形成を軽減する作用がボトックス(ボツリヌス菌毒素)に似ていることから、「塗るボトックス」とも呼ばれています。
●レチノール
レチナールやレチノイン酸とともにビタミンAの一種ですが、一般的にはレチノールをビタミンAと称します。ビタミンAは抗夜盲症因子として発見されたビタミンで、視覚・聴覚・生殖などの機能保持、成長促進、皮膚や粘膜の正常保持、制癌などの幅広い作用を有しておりますが、レチノールは角質層の保湿性を高めて柔軟性を皮膚に与える成分として化粧品に配合されています。また、コラーゲン合成を促進する物質でもあることから、シワ予防に用いられています。医療機関などで使用されるレチノイン酸もビタミンA(レチノール)の誘導体ですが、その生理活性はレチノールの約300倍と言われています。
レチノイン酸は表皮のターンオーバーを促進し、角質を剥がれやすくし、表皮を厚くします。また皮脂腺の分泌を抑制し、表皮に存在するメラニン色素の排出を促進します。また真皮内で線維芽細胞を刺激することにより、コラーゲン線維やムコ多糖を増やして真皮を厚くする作用があり、海外では広く臨床(ニキビ、乾癬、皮膚光老化治療など)に使用されています。しかし現時点では、本邦では未認可です。レチノールに比べると、刺激性が問題となるのです。またレチノイン酸内服薬による副作用としては催奇形性が知られていますが、外用での危険はないと考えられています。
●レチノイン酸トコフェリル
レチノイン酸(ビタミンA酸)とトコフェロール(ビタミンE:抗酸化作用)を結合させたビタミンA酸誘導体。日清製粉が新規合成した化合物で、当初は創傷治癒促進剤(“床ずれ”などの皮膚潰瘍治療薬:オルセノン軟膏)として製品化されました。その作用を応用して、近年では化粧品へも配合され、シワ予防・保湿に寄与します。
シワやたるみなど皮膚の老化には、通常、「加齢に伴う老化」と「光老化」と呼ばれる紫外線によるダメージが加わったものがあります。光老化といえば、ある夜の席で先輩から聞いた印象的なエピソードを思い出します――「昔、とある先生が、当時の中国なら(化粧をしないので)化粧品による皮膚の障害がほとんどないのではないか? との仮説のもとに現地に赴いたところ、逆に化粧品による遮光をしないために光老化が顕著であることがわかった…」と。私たちが社会生活を送る上では、紫外線の影響なしには考えられません。今回は、皮膚の老化とシワの発生ならびに化粧品成分についてのお話です。
■乾燥ジワ
小ジワには「乾燥ジワ」といわれるものと、折れ癖の始まりとしての「表情ジワ」があります。
「乾燥ジワ」とは皮膚表面の角質の水分が欠乏して、角質の透明感が失われて白さが出現し、皮膚紋理がはっきりと目立ってしまう状態をいいます。たとえば“皮脂”という油の膜がなく角質が厚い「かかと」を見てください。白くはっきりした皮膚紋理は、水で濡らすだけで目立たなくなります。ティッシュペーパーを丸めると小さなシワがたくさんできますが、光と影の影響でそのときははっきり見えるシワも、水を垂らせば繊維が膨化し、空気が無くなり透明になってしまい、やがて目立たなくなります。
こうした現象は油の膜が少なく、その下に水分保持がままならない部分に出やすいといえます。顔でいうと“目元”は特に出やすいところです。しかも30代も半ばになると、女性は男性とは異なり皮脂の分泌量が著明に減少してきます(逆に男性は、皮脂の分泌量が多く、その下に水分が蓄えられるため、乾燥小ジワが少ないのです)。
また、年齢を重ねるにつれてターンオーバーが遅くなり、角質は厚くなる傾向になるため、皮膚はより水分を欲するようになります。こうした場合には水分だけではなくて、その上から油分を補うことが必要になります。皮膚表面の水分を保持する代表的な成分としては①皮脂膜、②NMF(天然保湿因子:各種アミノ酸、乳酸塩、ピロリドンカルボン酸など)、③細胞間脂質(セラミドが主成分)などがあげられます。皮脂のみならず、細胞間脂質という表皮細胞から分泌される脂や、天然保湿因子であるアミノ酸も年齢とともに減少しますので、こうしたものを化粧品で補っていく必要もあるのです。
■折れ癖の始まりジワ≒表情ジワ
これは先ずもって皮膚(表皮と真皮)が加齢とともに薄くなり、しかも紫外線などの影響によって真皮内線維(コラーゲン、エラスチン)が断裂や変性(生体内酵素で分解されにくくなってしまう)を起こすことが原因となり生じます。修復されても元の構築状態には戻らず、さらに紫外線などにより発生した活性酸素によって、コラーゲン線維がいたるところで架橋結合(クロスリンキング)してしまい、柔軟性が低下するのです。
たとえば日光に当たった輪ゴムが劣化し、簡単に切れてしまうことを想像してみて下さい。形は残っていても本来の性質が失われている状態が“変性”です。こうして皮膚の軟らかさが無くなり、硬くなる(皮膚を内部臓器に密着させる力が弱まる)ことが、シワの形成に重大な影響を与えるのです。たとえば、ティッシュを丸めたものと、硬いコピー用紙を丸めたものを用意し、伸ばしてみてください。コピー用紙は伸ばしても、きれいにシワは伸びてくれません。また、曲げ伸ばしを繰り返すと、同じ部位での折れ癖がつきやすくなるのもコピー用紙です。
