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皮膚疾患患者のお役立ちグッズ(1)
Visual Dermatoloy vol.7 no.4「皮膚科クリニック秘伝のチョットしたこと」を読んで、各臨床家の先生方の丁寧な指導に啓発を受けるとともに自らを多少なりとも反省し、その一部を紙面でご紹介することにいたしました。
「よくここまで、丁寧に…」というのが素直な感想で、エネルギッシュな方達だと感心しました。サミュエル・スマイルズの「自助論」にも「自助の精神はエネルギッシュに活動する人間に見られる特徴であるが、…」「エネンルギッシュに活動する人間は、他人の生活や行動に強い影響を与えずにはおかない。そこにこそもっとも実践的な教育の姿がある…」などの記述があり、確かにそういったヒトの姿には引き付けられるものなのですね。因みにサミュエル・スマイルズは、元は医者だったようですね。
さて、そろそろ本題に。
※当院ならびに有)エムズメディカルで販売するものではありません。購入に際しては、詳細を販売元ならびに販売店にてお確かめの上ご判断ください。
1) リエッセンス:素材と製法にこだわったインナーブランド
オーガニックコットン、さらには紡績過程でも科学薬品を使用していない糸を使い、染料も全て植物染料に限定し、手作業で縫製(ゴムや縫い代が肌に直接触れない)ようにしているもの。デザインも悪くなさそうです。
http://www.re-essence.jp/new/
2)ハピネスとバスト・ケア:工房・綾
無漂白・無蛍光のネル記事で作られている製品。「ハピネス」は生理用の布ナプキンで、経血染みを目立たなくするため植物染料を用いて数種類のカラーバリエーションも用意されている。「白うさぎ」:くらしを耕す会(名古屋市)などと同違うのかが残念ならが私にはわからない。「バスト・ケア」は普段のブラジャーの内側(肌に直接接する側)にあてがって使用する。乳首やバストの痒みが軽減する方が少なくないとのこと。実際に、乳首やバストの湿疹症状で来院する方は決して少なくない。アトピー性皮膚炎の女性患者ではなおさらである。外用剤で一時的には軽快するものの、同様の症状を繰り返す。念入りにすすぐ、素材や染料を選ぶ、症状がよくてもワセリンやシリコンハンドクリームを患部に外用し、その上に使い古しの綿100%のTシャツを切ったものをブラジャーとの合間にはさむように指示していたが、実際にどれだけの方が実行できていいたのだろうか? 現実に即した指導にはなっていなかったということなのでしょう。
横浜市神奈川区白幡東町32-6
電話:080-1290-7187 FAX:045-433-2609
3)ダイワボウ:アレルキャッチャーAD
東邦薬品経由で紹介され、院内にもパンフレットを配置しています。特徴は、鉄フタロシアニンで染色加工した繊維が痒みを誘発するアレルゲンを吸着することで、アトピー性皮膚炎の痒みの軽減に寄与することが報告されています。実際に当院でも1名分のサンプルをもらって、試してもらいました。問題は価格と販売方法。在庫リスクを抱えてまで当院では置けない。せめて、「チューブサポーター」タイプだけであろう。また、これが従来のwetwrapを行うのに使用・代用していた製品である「tubigrip」(エスエスエル ヘルスケア ジャパン:03-5466-2316)、「tubifast」など専用のものや、弾力包帯がわりに使用するものの代用品と比較して、どこまで優れているか実感できるかどうか?
大阪市中央区久太郎町3-6-8御堂筋ダイワビル
電話:06-6281-2411 FAX:06-6281-2531
http://www.daiwabo.co.jp/
4)こだわりタオル
本当に情けない。私自身は今治出身ながら、タオルのことをあまりにも知らなさ過ぎたようです。いつか休みを利用して、タオルについて勉強しようかしら? 目で見て理屈がわかり、実際に触って違いがわかると多少の値段差は気にならなくなるかも知れません。こうした資料を探したいと思います。
①近藤繊維工業株式会社:宅間
サンホーキン糸(カリフォルニア産綿花。強い繊維力と肌触りのよさ)。
甘撚ソフト(糸の撚りを甘くして、吸収率がよく柔らかい)
http://kontex.jp/
http://item.rakuten.co.jp/mij/c/0000000160/
http://www.universal-design.co.jp/aboutus/sample/54_3.html
②株式会社オリム:天保山
天然素材100%
http://www.orim.co.jp/
http://www.machida-cci.or.jp/kogyo/PDF/orim.pdf
5)洗剤と柔軟剤
いずれも皮膚科医による低刺激性であるとの試験報告があります。院内の柔軟剤から変更しましょうか?(現在は、ダウニー:個人的にはニオイがないようほうがよいのだが、スタッフの好み?)
①アミノ酸生活:液体洗剤:(株)たまき 5リットルで1.3万円
http://www.aminosanseikatu.com/
アミノ酸系洗浄剤。低刺激性、弱酸性。生分解性に優れる。
②アミノ酸生活:柔軟剤
アミノ酸誘導体を主成分。衣類のからまり防止。抗菌・防臭高価。ウイルス不活性化。静電気除去効果。
③ケアベール:衣料用洗剤:ライオン 545mlで600円程度
http://careveil.lion.co.jp/
複合洗浄成分MWA採用。洗浄成分が繊維に残りにくい。衣類の皮脂汚れをすっきり落とす。
④ケアベール:柔軟剤
柔軟成分HFSを配合。肌と衣類の摩擦を抑える。吸水性がよい。
参照:
Visual Dermatology,7(4):420,2008.