しかも皮膚のみならず、皮下脂肪も痩せると外側にある皮膚が余ってしまい、シワの原因になります。たとえばゴム風船にパンパンに空気を入れて膨らませても、空気をぬけばゴムといえどもシワシワが目立ちますよね。これは皮膚組織(表皮+真皮)が薄くなり柔軟性が無くなるのに加えて、皮下組織(脂肪や筋肉)がやせてしまうと「タルミ」や刻まれた「シワ」になりやすいということを示しています。でも、しぼんでシワが出来た風船でも、空気を入れて膨らませればシワはなくなります。
こうしたことを考えますと、年齢と共に少しずつふくよかになること(痩せすぎない)ことも重要なポイントです。また、男性は一般的に女性に比べると紫外線による皮膚ダメージを受けやすい傾向にあり(防御を行わないため)、女性に比べると小ジワは少ないものの、深く刻まれたシワが出来やすいように思います。これは、皮膚自体は本来厚くて皮脂も十分で乾燥しにくいのですが、柔軟性が失われて折れ目がつきやすいためと思われます。
以上、「折れ癖の始まりジワ≒表情ジワ」に触れてみましたが、これらの予防には、何よりもまずは紫外線対策が重要です。同時に外用剤の治療法では、全般的に皮膚の厚みを出して、柔軟性を出す(硬くなるのを防止する)ような成分が有用となります。皮膚の厚みを出す成分の代表はレチノイン酸です。
■表情ジワ
「表情ジワ」と呼ばれるものとしては、眉間の縦ジワ、目じりの「カラスの足跡」などが代表的なものになります。皮膚の下の筋肉が収縮して表情を作る際に、皮膚に筋肉ほどの柔軟性がなければ皮膚は筋肉の縮みに追随し、たわみながら距離を縮めるようになり、これがシワとして認識されるわけです。こうした表情ジワと呼ばれる部位への医学的治療には、筋肉の動きを抑える“ボトックス”を用いると有効です。そして同じような効果を発揮する化粧品成分としては、アルジルリンがあります。
* * *
以上、各シワのメカニズムを述べてみましたが、ヒアルロン酸注入によるシワ治療はどうでしょう? 私見ですが、シワが生じる順序を考えると、後年になって目立ってきたシワから治療をしてゆくほうが違和感がありません。一般的には、シワの進行はまず上まぶたの張りが緩み始め、次いで目尻にカラスの足跡、前額に横ジワ、鼻根部の横ジワ、鼻唇溝、眉間に縦ジワ、口角から顎にかけてのシワ(マリオネットライン)、口まわりの縦ジワ…といった順序となります。
<“シワ対策&保湿”成分>
薬事法により「シワに有効」とは表記できないため、多くは「有効成分」あるいは「保湿成分」と記されます。抗酸化剤も有用ですが、後日サプリメントの項にまとめたいと思います。ヒアルロン酸、セラミドなどの保湿成分も別項で扱いたいと思います。
●アルジルリン
筋肉の収縮に関与する神経伝達物質の過剰放出を抑制し、アドレナリンを貯蔵している細胞の膜蛋白質を動かなくする作用があり、シワの改善成分として注目されています。神経伝達系に働きかけて、筋肉の緊張を和らげ表情ジワの形成を軽減する作用がボトックス(ボツリヌス菌毒素)に似ていることから、「塗るボトックス」とも呼ばれています。
●レチノール
レチナールやレチノイン酸とともにビタミンAの一種ですが、一般的にはレチノールをビタミンAと称します。ビタミンAは抗夜盲症因子として発見されたビタミンで、視覚・聴覚・生殖などの機能保持、成長促進、皮膚や粘膜の正常保持、制癌などの幅広い作用を有しておりますが、レチノールは角質層の保湿性を高めて柔軟性を皮膚に与える成分として化粧品に配合されています。また、コラーゲン合成を促進する物質でもあることから、シワ予防に用いられています。医療機関などで使用されるレチノイン酸もビタミンA(レチノール)の誘導体ですが、その生理活性はレチノールの約300倍と言われています。
レチノイン酸は表皮のターンオーバーを促進し、角質を剥がれやすくし、表皮を厚くします。また皮脂腺の分泌を抑制し、表皮に存在するメラニン色素の排出を促進します。また真皮内で線維芽細胞を刺激することにより、コラーゲン線維やムコ多糖を増やして真皮を厚くする作用があり、海外では広く臨床(ニキビ、乾癬、皮膚光老化治療など)に使用されています。しかし現時点では、本邦では未認可です。レチノールに比べると、刺激性が問題となるのです。またレチノイン酸内服薬による副作用としては催奇形性が知られていますが、外用での危険はないと考えられています。
●レチノイン酸トコフェリル
レチノイン酸(ビタミンA酸)とトコフェロール(ビタミンE:抗酸化作用)を結合させたビタミンA酸誘導体。日清製粉が新規合成した化合物で、当初は創傷治癒促進剤(“床ずれ”などの皮膚潰瘍治療薬:オルセノン軟膏)として製品化されました。その作用を応用して、近年では化粧品へも配合され、シワ予防・保湿に寄与します。
投稿者 mildix : 10:46
2006年12月09日