『自助論』サミュエル・スマイルズ
「白うさぎ」:はじめての布ナプキン
布ナプキン比較表
オーガニックコットン生地・糸 販売:福猫屋
てくてくねっと(白うさぎ 無漂白ネル布地・生機1m:)
PANOCO:オーガニックコットン専門店
tubigrip
tubifast
口唇の荒れ(続編)
口唇の荒れ(続編)―口紅・歯磨剤・アルミ缶による接触口唇炎(かぶれ)―
以前にも同テーマで患者様指導用の簡略な指導箋を作成いたしましたが(皮膚AtoZ「口唇の荒れ」)、「具体的な商品名などの紹介も含めてもう少し説明してほしい」とのご要望が多かったので、今回「Visual Dermatology」掲載の石崎論文を参考にして追記することにいたしました。
口唇の荒れ、かぶれの原因としては、口紅やリップクリーム、歯磨剤が(しまざい)が多いため、通常は先ずはそれらの使用を1~2週間全て中止してもらいます。歯ブラシも新しいものへ交換していただき、歯磨剤なしで歯磨きを行ってもらいます。これは、多くの歯磨剤に含まれるラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate, SLS:界面活性剤の1種で、乳化剤・発泡剤・洗浄剤として日用品に多用されている)が、アレルギーの直接的な原因とはならなくても湿疹・皮膚炎の増悪因子として作用し、一次刺激を起こすためです。それとともにプロペトなどをリップクリームがわりとして頻回に使用していただき、患部を外的刺激から保護します。これは唾液による口唇周囲の皮膚の荒れ(舌なめずり・口舐め皮膚炎:lick dermatitis)を防止する目的もあります。口唇が荒れていると、無意識のうちに潤そうとして舌なめずりをしてしまいますが、よけい乾燥させてしまい症状を悪化させるのです。赤ちゃんの「よだれかぶれ」を思い浮かべてください。唾液の付着は、醤油が付着したのと同じだと考えましょう。
なお当院では、口唇の荒れに際しては、希望があれば患者様がお使いの口紅、リップクリーム、歯磨剤(20倍希釈)、陰性対照(ワセリンなど)、一部金属(クロム、ニッケルなど)を用いたパッチテストを行っております。成分パッチテスト(エステルガムや各種タール色素、香料など)は施行しておりませんので、ご希望の方は大学病院などの施設をご紹介いたします。 下記の商品に関しては、メーカーにて要事成分変更が行われることも少なくないため、購入にあたってはメーカーあるいは販売店にて直接ご確認ください。
【口紅】
口紅は基剤の油性成分、着色料、つや出し成分、保存料、香料などから構成されている。アレルゲン(かぶれの原因)となる成分としては、油性成分としてのラノリン、ヒマシ油(リシノール酸)、着色料としてのタール色素、保存料のパラベン、つや出し成分のエステルガム、香料、紫外線吸収剤などがあげられる。代替品としての対策としては、ラノリンなどの天然基剤は合成基剤をはじめ、その他のものへ変更し、保存料やつや出し成分、香料など付加価値成分も極力取り除くことが大切になる。難しいのは色素への対応であり、一般的には無機顔料は安全性が高いと言われるが、タール色素ほどの着色効果が得られないとされている。タール色素を含有しない商品としてはコンテス口紅(No.12)、ファンケルリップカラースティック(全15色)、NOVリップグロス(ベビーピンク、ピンクベージュ)があり、これらではタール色素の代わりに無機顔料(酸化チタン、赤酸化鉄)を用いている。 タール色素を用いながらも、工夫にてアレルギー回避を図った商品もある。タール色素によるアレルギーの場合、アレルゲンは色素そのものではなくPAN(1-フェニルアゾ-2-ナフトール)などの不純物によることが知られている。そのため、資生堂のdプログラム(リップトリートメントカラー全8色)では、タール色素を精製して不純物を除去している。また、アクセーヌ(トリートメントリップスティックPV全27色)では微量のアレルゲンも直接肌に触れないように、色素粒子をシリカ薄膜コーティング処理している。 ラノリンなどの天然油性基剤でのかぶれの増加に伴って、合成分枝脂肪酸エステルが使用される頻度が多くなっているが、これらによる接触性皮膚炎の報告もなされてきている。また、ラノリンでかぶれる場合には、それらを配合した医薬品も控えねばならない。精製ラノリン(アクロマイシン軟膏、アズノール軟膏、アンダーム軟膏、エキザルベ、強力ポステリザン軟膏、スピール膏、ソフラチュール、タリビット眼軟膏、ネオメドロールEE軟膏、フシジンレオ軟膏、ポステリザン軟膏、レダコート軟膏など)、ラノリンアルコール(トプシム軟膏、ヒルドイド、メサデルム軟膏、モビラート)、ラノリン(フルコート軟膏、ベナパスタなど)、還元ラノリン(ヒルドイドローション)などがある。エステルガムによるかぶれの場合、膏薬や粘着剤の糊成分や風船ガムや板ガムの食感改善剤、あるいは食品添加物としても使用されており、注意を要する。 その他、近年では紫外線対策として口紅やリップクリームに「UVケア」などの表記なくサンスクリーン剤が配合されていることもある。可能であれば紫外線吸収剤を含まず、酸化チタンなどの紫外線散乱剤のみを使用したものが望ましい。
| 【商品一覧
】 入手方法や商品の詳細確認については各自メーカーなどへお問い合わせ下さい。当院でのお取り扱いはございません。 |
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| コンテス | 口紅(No.12) | ラノリン・パラベン・エステルガム・香料・タール色素(-) | 03-3366-5521 |
| ファンケル | リップカラースティック15色 | ラノリン・パラベン・エステルガム・香料・タール色素(-) | 045-226-1779 |
| アクセーヌ | トリートメントリップスティックPV27色 | ラノリン・パラベン・エステルガム・香料(-)、タール色素(+) | 03-3359-6571 |
| 資生堂 | dプログラム(リップトリートメントカラー8色) | ラノリン・パラベン・エステルガム・香料(-)、タール色素(+) | 0120-81-4710 |
| NOV常盤薬品 | リップグロス(ベビーピンク、ピンクベージュ) | ラノリン・パラベン・エステルガム・香料・タール色素(-) | 03-5561-6701 |
【歯磨剤】
歯磨剤には種々の形状のものがあるが、ペースト状の練歯磨剤が最も一般的である。これらは、研磨剤、湿潤剤、発泡剤、粘結剤、香料、着色料、保存料、その他の薬効成分などで構成されている。