美白の化粧品成分
2006,12,09, Saturday
皮膚病AtoZ 「美白の化粧品成分」
美白の化粧品成分
「新成分○○配合」、「有効成分○○がシミを根本から解決」などのように、最近の化粧品や医薬部外品は俳優やモデルのイメージだけではなく、一部の成分を強調して宣伝されることも多くなったように思います。
今回は、シミが発生する原因、そしていくつかの美白成分についてのお話です。お話の前にまずは下に簡単に「シミができるメカニズム」を図版化しましたので、ご参照ください。
①紫外線を浴びると皮膚内ではメラノサイトが活性化して…
②メラノサイト内ではシミを作る準備が…
①紫外線を浴びると、角下細胞内にSCF(*)が出現。
②SCFがメラノサイトと結合すると、メラノサイトに「エンドセリンレセプタ」ーが増加する。
③紫外線により角化細胞に情報伝達物質「エンドセリン」が作られ、放出される。
④エンドセリンがメラノサイトのエンドセリンレセプターに結合し、「メラニン色素を作れ」の指令が伝達される。
⑤メラノサイトが活性化・増殖。
⑥チロシナーゼが活性化され、チロシンからメラニン色素生成が強まる。
⑦メラニン色素が周囲の角化細胞に渡される。
⑧角化細胞はターンオーバーに伴い、メラニン色素とともに皮膚外へ排出される。
*SCFとは、メラノサイトの増殖に必要不可欠な因子で、紫外線によっても角化細胞に発現が増強されることが報告されている。
30代から出現するシミとして、代表的なものに、①肝斑 ②老人性色素斑 ③炎症後色素沈着 があります。
「肝 斑」は下眼瞼から頬にかけてできる地図状の褐色斑で、妊娠、ピル内服、紫外線、こするなどの刺激に伴って悪化します。皮膚が紫外線などによって炎症が引き 起こされると、一時的に“SCF”やそのほか炎症症状を引き起こす原因因子である“炎症性サイトカイン”などによってメラノサイトのメラニン色素生成が高 まり、しばらく持続します(これが炎症後色素沈着です)。
本来はこれらの状態は時間とともに落ち着いていきますが、度重なる紫外線によるDNA のダメージを次第に修復出来なくなって、局所のメラノサイトが持続的にメラニン色素を作り続けると、“老人性色素斑”あるいは“日光黒子(solar lentigo)”になります。もっとダメージが進行すると、“日光角化症”という前癌状態となります。最近では、紫外線によって表皮に蓄積した“プレ” メラニンが、メラニンへ変化することも報告されています(メラノサイトの外でもメラニン色素が作られるのです)。これらの対策法を考えると、以下などがあ ります。
①ケラチノサイトを刺激してメラニン生成を始めさせるシグナルであるエンドセリンなどを、メラノサイトへ行く手前でブロック。
②メラノサイト内でのメラニン色素生成を阻害(抑制)させる(チロシナーゼを抑える)。
③メラノサイトからケラチノサイトへのメラニン色素の橋渡しを阻害する。
④ケラチノサイト内に蓄えられたメラニン色素の排泄を促進させる(ターンオーバーを早める)。
⑤メラニン色素を還元して黒さを軽減させる。
そして、エンドセリンの作用を抑えるものとして“カミツレエキス”、チロシナーゼを阻害するものとして“ハイドロキノン”(チロシナーゼ自体の生成も一部 抑制するのが“マグノリグナン”)、ターンオーバーを早めるものとして“レチノイン酸”などがあります。その他にビタミンC、トラネキサム酸、ケミカル ピーリング剤(AHA、BHA)、プラセンタ、ルシノール、アルブチンなども有用です。
シミの一種である「炎症後色素沈着」の場合では、炎症が生じたその時点で症状を抑えてしまうことが重要ですが、その後早期に上記のような各美白剤を使用してもらいます。
なお、レーザーによるシミ治療は、シミ患部の狂ってしまったメラノサイトを、周りの皮膚へのダメージを最小限に抑えて“やけど(光による熱発生)”を生じ させることにより、リセットしようというものです。治療後は、遮光とともに各種美白剤をアフターケアとして使用し、炎症後色素沈着を最小限に抑えることが 大切です。
以上、シミの原因およびシミに有効な美白化粧品の成分について述べてきましたが、シミは濃くなれば医学的治療を要することが多いといえます。このため、本来は子どもの頃から「紫外線防御」を意識し、美白化粧品はシミが発生する初期の段階(つまり、目では確認できないような10代、20代前半)から使用することが効果的だと思います。そして化粧品だけでなく、ビタミンC・E、アスタキサンチン、CoQ10などの抗酸化剤サプリメントの併用も大切です。
【代表的な美白成分】
◆m-トラネキサム酸
従 来より皮膚科においては、肝斑に対する内服薬あるいは院内製剤外用薬として使用してきました。このトラネキサム酸配合商品を皮膚に塗った際の美白効果を確 認し、資生堂が医薬部外品有効成分として新たに開発。 m-トラネキサム酸は炎症性プロテアーゼを抑制する作用があるので、刺激によりメラノサイトが活性化するのを根本から抑え、シミの悪化を防ぐと考えられて います。
◆カモミラET
カミツレの花から抽出。カミツレの花には精油(カマズレン、アズレン、ビサボロール)や発汗作用を 有する成分を含み、保湿剤や血行促進入浴剤としても使用されてきました。メラノサイトの活性化を抑制するだけでなく、メラノサイト増殖を抑える働きや、表 皮細胞からメラノサイトに「色素を作れ」との情報を伝達するエンドセリンが放出されるのを抑制します。
◆ビタミンC誘導体
ビ タミンCは酸化されやすく不安定なことから、“誘導体”とすることで酸化されにくく、皮膚への吸収を高めることができます。「リン酸アスコルビン酸マグネ シウム」「リン酸アスコルビン酸ナトリウム」「テトライソパルミチン酸アスコルビル(脂溶性)」など様々開発されています。いずれもビタミンC誘導体の魅 力は刺激性の少なさ、抗酸化力、コラーゲン産生に寄与するなど多彩であり、臨床でも“刺激の少ない美白剤”“炎症性赤ニキビのあとの赤みを減らす”“皮脂 抑制と抗酸化作用によってニキビを予防する”などの効果が報告されています。
◆ハイドロキノン
世界的にも代表的な美白剤。日本では2001年の規制緩和とともに化粧品にも配合されるようになりました。私たちが行なった試験「化粧品へ求められる9項目」においても充分な安全性が認められました(西日本皮膚68巻2号 p185-194:http://www.jstage.jst.go.jp/article/nishinihonhifu/68/2/185/_pdf/-char/ja/)。 刺激性の観点からは、4~5%程度の濃度での使用であれば特に問題はないかと考えます。最近では、欠点である光や熱に対する不安定さを錯体にすることに よって改善し、酸化に伴う製品の褐変化を低減させた製品も上梓されてきています。この場合、錯体である分だけ高濃度を要します。ハイドロキノン・モノベン ジルエーテル(MBEH)は不可逆性の脱色をもたらしますので、シミ治療には使用されません。
◆アルブチン
コケモモに含ま れることが知られる成分で、メラニン生成に不可欠な酵素であるチロシナーゼの働きを阻害する、つまり、過剰なメラニンの生成を抑えてシミになることを防ぐ 効果があります。ハイドロキノンにブドウ糖を1個結合させたハイドロキノン誘導体であり、最近では従来のβ-アルブチン(資生堂)とはブドウ糖の結合様式 が異なるα-アルブチンが江崎グリコで開発され、よりヒトのチロシナーゼを選択的に、かつ10倍も強力に阻害する成分として注目されています。
◆ルシノール
ポーラが開発したフェノール性水酸基を2個有するレゾルシン誘導体。ルシノールがチロシンの代わりに酸化酵素であるチロシナーゼと結合することにより、本来チロシンがチロシナーゼと結合してメラニンを生成することを抑え、美白効果を発揮します。
◆甘草エキス
グリチルリチンやグラブリジンなどを含み、グリチルリチンには抗アレルギー作用や抗炎症作用があります。また、グラブリジンにはメラニン生成抑制作用(美白)があるほか、活性酸素除去・抗酸化作用、ヒアルロン酸活性作用などがあります。
「新成分○○配合」、「有効成分○○がシミを根本から解決」などのように、最近の化粧品や医薬部外品は俳優やモデルのイメージだけではなく、一部の成分を強調して宣伝されることも多くなったように思います。
今回は、シミが発生する原因、そしていくつかの美白成分についてのお話です。お話の前にまずは下に簡単に「シミができるメカニズム」を図版化しましたので、ご参照ください。
①紫外線を浴びると皮膚内ではメラノサイトが活性化して…
②メラノサイト内ではシミを作る準備が…
①紫外線を浴びると、角下細胞内にSCF(*)が出現。
②SCFがメラノサイトと結合すると、メラノサイトに「エンドセリンレセプタ」ーが増加する。
③紫外線により角化細胞に情報伝達物質「エンドセリン」が作られ、放出される。
④エンドセリンがメラノサイトのエンドセリンレセプターに結合し、「メラニン色素を作れ」の指令が伝達される。
⑤メラノサイトが活性化・増殖。
⑥チロシナーゼが活性化され、チロシンからメラニン色素生成が強まる。
⑦メラニン色素が周囲の角化細胞に渡される。
⑧角化細胞はターンオーバーに伴い、メラニン色素とともに皮膚外へ排出される。
*SCFとは、メラノサイトの増殖に必要不可欠な因子で、紫外線によっても角化細胞に発現が増強されることが報告されている。
30代から出現するシミとして、代表的なものに、①肝斑 ②老人性色素斑 ③炎症後色素沈着 があります。
「肝 斑」は下眼瞼から頬にかけてできる地図状の褐色斑で、妊娠、ピル内服、紫外線、こするなどの刺激に伴って悪化します。皮膚が紫外線などによって炎症が引き 起こされると、一時的に“SCF”やそのほか炎症症状を引き起こす原因因子である“炎症性サイトカイン”などによってメラノサイトのメラニン色素生成が高 まり、しばらく持続します(これが炎症後色素沈着です)。