発泡剤は練歯磨剤には欠かせない泡立て成分であるが、口囲の洗浄が不十分である場合や、その他の原因によるかぶれや湿疹症状などによるバリア機能低下状態では一次刺激を生じやすい。特に陰イオン系発泡剤であるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)やラウロイルサルコシネートは刺激を生じやすいとされている。サンスターの「GUMデンタルペースト」各種では非イオン系の発泡剤であるアルキルグルコシドを使用したり、発泡剤を全く含有しない練歯磨剤として「コープノンフォームハミガキN」を提供している。同じく、ウエルテックの「バイオエクストラマイルドペースト」も発泡剤を含まない。発泡剤を避けるためには、粉状歯磨剤、液状歯磨剤など形状違いの商品も選択肢たりえる。アクセーヌでは発泡剤を含まない研磨剤だけの低刺激性粉状歯磨剤を、医師の紹介に限定して通信販売で提供しているという。不確かではあるが、太陽油脂やシャボン玉石けんの石鹸ハミガキも合成界面活性剤を使用していなかったように記憶している。
香料では、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、メントール、カルボンなどがアレルゲンとして報告されている。メントールではアナフィラキシーや歯磨き喘息の報告もある。メントールを含まない商品は極めて少なく、上述のアクセーヌの粉状歯磨剤や第一三共ヘルスケアの「モイストウオッシュ」などの液状歯磨剤以外では、ライオンの「チェックアップジェル(バナナ)」という子供用の歯磨剤くらいだとされる。
| 【商品一覧】 入手方法や商品の詳細確認については各自メーカーなどへお問い合わせ下さい。当院でのお取り扱いはございません。 |
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| アクセーヌ | ハミガキ(粉状) | ラウリル硫酸Na(-)・パラベン(-)・香料(-) | 03-3359-6571 |
| サンスター | コープノンフォームハミガキN(練状) | ラウリル硫酸Na(-)・パラベン(-)・香料(+) | 0120-00-8241 |
| ウエルテック | バイオエクストラマイルドペースト(練状) | ラウリル硫酸Na(-)・パラベン(-)・香料(+) | 06-6376-5533 |
| 花王 | クリアクリーンプラスホワイトニング薬用デンタルリンス(液状) | ラウリル硫酸Na(-)・パラベン(-)・香料(+) | 03-5630-5080 |
| 第一三共ヘルスケア | モイストウオッシュ(液状) | ラウリル硫酸Na(-)・パラベン(-)・香料(-) | 03-6744-8000 |
【アルミ缶】
口唇中央部に限局して湿疹反応を繰り返す症例で、パッチテストで口紅やリップクリーム、歯磨剤が陰性、さらには金属(クロム、ニッケルが多い)で陽性を示したときに飲料容器としてのアルミ缶などを原因として疑う。一般的に、金属は合金として使用されているため、商品のネーミングに惑わされることが少なくない。実際に、アルミ缶においてもアルミニウム以外に、銅、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン、チタン、クロムなどが含有されている。さらに、塗料にはバインダー(接着剤)と顔料(色素)が使用されており、その顔料にも金属が含まれている場合がある(無機合成物使用時)。例えば、チタンと亜鉛で白色、カドミウムで黄色などが表現されている。口唇には関係なくとも、手で触ることへの関与も考慮せねばならない。金属は我々の日常生活の至るところに、思わぬ形で存在していることも少なくなく、注意が必要だ。金属の接触性皮膚炎に関しては、また機会を改めてご紹介する。
参照: ・Visual Dermatology,7(4):420,2008. ・化粧品の構成成分・皮膚外用剤Q&A(南山堂) ・アルミ缶の成分:分析表・塗料の種類・構成・絵の具の顔料・アクセーヌ・資生堂・NOV・常盤薬品・サンスターGUM・コープノンフォームハミガキN・ウエルテック・太陽油脂・シャボン玉石けん・花王・クリアクリーンプラスホワイトニング薬用デンタルリンス・第一三共ヘルスケア・モイストウオッシュ
ダニを減らす工夫とペットアレルギー対策
ダニを減らす工夫とペットアレルギー対策
アトピー性皮膚炎はもとより、気管支喘息においても吸入ならびに接触アレルゲンとして環境因子(とりわけダニやホコリ)の影響が大きいことは周知の事実であります。クリーンルームで生活するとアトピー性皮膚炎の方の症状が改善されることは九州大学皮膚科OBの福田・今山先生達の論文・学会発表などからも明らかなのですが、ダニなどの環境抗原が増悪因子であることは十分理解できても、それを全ての人に適応するのは非現実的です。加えて、最近ではペットアレルギーも増加していますので、今回は一般的な範囲でのダニアレルゲン対策とペットアレルギー対策についてご紹介します。
【ダニアレルゲン対策】
★ ダニが好む環境から考える対策
1)室温20~30℃、湿度70%以上(特に6~9月の高温・多湿な時期により繁殖) → 湿度50%以下では生きてゆけない!
2)ペットのフケ・ハウスダスト・カビなどのエサがある → エサをなくす!
3)じゅうたん・ふとん・布製ソファ・ぬいぐるみ等の卵を産みやすい場所がある → 温床を作らない!
★ダニへの具体的な対策
1)換気 → 空気の流れを作り、湿気を除いてカビの定着を防ぐ。室内に洗濯物を干さない。加湿器も過度には使わない。
2)除湿 → 湿度50%以下ではダニの繁殖は防げることに留意。換気は晴天で外気の湿度が低い時間帯が望ましいが、その他に除湿機の使用が有効かつ便利。外出時にタイマーを使用して2~3時間の除湿を行う。加湿器の過剰使用や観葉植物・水槽設置は控える。
3)掃除 → 掃除を丁寧かつこまめにすることで、ダニ・糞・エサになるチリを除去する。掃除機は高品質なものを選ぶ(フィルターの網目が0.3ミクロン以下のもの。掃除機の排気についても気を配りたい)。出来れば湿らせた雑巾で床などの表面の細かいホコリも除去。
4)床材 → フローリングがよい。じゅうたんは取り除く。特に畳の上にじゅうたんを敷くのは最悪である。畳には1畳あたり30秒は掃除機をかけ、1年に2回くらいは畳上げを行い、畳下も掃除するとともに、防ダニシート(安価で販売されている)をひくと効果的。
5)寝具 → 布団はこまめに日光に干して乾燥させ、取り込む前にはたたいてダニの死骸や糞を取り除く。ふとんは天日干しによって1時間で湿度は60%以下になり、二日目には30%以下になると言われている。天日干し出来ないときには掃除機による吸塵やふとん乾燥機も有用。出来れば、時にでも70℃以上の温度で数時間熱処理を行い、さらに業者に依頼してふとんを丸洗い(水洗い:チリダニの糞は水に溶ける)するのが確実と言われている。その後に「高密度に織った」ダニ対策用のシーツカバーなどを使用しよう。また、予めダニ対策がなされた防ダニふとん、パイプ枕もよい。
6)カーテン → 防ダニ加工がされたものや、ポリエステル100%で、高い耐洗濯性を備えたものが望ましい。床からは数cmは離して通気性・換気性を確保する。また1~2回は洗濯する。
7)ソファ・いす → 布製はダニの絶好の繁殖場所になるため、ビニール・合皮・皮革素材のものを選択する。