本来はこれらの状態は時間とともに落ち着いていきますが、度重なる紫外線によるDNA のダメージを次第に修復出来なくなって、局所のメラノサイトが持続的にメラニン色素を作り続けると、“老人性色素斑”あるいは“日光黒子(solar lentigo)”になります。もっとダメージが進行すると、“日光角化症”という前癌状態となります。最近では、紫外線によって表皮に蓄積した“プレ” メラニンが、メラニンへ変化することも報告されています(メラノサイトの外でもメラニン色素が作られるのです)。これらの対策法を考えると、以下などがあ ります。
①ケラチノサイトを刺激してメラニン生成を始めさせるシグナルであるエンドセリンなどを、メラノサイトへ行く手前でブロック。
②メラノサイト内でのメラニン色素生成を阻害(抑制)させる(チロシナーゼを抑える)。
③メラノサイトからケラチノサイトへのメラニン色素の橋渡しを阻害する。
④ケラチノサイト内に蓄えられたメラニン色素の排泄を促進させる(ターンオーバーを早める)。
⑤メラニン色素を還元して黒さを軽減させる。
そして、エンドセリンの作用を抑えるものとして“カミツレエキス”、チロシナーゼを阻害するものとして“ハイドロキノン”(チロシナーゼ自体の生成も一部 抑制するのが“マグノリグナン”)、ターンオーバーを早めるものとして“レチノイン酸”などがあります。その他にビタミンC、トラネキサム酸、ケミカル ピーリング剤(AHA、BHA)、プラセンタ、ルシノール、アルブチンなども有用です。
シミの一種である「炎症後色素沈着」の場合では、炎症が生じたその時点で症状を抑えてしまうことが重要ですが、その後早期に上記のような各美白剤を使用してもらいます。
なお、レーザーによるシミ治療は、シミ患部の狂ってしまったメラノサイトを、周りの皮膚へのダメージを最小限に抑えて“やけど(光による熱発生)”を生じ させることにより、リセットしようというものです。治療後は、遮光とともに各種美白剤をアフターケアとして使用し、炎症後色素沈着を最小限に抑えることが 大切です。
以上、シミの原因およびシミに有効な美白化粧品の成分について述べてきましたが、シミは濃くなれば医学的治療を要することが多いといえます。このため、本来は子どもの頃から「紫外線防御」を意識し、美白化粧品はシミが発生する初期の段階(つまり、目では確認できないような10代、20代前半)から使用することが効果的だと思います。そして化粧品だけでなく、ビタミンC・E、アスタキサンチン、CoQ10などの抗酸化剤サプリメントの併用も大切です。
【代表的な美白成分】
◆m-トラネキサム酸
従 来より皮膚科においては、肝斑に対する内服薬あるいは院内製剤外用薬として使用してきました。このトラネキサム酸配合商品を皮膚に塗った際の美白効果を確 認し、資生堂が医薬部外品有効成分として新たに開発。 m-トラネキサム酸は炎症性プロテアーゼを抑制する作用があるので、刺激によりメラノサイトが活性化するのを根本から抑え、シミの悪化を防ぐと考えられて います。
◆カモミラET
カミツレの花から抽出。カミツレの花には精油(カマズレン、アズレン、ビサボロール)や発汗作用を 有する成分を含み、保湿剤や血行促進入浴剤としても使用されてきました。メラノサイトの活性化を抑制するだけでなく、メラノサイト増殖を抑える働きや、表 皮細胞からメラノサイトに「色素を作れ」との情報を伝達するエンドセリンが放出されるのを抑制します。
◆ビタミンC誘導体
ビ タミンCは酸化されやすく不安定なことから、“誘導体”とすることで酸化されにくく、皮膚への吸収を高めることができます。「リン酸アスコルビン酸マグネ シウム」「リン酸アスコルビン酸ナトリウム」「テトライソパルミチン酸アスコルビル(脂溶性)」など様々開発されています。いずれもビタミンC誘導体の魅 力は刺激性の少なさ、抗酸化力、コラーゲン産生に寄与するなど多彩であり、臨床でも“刺激の少ない美白剤”“炎症性赤ニキビのあとの赤みを減らす”“皮脂 抑制と抗酸化作用によってニキビを予防する”などの効果が報告されています。
◆ハイドロキノン
世界的にも代表的な美白剤。日本では2001年の規制緩和とともに化粧品にも配合されるようになりました。私たちが行なった試験「化粧品へ求められる9項目」においても充分な安全性が認められました(西日本皮膚68巻2号 p185-194:http://www.jstage.jst.go.jp/article/nishinihonhifu/68/2/185/_pdf/-char/ja/)。 刺激性の観点からは、4~5%程度の濃度での使用であれば特に問題はないかと考えます。最近では、欠点である光や熱に対する不安定さを錯体にすることに よって改善し、酸化に伴う製品の褐変化を低減させた製品も上梓されてきています。この場合、錯体である分だけ高濃度を要します。ハイドロキノン・モノベン ジルエーテル(MBEH)は不可逆性の脱色をもたらしますので、シミ治療には使用されません。
◆アルブチン