8)ぬいぐるみ → ダニが繁殖しやすいので数を制限し、丸洗い可能なものを選ぶ。
9)エアコンなど → 空気フィルターを週に1回は掃除機で吸引するとともに、布巾で空気の吸入口や排出口を掃除する。月に1~2回以上空気フィルターの洗浄を行う。また、定期的な交換も行う。
【ペットアレルギー対策】
近年では、私も含めて心の安らぎを求めて室内でペットを飼育する例が増加しています。一方で住宅環境の高気密化や窒素化合物(NOx)、硫黄化合物(SOx)、さらにはディーゼル排気粒子(DEP)などの大気汚染物質によるアレルギー感作・増悪因子の増加もあいまって、ペットアレルギーの増加も問題視されています。また、ペットを手放せば、それで解決するかというと、重複感作(複数のアレルゲン、例えばダニやホコリとともにイヌのフケにも反応している場合など)では、ペットだけではもちろん解決にはなりません。あくまでも増悪因子の一つが取り除かれたにすぎないのだということを理解していただく必要があります。
★ペットアレルギーの臨床的特徴
アレルゲンが5μmとダニアレルゲンよりも小さく、長時間空中に浮遊するため下気道にまで吸入されやすい。そのため、ペットへの直接接触だけではなく、飼育部屋への入室とともに数分後には鼻炎、結膜炎、喘息、皮膚炎や蕁麻疹などのアレルギー症状が認められる。さらにはペット飼育に伴い、部屋の湿度が上昇するため、二次的にダニの繁殖にもなってしまう。
★イヌ・アレルギー
ペットアレルギーとしてはイヌが60%を占めている。さらに室内で飼われる率が高いことから洋犬での事例が多いとされている。イヌのRAST(血液検査)にはイヌ上皮とイヌフケがありますが、イヌフケには上皮以外にも血清タンパクに含まれるアレルゲンも付加されている。
★ネコ・アレルギー
イヌの次に多く、約30%を占めている。ネコの場合の特徴は、抱きかかえることが多いためか、飼育者の衣服への接触を介して家庭内にも運ばれるため、非飼育家庭においても飼育家庭の1/100程度は検出され、敏感なヒトではこの程度でも十分に感作されるという。
★ハムスター・アレルギー
従来からのゴールデンハムスターよりも小型で、室内飼育が簡単なジャンガリアンハムスターの人気もあいまって急激に増加した。アナフィラキシーショックも報告され、死亡例もある。ハムスター喘息の特徴として、
・子供よりも成人に多い
・喫煙者に多い
・マンションでの事例が多い
・飼育開始1年前後での発症
・咳症状が強く、気管支炎と診断されていることもある
・目や鼻の症状は少ない(皮膚も)
・RAST陰性の患者でも吸入誘発試験では陽性になる
・アレルゲンとしては、体表面のタンパクだけではなく尿中タンパクも重要
・咬み傷から唾液中のタンパク質が直接血中に流入してアナフィラキシー反応を生じることもある
・飼育中止で速やかに症状が軽快 などが挙げられる。
*当院では、ジャンガリアンハムスター抗原での検査ならびに吸入誘発試験などは行っておりません。呼吸器科へ受診・ご相談ください。
★ペットを飼う上での注意点
1)尿で濡れると固まるタイプの砂を入れ、毎日取り替える。
2)居間や寝室を避けて、換気ならびに通気のよい場所で飼う。
3)布製の家具、表面の粗い素材でできた壁紙、じゅうたん、カーペットなどを避ける。
4)メスを1匹にする(メスの方がアレルゲン産生が少ない。オスの場合は去勢が望ましい)。
5)週に2回の入浴・シャワー浴を行う(イヌ・ネコ)。
6)空気清浄機を使用するとともに、換気に努める。
7)接触後は必ず手洗いを毎回行う。飼育者は着替えも行う。
8)咬まれたり、ひっかかれたりしないように気をつける。
参照:Q&Aでわかるアレルギー疾患1(2):201,2005.環境調整とアレルゲンモニタリングによる気管支喘息治療・管理の効果,ダニ対策講座:National,環境とアレルギー,ばんたねネットワーク
口腔アレルギー症候群(OAS)
口腔アレルギー症候群(OAS)口腔アレルギー、あるいは「花粉‐食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)」の患者さんは、相当数おられると思われ、当院においても口唇の腫脹やのどのイガイガ感などを訴えて来院される方も少なからずおられます。今回は、そのような方のためへの「指導カード」を兼ねた内容にしています。併せて、ラテックス-フルーツ症候群についての事項を記載いたしました。
口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome;OAS)は、通常シラカバを中心とした花粉症の患者さんが、新鮮な果物、野菜、ナッツ類などの摂取した時に出現する、主として口腔咽頭の粘膜のかゆみや腫れなどの症状をさしています。この食物アレルギーは、花粉アレルゲンと野菜や果物などの植物性食物アレルゲンに共通する抗原分子によって生じるものと考えられています。「シラカバ花粉症の患者さんがリンゴを食べると、口がかゆくなる」というのはその代表例です。原因となる食物を食べると、約15分以内にそれらが触れた口腔、口唇、咽頭部に刺激感、かゆみ、ひりひり感、突っ張り感などが現れます。鼻や眼の花粉症様の症状や、じんましんや血管浮腫、腹痛、嘔吐、下痢、咽頭閉塞感、喘息、アナフィラキシーなどを伴うこともあります。原因となる果物・野菜はモモ,リンゴ,ナシ,サクランボ,イチゴを中心としたバラ科の果物、メロン,スイカなどウリ科の植物、キウイ,バナナ,トマト,ジャガイモなど多数あります。
これらの食品にはシラカンバ(シラカバ)などの花粉と交差抗原性(アレルギーの原因となる物質が共通して含まれていること)があるため、年長児や大人では花粉症を起こした後に口腔アレルギー症候群を起こす場合が多いといわれています。年少児では、果物を多食することでアレルギーを起こす可能性が考えられています。もちろん、卵や牛乳、小麦などの食物、ダニ、ペットの抗原、花粉などが粘膜に接触することでも同様の状態が生じます。 同じ科に属する果物や野菜ではアレルギーを生じやすくなります。しかし、科が違っても共通抗原を持っている場合もあります。例えば、セロリ,パセリ,ニンジン,モモ,ナシ,ジャガイモ,シラカンバ花粉のグループは、そのうちの1つでアレルギーを起こすと、他の果物にもアレルギーを起こす可能性があります。他にも、サクランボ,リンゴ,ピーマンのグループ、モモ,リンゴ,ナシ,大豆のグループ、パパイヤ,パイナップル,大豆,イチジク,キウイフルーツのグループなどがあります。
シラカンバ(カバノキ科)は北海道に多く、アレルギーを起こす人が増えてきています。西日本ではオオヤシャブシ(カバノキ科)の花粉症との関係が指摘されています。関東では、シラカンバと同じブナ目のブナ科花粉症の人たちが、同様の症状を起こすのではないかと考えられています。
| ■花粉-食物アレルギー症候群 | ||
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花粉の種類
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症状出現に関連する食物 | |
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カバの木花粉
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果物
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キウイ,リンゴ,洋ナシ,プラム,プルーン,モモ,ネクタリン,アプリコット,チェリー |
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植物
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セロリ、ニンジン、オランダ(アメリカ)ボウフウ,パセリ,ディル,アニス,クミン,コリアンダー,キャラウェイ,フェンネル,ポテト,トマト,グリーンペッパー,レンチル,エンドウ,インゲン豆,ピーナッツ | |
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ナッツ類
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ヘーゼルナッツ,ウォールナッツ,アーモンド | |
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種子類
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ヒマワリ | |
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ブタクサ花粉
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果物
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バナナ,スイカ,マクワウリ,(樹皮,アブラムシなどの)みつ |
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植物
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ズッキーニ、キュウリ | |
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イネ花粉
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果物
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メロン,スイカ,トマト,オレンジ,キウイ |
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ヨモギ花粉
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果物
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リンゴ,スイカ,メロン |
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植物
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セロリ,ニンジン | |
果物のアレルギーがある場合、「ラテックス」(ゴム)にもアレルギーを起こしている場合があることも知られています(ラテックス-フルーツ症候群)。ラテックスとは工業用のゴム原料として栽培されているヘベア樹から得られた樹液で、ゴムそのものではなく、天然ゴムの中に含まれるラテックス蛋白です。ラテックスアレルギーは、医療用のゴム手袋や静注用製品、手術関連用品、カテーテル、看護用品などが原因になることが多く、アトピー性皮膚炎の患者さんに合併しやすいとされています。多くは接触蕁麻疹の症状ですが、時に重大なアナフィラキシーショックを起こします。そのため、ラテックスに対してアレルギーを起こしている場合には、下のような食品・花粉にアレルギーを起こしやすくなる可能性があるため、特に注意が必要です。
〔ラテックスと共通抗原のあるもの〕
バナナ、キウイ、クリ、アボガド、クルミ、トマト、パパイヤ、グレープフルーツ、ジャガイモ、メロン、イチジク、ピーナッツ
〔OAS症状を持つ患者さんへの注意〕
1)あなたのアレルギーは新鮮な生の果物や野菜によって引き起こされています。それらを加熱・調理したり加工(缶詰めなど)すれば摂取することが可能になるものがあります。電子レンジや80~90度の熱で加熱するなどの工夫や加工をしましょう。
2)なんらかの食物を食べてOASだと気づいた場合、一覧表に示した他の食物にもアレルギー反応を起こす可能性はあります。しかし一覧表にあるような食べ物をすべて回避する必要はありません。先ずはアレルギー症状を実際に引き起こしたもののみ避けてください。
3)アレルギー反応を起こした食物は、摂取することをやめてください。摂取を続けていると、さらに重篤な症状(全身症状やショック)が出現することがあります。
4)アレルギー反応を引き起こす食物を摂取して、呼吸困難などの重篤な症状が出現した場合には、エピネフリンなどですぐに治療する必要があります。救急病院を受診してください。
5)それほど重篤ではないOASの場合で、OASの有無を確認するためには、症状が出現した果物の皮をむいてみたり、その果物の新鮮なものを食べてみてください。もし症状が出現した場合は、以後その果物を食べる事をやめましょう。
6)ナッツによるOASの場合は、新鮮であっても、調理してあっても、重篤症状を引き起こす可能性が高いので、ナッツ類は完全に避けてください。
7)OASは抗ヒスタミン剤で症状を軽くすることができますので、アレルギー専門外来を受診することが大切です。花粉症を伴っている場合は、花粉症をうまくコントロールするとOASの症状を軽減させることができます。
参照:
Visual Dermatology,7(4):414,2008.
アレルギー・免疫8:837, 2001.
皮膚病診療,22(10):2000.
皮膚アレルギーフロンティア5:164,2007.
http://homepage2.nifty.com/smark/Oral%20A.htm
水イボのピーリング剤治療
水イボのピーリング剤治療当院での水イボ(伝染性軟属腫)の治療は、基本的には麻酔テープ(ペンレス)を貼付し、ピンセットで摘除する方法を第一選択としていますが、水イボ(伝染性軟属腫)の数が多く、ピンセットでの摘除が困難な場合に限ってピーリング剤治療をご紹介しております。
*この方法は「Visual Dermatology: Vol.7, No.4, 2008」をもとに当院用に多少の改変を行ったものです。