コケモモに含ま れることが知られる成分で、メラニン生成に不可欠な酵素であるチロシナーゼの働きを阻害する、つまり、過剰なメラニンの生成を抑えてシミになることを防ぐ 効果があります。ハイドロキノンにブドウ糖を1個結合させたハイドロキノン誘導体であり、最近では従来のβ-アルブチン(資生堂)とはブドウ糖の結合様式 が異なるα-アルブチンが江崎グリコで開発され、よりヒトのチロシナーゼを選択的に、かつ10倍も強力に阻害する成分として注目されています。
◆ルシノール
ポーラが開発したフェノール性水酸基を2個有するレゾルシン誘導体。ルシノールがチロシンの代わりに酸化酵素であるチロシナーゼと結合することにより、本来チロシンがチロシナーゼと結合してメラニンを生成することを抑え、美白効果を発揮します。
◆甘草エキス
グリチルリチンやグラブリジンなどを含み、グリチルリチンには抗アレルギー作用や抗炎症作用があります。また、グラブリジンにはメラニン生成抑制作用(美白)があるほか、活性酸素除去・抗酸化作用、ヒアルロン酸活性作用などがあります。
投稿者 mildix : 11:06
2006年12月08日
毛穴について
2006,12,08, Friday
皮膚病AtoZ 46号「毛穴について」
毛穴についていつの頃から毛穴が現在のように美肌情報の中心項目に加えられたのかは定かではありませんが、毛穴テーマは最近どの雑誌の美容特集を見ても取り上げられていますし、各化粧品メーカーも毛穴対策をうたった商品を販売しています。
毛穴が気になる部位は、毛穴の中でも毛はしっかりしていないのに、付着する皮脂腺が非常に発達している「脂腺性毛包」が主です。毛穴の悩みを分類すると、
①皮脂毛穴(皮脂が詰まって毛穴が広がる、あるいは面疱自体が目立つ白ニキビ、皮脂が酸化されて黒くなった黒ニキビなど)
②メラニン毛穴(毛穴の皮膚成分にメラニン色素が多くて目立つ)
③たるみ毛穴(加齢とともに皮膚がたるんで毛穴が広がる)
④角質肥厚毛穴(頬の外側や二の腕の外側がザラザラする状態で、毛孔性苔癬と呼ばれる)
になります。
(↓画像は現在、工事中です)
下記模式図は花王の化粧品パンフレットより一部転用いたしました。
図1.メラニン毛穴
図2.皮脂毛穴
図3.たるみ毛穴
図4.たるみ毛穴治療アプローチ
図5.指で押し下げると毛穴が斜めに拡大
図6.引き上げると毛穴は小さく見える
図7.二の腕の外側
図8.頬の外側
毛穴が気になる部位は顔、上背部などに限局されます。また顔の中でも鼻、頬など「ニキビ」がよく出現する部位に限定されています。すなわち毛穴の中でも特 に毛穴が目立つのは、毛はしっかりしていないのに付着する皮脂腺が非常に発達している「脂腺性毛包」がある部位なのです。同じ顔でも下眼瞼などでは毛穴を 気にする人もニキビで悩む人もいません。こうしたことから、毛穴拡大には皮脂あるいは皮脂腺が非常に重要な役割をしていることがわかります。
一般的な毛穴の悩みとしては上記のように①皮脂毛穴、②メラニン毛穴、③たるみ毛穴 ④角質肥厚毛穴 が挙げられます。
●皮脂毛穴
「皮脂毛穴」というのは皮脂が毛穴につまって押し広げている、あるいは皮脂が酸化されて黒ずんで目立ってしまうもので、思春期を中心に皮脂が多くてニキビ で悩む方の眉間や鼻によく見られます。皮脂のつまりを取る(ピーリング)、皮脂を抑制する(ビタミンC、ピル、スピロノラクトンなど)、皮脂腺を破壊する (一時的だがPDT、長期的には電気焼灼)などが改善法として考えられます。
●メラニン毛穴
「メラニン毛穴」とは何らかの理由(ニキビを繰り返したなど)で毛包上皮に沿って毛穴深くまでメラニン色素が増加したために毛穴周囲も含めて灰色に見えて 目立つもの。これらの治療には美白剤の使用、ピーリング、イオン導入などや、カーボンを詰め込んだレーザー照射(これはやけどで軽い傷を皮膚に作り、修復 過程<創傷治癒過程>の収縮作用を利用したもの、一時的ではあるがどの毛穴にも適応)などが行なわれます。
●たるみ毛穴
「た るみ毛穴」は主に頬に見られる斜めに広がって見える毛穴の拡大をさします。重力に従って皮膚が垂れて生じているので、ひっぱり上げれば小さく見えます。紫 外線や様々な酸化ストレスによって皮膚の弾性が失われ、加齢とともに皮膚が薄くなってしまうので垂れます。これは皮膚の厚みが少ない人により顕著に認めら れます(同年代の男女を比較すると、明らかに男性に少ない。元来、男性の方が女性よりも皮膚が厚い。また脂漏肌の人の方が皮膚が厚いので、少ない)。これ に対する最終手段はフェイスリフトです。その他の治療では皮膚の厚みを出す施術や成分も有用です。アブレージョン(傷を作って皮膚に硬さを出す)、TCA ピーリングも同様です。皮膚に硬さがあるからこそ垂れにくいという訳です。かさぶたを作らないものとしては表皮や真皮成分を増加させるレチノイン酸を始 め、マイルドではありますがグリコール酸、レチノールなども使用されます。
●角質肥厚毛穴