<ピーリング剤治療の利点>
① ピーリング剤を塗布するため、多少ピリピリはするが、患児への痛みが少ない。
② 痛みが少ないため、本人及びご家族の精神的苦痛・負担が軽い。
③ 事前に麻酔テープ(ペンレス)を貼付してくる必要がない。
<ピーリング剤治療の欠点>
① 周囲に湿疹があると、ピーリング剤の刺激感がより出現しやすい。
※湿疹の症状が強い場合は、湿疹治療をした後に水イボ(伝染性軟属腫)のピーリング剤治療を行う手順となります。実際のピーリング剤による治療は後日になる場合がありますのでご了承下さい。
② ピーリング剤治療は有効とされていますが、当然ながら1回で終わるものではなく、複数回かかる可能性があります。また、何回で治るというお約束はできません。
<実際の治療方法>
*ピーリング剤は20%程度のグリコール酸あるいは乳酸を使用します。
① 綿棒で各水イボ(伝染性軟属腫)にピーリング剤を少し多めに塗布します。
※ピーリング剤を塗布すると少しピリピリします。
② ピーリング剤の刺激が大丈夫であれば、基本的には2~3分以上そのまま放置します。
※刺激が強いときは、早めに終了しますのでお申し出下さい。
③ 中和剤をしみ込ませたガーゼ・コットンなどで拭き取り、全体に外用剤を塗布します。
<その他>
・治療した部位が部分的に「かさぶた」のようになることがあります。
・治療当日から入浴可能です。ピーリング剤・中和剤を使用しておりますので、当日中(入浴時)に洗い流すようにして下さい。その際には周囲の乾燥や湿疹の部位も含めて、状態に応じた外用薬(保湿剤、ステロイド外用剤など)を使用して下さい。
・治療には、ベッドの使用が必要になります。事前にご予約とともに下記同意書への署名をお願い致します。
ご予約の際は、必ず「水イボのピーリング剤治療」希望であることをお伝え下さい。
また、ピーリング治療後にピンセットでの摘除治療に変更を希望される場合も、その旨を必ずお伝え下さい。
※ 当院での局所麻酔テープ剤の患部への貼付はいたしておりません。事前に自宅でお願いいたします。
汗に伴う皮膚病
夏は高温多湿となるため、さまざまな感染症が増加します。例えば、子供のとびひ、水虫などです。さらに汗をかきやすく、多汗症の方にとっては嫌な季節となります。また薄着になって虫刺されやかぶれが多くなります。とはいえ、子供たちにとっては海水浴ができる大好きな季節です。でも海水浴でひどい日焼け、クラゲなどのトラブルを経験した方も少なくないのでは? 今回はまだ紹介していなかった汗に伴う皮膚病についてのお話です。
※多汗症、多汗症のボトックス治療、制汗剤などを参照してください。
1.あせも(汗疹:millia)
汗疹、汗貯留症候群と呼ばれています。何 らかの影響で汗を排出する管(汗管)がつまり、破裂してできます。高温の環境下に長時間いたり、発汗量の多い小児に発生しやすいと言われます。涼しいとこ ろにいるだけで自然と治まりますが、発汗を抑えるカラミンローション(収れん、保護、乾燥作用)などをつけると効果的です。その他にも炎症が強いとき(紅 色汗疹,汗疹性湿疹)にはマイルドなステロイド剤(例:ロコイドクリーム)を使う場合もあります。
また二次感染をおこしたものは「あせものよ り」といい、正式には多発性汗腺膿瘍と呼ばれます。この場合、抗生物質の内服が必要になります。あせもの予防には、高温多湿の環境を避け、通気性・吸水性 のよい衣服(綿のものなど)を着せ、激しく汗をかく運動を避けることなどが言われています。しかしこれでは、「夏はクーラーのきいた部屋でおとなしくして なさい」ということになりますね。せっかくの夏を楽しむことができません。ですので、とりあえずは汗をかき過ぎたらシャワーを浴び、よく水分を拭くだけで 十分だと思います。そして、時には少し高温浴や長湯、最近流行りの岩盤浴などでしっかりと汗をかいて汗管を十分に開いてやることも大切でしょう。
またベビーパウダーの一部に乾燥成分として含まれるケイ酸マグネシウム水和物を赤ちゃんが吸入すると、呼吸器合併症などを引きお越す可能性があるとも言わ れており、おすすめできません。あせもであっても、治りが悪い場合はおでき(あせものより)や、とびひの原因となることがありますので、早めの治療が必要 です。
2.金属によるかぶれ(接触性皮膚炎:Contact dermatitis)
冬には何でもないのに、夏 になると何故か腕時計やネックレスの金属に密着する部分の皮膚が痒くなったり、その部分に赤いブツブツが出てきた経験はありませんか? これは夏になって 汗をかくことにより、汗の水分によって金属がイオン化して流出しやすくなることや、皮膚の角質が汗でふやけてバリア機構が弱まって物質の透過性が高まるた めに生じます。
また臍の下の下腹部にできた湿疹を放置しておいたり、引掻くのを繰り返したりすることによって、茶色い色素沈着とともに皮膚がゴ ワゾワして硬くなってきてしまっている方もいますが、これはジーンズのボタン金具やベルトのバックルが原因であり、ピッチリした服装のために蒸れて汗がた まるのも一因となります。このような湿疹病変には、症状に応じたステロイド外用剤を使用するとともに、金属部分の少ない腕時計に変更し緩めにはめる、ボタ ンをプラスチック製など他の素材へ変更する、時に風通しをよくして皮膚を乾燥させるなどの工夫も必要です。
3.アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis:AD)の増悪
アトピー性皮膚炎(AD)の方の中には、夏の汗をかく時期になると悪くなる方が少なからずおられます。これは体温が上がって痒みを強く感じて引掻いて悪く してしまうだけではなく、汗にともなって上述の「あせも」から湿疹へ変化するものが混じったり、汗によってダニの死骸や糞、ホコリなども皮膚へ吸収されや すくなるためだと思われます。
元々、ADの方では汗が溜まりやすい首周り、肘の内側、手首、膝の裏などが特に悪くなっていることが少なからずあ ることからも、汗の関与が伺われます。大雑把に言えば、ADはいろいろなアレルギーを起こしやすい体質(アトピー素因)を持った方が、敏感肌(乾燥肌)が あるために、種々の物質が皮膚へ浸透しやすい状況にあり、そこにアレルギーやかぶれを起こしやすい物質が周囲(環境)に豊富にあることなどが揃って発症し てゆくものと考えられます。
乳幼児期には食べ物の影響も少なくありませんが、2~3歳を過ぎて腸管がしっかりしてくると次第に食べ物の影響はな くなり、入れ替わるようにダニやホコリなど環境抗原に反応する方が急激に増加します。普通の社会生活を送っている以上、完全にダニやホコリを遮断した生活 は不可能ですから、良い時があったり悪い時があったりと、その症状の程度に波があってもおかしくありません。良いほうに針が振れるのは、いくら振れてくれ てもよいのですが、悪くなり始めには早めに薬を使って抑え込みましょう。そして症状が落ち着くにつれて薬を弱め、ほとんどをスキンケアだけで維持できれば よいのではないでしょうか?
最小限の薬で少しでも良い症状の期間を長く維持するためにも、たとえ症状が軽くても日々のスキンケアを欠か さないということが重要です。皮膚を清潔に保つ(汚れは落とすが、皮膚の脂は落としすぎない(あるいは補う)、汗をかいたら可能ならば速やかに洗い流して 保湿剤で保護をする、十分な睡眠や掃除などで清潔な生活環境を整える、などです。
抗アレルギー剤などの内服薬はあくまでも外用剤の補助的役割に すぎません。痒いという感情は嫌な感情ですから、内服して軽くなるのであれば良いし、あるいは引掻くという行為によって症状が悪循環を起こす方にとって は、内服することによって無意識に引掻く行為が抑制されるので良いし、さらには内服を併用することによってステロイド外用剤の使用量が減るのであれば意味 があるのです。現在の抗アレルギー剤を内服してもADの痒みの全てが抑えられるわけではありませんから、個々人で試して自分にとって意義のある抗アレル ギー剤を手持ちとして確保しておくのも良いかも知れません。
4.汗管嚢(のう)胞(hidrocystoma)
夏の暑くて汗が多い時期だけ、目の周りを中心にでてくるブツブツです。顔 面の特に目のまわりに多発することが多く、大きさが2~3mmの半透明の結節で、夏(7~9月)の汗が多くなる時期には顕著化しますが、冬の涼しい時期に はほとんど自然に消失してしまいます。実際には汗の貯留によって真皮内の汗管が拡張・のう腫化したもので、本当の腫瘍とは異なります。
正確な発 症頻度はわかりませんが、実際に皮膚科を開業して多くの患者さんと接するようになると、決して稀なものではないことがわかりました。以前は「涼しくなれば 自然によくなるのだから、我慢を…」と言うことしか出来ませんでした。しかし多汗症に興味を持っていろいろな外用剤を調べている時に、「1%硫酸アトロピ ン」という抗コリン剤の使用では「眩しい」などの視覚調節障害が起きてしまう患者さんでも、その他の抗コリン剤では大丈夫という方もおられ、外用するだけ で発汗量とともにブツブツの出現も抑えられる患者さんも確実におられるということがわかりました。
現実に顔に多くのブツブツがあるというのは、 ご本人にとっては自然に消えるとわかってはいても決して気持ちの良いものではありません。このような症状のある方は是非試してみてはいかがでしょうか? また、更年期後半の女性にこうした症状が多いようで、更年期障害のマイルドな治療としてプラセンタ注射や漢方薬を併用すると調子が良い方もおられます。
毒虫による皮膚病について
こ こでは毒虫を、昆虫類やダニ類などの節足動物で、直接人体に危害を加えるもの、としておきます。虫によるアレルギー反応のおこりかたは個人差が激しいもの ですが、体質だけではなく、刺されたり血を吸われた頻度によっても変化します。大人が蚊にさされても最初は赤く腫れますがすぐに消えてしまいます。ところ が同じ蚊に刺されても小さな子供では1~2日後から赤く、硬く腫れあがって時に水ぶくれまでできることがあります。前者がIgEと肥満細胞、化学伝達物質 による反応で即時型アレルギー反応と呼ばれます。後者はTリンパ球による遅延型反応です。蚊に初めて刺された時には唾液腺物質に対して感作されていないの で無反応です。その後にまず遅延型反応が出現し、次いでIgE産生に伴って即時型反応が出現し、さらに刺され続けると遅延型反応が弱まり、さらには即時型 反応までもが弱まって、ついには無反応になるとされています。すなわち、無反応→遅延型反応のみ→即時型反応+遅延型反応→即時型反応のみ→無反応という ように刺され続けることによって反応が変化してゆきます。屋外での予防は長袖長ズボン、防虫スプレー、発生源を探して駆除を行う必要があります。保健所で も相談できます。治療の基本は強めのステロイド外用剤を使用して早めに治して痕を最小限にしましょう。また、夏の時期、お子さんたちは「とびひ」に注意が 必要です。
【血を吸う毒虫】
吸血の際に注入する 唾液腺物質には、坑凝固作用や麻酔作用を持った物質が含まれており、皮膚に対して刺激性が少ないので気づかないうちに容易に血を吸われてしまいます。しか し、体がこの唾液腺物質に感作されると、吸血後にアレルギー性炎症が起きるようになります。①二酸化炭素、②体温、③皮膚のにおい、が吸血性の虫を引き付 けるとされます。
1)蚊
メスだけが吸血し、主に顔面 や手足などを刺される。都市部ではアカイエカやヒトスジシマカによる被害が多い。症状は上述したとおりで、治療は症状の程度に応じて坑ヒスタミン剤やステ ロイド剤の内服、そしてステロイド剤を外用します。問題は「蚊過敏症」で、蚊にさされた後に38~40℃の発熱を伴って、局所に水ぶくれや血まめが出来た 後に潰瘍化して、治癒までに1ヶ月近くかかってしまい汚い瘢痕(傷跡)を残すような場合にはEBウイルスの持続感染が関与したNK細胞性白血病の発生が危 惧されます。疑わしい場合にはEBウイルス抗体価(EBVCA-IgM/G,EBNA)EBウイルスDNAの検査を行います。
2)ブユ
西日本では「ブト」、関東では「ブヨ」と呼ばれ、小型のハエといった呈をしており、メスだけが吸血する。幼虫がきれいな渓流にすむため成虫も山間部に多 く、ハイキングやキャンプの際に足などの露出部を刺されることが多い。都会の人は刺される機会が少ないため、遅延型反応が主体ですが、痒みが長く続いて痒 疹化(大き目の硬いブツブツ)することがあります。このような場合にはステロイド含有テープやステロイドの局所注射を要することもあります。
3)ノミ
遅延型反応だけが出現していることが多い。最近はネコノミ(イヌやネズミにもつく)が主体である。成虫で2~3ヶ月生存し、絶食しても1ヶ月は生き延びる そうで、体調3mm程度であるが、地表から30cmくらいジャンプできる。そのため、足や下腿を中心に強い浸潤を伴う紅斑や水疱や血疱が出来て、かゆみが 強いのが特徴です。ネコノミが押し入れや畳下などに住みつくことや犬についたノミが草むらに住みつき人が草むらを通ると刺されます。成虫のみが吸血。メ ス・オスともに吸血。ノミが人の息中の二酸化炭素に反応するのを利用したのが、「ノミのサーカス」の原理だそうです。
4)シラミ
ノミと違ってオス・メスともに一生を人血に依存します。頭ジラミと毛ジラミがありますが、形態はケジラミの方が小さくて幅広く英語でクラブラウス(カニジ ラミ)と呼ばれるのも頷けます。「頭ジラミ」は、小学校、幼稚園などで集団発生することがあります。頭髪の中を這い回り、虫卵を髪の毛に産み付けたものが 白い点状の粒として見られ、稀に動く虫体(成虫:2mm位の虫)が見つかることもあります。女の子は男児よりも髪の毛が長くて住みやすいので、比較的女児 に多いとされています。一方、「毛ジラミ」は陰毛に寄生し激しい痒みを伴い、性行為にて感染しますので、成人にみられます。比較的多くの人で虫体が確認で きます。虫卵も陰毛に産み付け白い点状の粒として観察されます。いずれも痒みを伴い、よくみると白っぽい粒が毛に付着していますから、おかいいと思ったと きには皮膚科を受診しましょう。髪の毛を剃ったりする必要はありません。どちらもスミスリンパウダーやシャンプーで簡単に治ります。