「角質肥厚毛穴」は鼻などでは皮脂毛穴と重複することも多いのですが、それ以外にも毛穴の出口の皮膚が著明に角化してしまい、触るとザラザラする「毛孔性 苔癬」という症状を合併している方もおられます(上腕外側にブツブツが目立つ人がいますね。それが頬外側の耳下腺あるいはこう筋あたりに出現する人もいま す)。角質が厚くなれば、より毛穴が深く見えるということ、毛孔性苔癬ではそれが顕著で周囲の皮膚面よりも明らかに飛び出してしまうので、ザラザラを通り 越してブツブツと感じてしまいますし、光の関係でカゲができて目立ってしまいます。前者の症状ではピーリング作用があるものを使用します。後者でも同様で すが、外用治療中はザラザラ感が緩和されるのですが、完全には消えないで当初の赤みから茶色い色素沈着へと年齢と共に変化してゆきます。サプリメントは強 いていえば美白効果があるもの、抗酸化作用、皮膚のターンオーバーを整える(ビタミンB2、B6など)でしょうか? 最後に、鼻は元々皮脂腺がとても発達 しており、皮膚(皮膚+その下の軟部組織)が厚いのでより目立ちやすい部位です。
以上、毛穴の悩みを見てきましたが……ということは、毛穴を目立たせなくするうえで、ダウンタイムがなくて有用な方法としては、
「毛穴をクリアにして、角質を薄くし、皮膚(表皮と真皮)の厚みを出し、皮膚の活性化を図る:ケミカルピーリング、レチノイン酸、レーザーなど光治療の併用」
ということになりそうです。
また、毛穴の目立ちをメイクでカモフラージュする方法もあるようです。
ヘア&メイクの油川ヨウコさんがすすめる
「毛穴を目立たせないメイク法」
※『レタスクラブ』(12月10日号)「大人メイクの小箱」より一部抜粋)
「最近は、毛穴の凹凸を平らにするシリコン入りの下地やファンデなど、優秀なアイテムが充実していますが、おすすめしたいのが“スティックコンシーラー”。スティックタイプは肌との密着度が高く、“持ち”もいいし、カバー力が抜群にあります」
(使うときのポイントについて)
「基本は、指で“薄く”塗ること。たくさん塗ると、時間がたつにつれて毛穴の中に入り込んでしまい、皮脂浮きして逆に目立ってしまう。そして、毛穴の凹凸の度合いによっても塗り方を変える。また、コンシーラーの色はファンデと同じくらいのものを選ぶ」
(メイク法)
①手の甲につけたコンシーラーを指に薄めにとる
(コンシーラーを使う順番は、パウダリーファンデを使っている人は下地のあとに、リキッドを使っている人はリキッドのあとに)
②毛穴が少ない部分は、なでるように塗る
(小鼻の周囲など、気になる部分を中心に上から下へ指でやさしくなでるように)
③毛穴が目立つ部分は、指を軽く回転させて 特に深い部分は、指で毛穴の周りをトントンと軽くたたくように回転させながら、塗る
④黒ずんでいる場合はコントロールカラーを塗る
(黒ずみが目立つ場合は、コンシーラーよりも黄色やパールピンクのコントロールカラーで小鼻周辺を薄くカバーし、ファンデをのせる)
*下地は、ファンデーションの肌への密着度を高めるだけでなく、肌をフラットにさせる効果も兼ね備えているため、使用したほうがファンデを使う量も減るし、肌がよりナチュラルに演出できるそうです。
投稿者 mildix : 05:44
ジェネリック医薬品について
2006,12,08, Friday
皮膚病AtoZ 「ジェネリック医薬品について」
最近よくテレビコマーシャルや新聞広告で見かけるジェネリック医薬品(後発医薬品)という言葉も、だいぶ認知されてきたように思います。皆さんはどうお感じになっているでしょうか? 私自身はジェネリック医薬品のメリットを認めつつも、情報不足や私自身の経験不足から2006年7月現在では数剤の導入(尿素製剤、抗生物質含有軟膏、抗アレルギー剤やビタミン剤の一部)にとどまっています。今回は知人の皮膚科医と雑談をしたことがきっかけで、ジェネリック医薬品について、次のような観点から考えてみました。
1)薬剤費が安くなる?コスト面について
(福井大学付属病院薬剤部;後藤ら.参考③より)
薬価が収載当初でも先発医薬品の7割であり、その後は市場価格などを加味して引き下げられる(安売りすれば薬価も下がる仕組み)ので患者様の窓口負担は低下します。日本において欧米並みに後発医薬品が普及すれば、年間約6兆円の薬剤費のうち1~2兆円が削減できるとも試算されています。当院では完全院外処方ですので、薬価差益は最初から存在しません。先発医薬品の薬局への納入価が対薬価90%程度であり、さらに消費税を含めると薬価差益がほとんどないと考えられるのに対し、後発医薬品では平均すれば対薬価約60%(中には30%以下もあるという)であり、さらに次の薬価改定で40%程度引き下げられることが多いという現実は何を意味するのでしょうか?全世界的にみて、安価な後発医薬品が発展途上国・医療経済困難者などに対して非常に重要かつ有用であることは判りやすいのですが、欧米とは異なり、国民皆保険の日本において薬価差益を生み出す二重価格が本当に必要なのでしょうか? また、医薬品選択において価格主体で誘導されるのは如何なものでしょう?
*米などでは加入している保険の種類によってかかれる医療機関、使える薬剤も自ずと制限されてしまいます。
2)品質・有効性・安全性について
後発医薬品では承認申請時に要求される試験として、
①1錠中の含有量の規格や有効成分の確認試験法
②安定性に関する加速試験(完全包装品が対象。より過酷条件での試験は後発品メーカーの自主的検討項目)
③先発医薬品との生物学的同等性(1997年のガイドラインで示された「薬の吸収パターンが同じであることを証明すれば、薬の効き目が同じ、つまりは治療効果も同等であるとする前提的な原理」に基づいて、健常人での血中濃度を比較した試験)
などがあり、毒性試験は全て免除されています。さらに外用剤では、生体への吸収過程が内服薬などに比べて少ないために生物学的同等性試験は免除され、浸透圧やpHなどの物理化学的性質などが同等性担保の視標になる場合もあると言います。
「先発医薬品と後発医薬品では未知物の検出率が異なる」などの報告、「実際に臨床効果が異なっていた」「報告されている薬物動態上は有意差がないものの、実際には食後に内服する薬剤がガイドラインに則って絶食時だけでのデータである」あるいは「動物での試験では薬物動態の指標となる値が先発医薬品に劣っていた」「ある種の外用剤では防腐剤が多い」「先発医薬品にも個体差は出てしまうが後発医薬品ではその差が大きい」などの数々の報告や意見もあります。また外用剤においては、たとえ主剤が同じであろうとも基剤が異なれば皮膚への吸収性(薬の効力)が異なることはよく知られており、先発医薬品と後発医薬品では当然ながら基剤が異なります。
これらの報告を目にすると、本当にTVコマーシャルで言っているような「同じ効果」と言えるのかどうか不安になります。さらに試験施設や試験方法が異なるために、本来は同じであるはずの先発医薬品の検査値も異なっていたりするため、比較も困難な状況であり、医療従事者の立場でもデータが不足していて判断できかねる状況にあります(統一された条件下での製品比較情報が少ない)。乱暴な例えかもしれませんが、一流メーカーのステイプラー(ホッチキス)と百円ショップのステイプラーがあったとします。針は同じものだとします。目的は同じく紙を綴じることにありますが、綴じる能力や使いやすさ、壊れる(不具合を起こす)頻度は果たして似たようなものでしょうか?薬も同様で「主剤」は同一で同じ効果をもたらします。しかし、その周囲に使われるもの(基剤)によってできた製品は少なからず変わってきます。それが薬剤の安定性であったり、体内や皮膚への吸収性、使用感(内服しやすい、味がよい、塗り心地に優れる、など)に違いが出てきます。
中には非常に喜ばしい改良を加えて発売しているメーカーもあります。例えば味。これは特に子供にとっては大切な問題です(苦味を消す、美味しい味付けにする)。また先発品にはない、剤形で発売しているものもあります。粉が苦手な子供用にゼリーにする、軟膏やクリーム基剤しかない外用剤をローションタイプにする、同じような液状の外用剤でも、よりさっぱりとした使用感にする、クリーム剤の外用した時の伸びなどの使用感を改善するなど工夫が施されています。さらには「主剤」ではなく「基剤」にあたるところの成分を変更したり、注射剤をキット化することによって、より安全性や簡便性に配慮した優れた製品もあります。このような良い面も多数あります。こういう努力をみると「頑張れジェネリック!」と言いたくなります。
3)医薬品情報(副作用情報など)について
先に記したように薬品には主剤以外に基剤があり、基剤が異なっているため副作用が全く同一かどうかはわかりません。外用剤による「かぶれ」をとっても基剤の成分による「かぶれ」があるように、先発品メーカーの副作用情報がそのまま後発品にあてはまることはないと考えます。また、先発品メーカーと比較すると医師や薬剤師への医薬品の情報提供が手薄に思われます。改善を期待したいと思います。
4)一般名処方と代替調剤について
一般名処方とは医師が薬剤の商品名ではなく、一般名(成分名)で処方する(例えば、イトリゾールではなくてイトラコナゾール)ことで、薬剤師が先発あるいは後発医薬品の中から患者様に情報を説明して薬剤を選択できるシステムですが、院外処方では実際の製品として何が使用されているかが不明です。TVコマーシャルのいう如く「先発品と後発品の効果が同じ(少なくとも基剤が異なっているにも関わらず、本当にここまで表現して許されるのであろうか?基剤の違いによる副作用発現などに関して情報は十分に蓄積されているのであろうか?)」という前提に立って、初めてこうした処方法はなされるものだと思います。代替調剤とは薬剤師が患者様へ説明後に医師の了解なしに同一成分薬へ切り替えることを言いますが、現時点では薬効の大きい薬剤の変更には抵抗感を覚えます。薬価差益で薬剤が選択される可能性もありますし、私自身がジェネリック医薬品について把握しきれていないことも一因です。
5)皮膚科関連のジェネリック医薬品について
①抗真菌内服薬
イトリゾールのジェネリックについては、「不特定残留溶媒総量が多い」「元来吸収性が良くないとされている薬剤であるのに、空腹時データしかない」ものや、「イヌの試験において薬剤血漿中濃度が先発品より低いものが存在する」などの報告から、採用を見送っています。ラミシールのジェネリックについては、発売されて間もなく、相当数のメーカーから販売されていて未だ比較された報告もないことから、現時点では未採用としています。今後の検討課題です。
②抗アレルギー薬
血中薬物動態は先発品と大差ないとされています。臨床効果の差の有無に関する報告は少ないようです。
③抗ウイルス薬
ゾビラックスのジェネリックには先発品には存在しなかった内服ゼリー、シロップ、ドライシロップなどがあります。
④抗生物質
内服抗菌薬は一般的に試用期間が短く、あえて臨床的に有用性が同等であるとの報告が少ない薬剤を選択する必要がどこまであるのでしょうか? 長期内服する抗アレルギー薬などと比較すると価格差は大きくないと思われます。
⑤ステロイド外用薬
種類が非常に多く、既存の先発品の中にも使用経験のないものもあり、基剤の違いによる薬効の差、さらには多剤との混合の際の問題(組み合わせによってはpHのために薬効が失活するなど)などが危惧されるため、現時点では先発品にない剤形の薬剤のみの導入に留まっています(先発品には軟膏とクリーム基剤しかなく、後発品にはローション剤が存在する場合など)。
現時点では未だジェネリック医薬品に関して十分に議論されているとは思われず、情報も少ない状況であり、「ジェネリックを選択する」ことには選択者(医師、薬剤師、患者)に自己責任というリスクも危惧されます。ある先発品メーカーのMR氏が「自分の会社が、特許が切れれば、薬価をうんと安くすればいいのに…」と言った言葉が印象的でした。先発品にはない工夫がなされたジェネリックに期待したいと思います。
下記資料を参考あるいは一部引用いたしました。
①オレンジブック総合版, ②日本ジェネリック研究会, ③澤 明、根本 治 編集:ジェネリック・ガイド Monthly Book Derma.No.113,全日本病院出版会,2006.
投稿者 mildix : 05:05