5)ダニ
ダニは昆虫ではなく、足が8本(幼虫時代は6本)あることからもわかるように、クモの仲間です。「イエダニ」は皮膚の柔らかな、幼児や女性、しかも女性の 内腿などを好んで吸血するので、エロダニとの別名があるそうです。本来はネズミ(特にドブネズミ)につくダニで、発生のピークは6~9月の頃。ネズミがい ないのにイエダニにやられる、というのは「トリサシダニ」によるもので、もとは鳥類に規制するダニで、軒端に巣食ったムクドリ、ツバメ、スズメなどの巣や 体から這い出して人に吸血する。ペットの小鳥から移ることもあります。鳥の繁殖期のあとに巣から這い出して軒伝いに室内に入り込むことが多いので、6~7 月に被害が集中しやすいとされています。「マダニ」は野生動物に寄生して吸血する。草むらなどに静止していて、人に接触すると皮膚を俳諧して適当な部位を 探して、唾液を注入しながら吸血し、数日から2週間程度で飽血状態となって脱落する。虫体(の口器)が皮膚に強く咬みついているので、無理に除去しようと すると口器が皮膚に残るので、切開を要する場合もあります。基本治療は他の毒虫と同様で、坑ヒスタミン剤の内服や、ステロイド剤やクロタミトンの外用を行 います。
【刺 す毒虫】
刺咬・接触の際に生じる赤みや痛みは、刺咬時の物理的な刺激と、注入された毒成分による科学的な刺激から起きます。毒成分には、科学的刺激物質と してヒスタミン、セロトニンなどや、さらにはアレルゲンとして考えられているプロテアーゼなどの酵素が含まれています。
1)毛虫(ケムシ)
ほとんどがツバキやサザンカに見られるチャドクガの幼虫の毒針毛による皮膚炎で、首すじや肩、腕などに生じることが多いようです。年に2回発生し、成虫は 6~7月、9~10月だが、集団でいることもあり幼虫による被害が多く、接触時の痛みは少なく、数分から数時間後にピリピリ感、強い痒みが生じて、小さな 点状の赤いブツブツが寄り集って現われて2週間くらい続きます。その他、カレハガ類やイラガ類では接触時に強い痛みを感じます。イラガではその後数日で症 状が消失します。木の剪定をしたり、草取りをしたりするときは手袋をし、厚手の長袖のシャツを着て、首周りをタオルなどで保護し、毒針毛から身を守りま しょう。刺された覚えがなくても、毒針毛は肌についていることがありますので、散歩などをした後は肌を水で洗い流したほうがよいでしょう。刺されたと感じ たときは、セロテープ等で毒針を取り除き、水で洗い、ステロイド外用薬をつけてください。
2)蜂(ハチ)
刺すのは社会生活性の強いミツバチ、スズメバチ、アシナガバチである。蜂の種類に、よって異なるが一度目は軽いが2度目以降に刺されるとショックを起こす ことがあるので注意が必要です。スズメバチやアシナガバチ類の毒にはセロトニンやブラジキニン類似物質が含まれ、初回でも激痛を起こします。注意として、 色;黒や花柄模様を好むため白、赤、黄色などの原色の服を着る。におい;ヘアスプレー、ヘアトニック、香水等の化粧品を使用しない。音;小型超音波発信器 も興奮を誘うため使用を控える。行動;追い払う様な行動は興奮を招くため避ける。応急処置として、冷水で冷やし四肢を刺された場所より心臓に近い方をゴム などで縛ります。最近、携帯用エピネフリン自己注射キット(エピペン®)が上梓されています。
【咬みつく毒虫】
咬みつくのと同時に毒液を分泌するもの(ムカデ、アリ)と、咬みつくだけのもの(大型のクモ、バッタなど)。
1)蟻(アリ)
咬むと同時に蟻酸をふりかけるタイプでは症状が強い。時に毒針で刺すタイプに日本でも遭遇します。
2)ムカデ
オオムカデ属によるものが多い。ヒスタミンや酸が含まれており、咬まれると激痛が走るといいます。腫れや赤みとともに、リンパ管炎を伴うことがあります。ムカデの多い地域では屋内への侵入もありますので注意が必要です。
参照:野外の毒虫と不快な虫(梅谷献二・編:全国農村教育協会)、毒虫の話(梅谷献二ら:北隆館)、Visual Dermatology Vol.4 No.6(夏秋 優・編:秀潤社)
アトピー性皮膚炎
A1. 基本的には自身でかゆみが軽くなるのを実感される方や、引っかき傷が少なくなるなどの目で見える効果が得られる方には処方しています。確かに背中の手が届 く範囲に一致して皮疹が悪くなっていて、背骨付近はきれいな皮膚をされている患者様もおられますので、引っ掻くという行為は悪くする因子だと思いますし、 ご自身で自覚されている方もおられます。引っ掻くという行為が続くと、皮膚が苔癬化(皮膚がゴワゴワになる)や痒疹(1個1個の皮疹が虫刺されの痕のよう に固く盛り上がる)、夏には容易に「とびひ(伝染性膿痂疹)」を引き起こします。ご自身の皮疹の状態がどれくらいの強さのステロイド外用剤でコントロール できるのか、ということを少しずつでも覚えていただいて、ご自身やご家族の方にもある程度の薬剤の選択が出来るように指導してゆきたいと考えています。い ずれにせよ、医師だけではなく患者様との二人三脚でアトピー性皮膚炎がコントロールできればよいと思います。
Q2.ステロイド外用剤の使用についてどのような考えですか?また、副作用はどのようなものでしょうか?
A2. 状態に応じて、ステロイドは適切に使用すべきだと考えています。保湿剤や非ステロイド外用剤だけで患者さま全員がずっとコントロール出来るものだとは考え ていません。但し、使用にあたっては症状や部位に応じてすてロイド外用剤の強さを変更する、あるいは保湿剤単独のスキンケアへと移ってゆきます。未だにス テロイド外用剤についての誤解されていることも多いようです。例えば、ステロイド外用剤を使用すると皮膚が黒くなる、ステロイド外用剤を中止するとリバウ ンドが起きる、などです。しかし、副作用があるのも事実です。ステロイド外用剤を使用すると、皮膚の炎症を抑えるとともに塗った皮膚の抵抗力(免疫力)が 低下しますので、細菌、カビ、ウイルスが付着したり増加してニキビやヘルペスをひどくする場合があります。今までと違う症状がでた場合には早めにご相談下 さい。中止、あるいは適切な薬剤の使用によって短期間で治療できます。また、クスリの吸収がよい部位(顔面:毛包脂腺系が発達している,陰嚢やご老人の皮 膚:皮膚が薄い など)に長期間にわたって強いステロイド外用剤を使用すると小さな血管が浮き出たり、皮膚が薄くなってくることがあります。病変の部位を 選んで適切な強さで外用し、クスリを休む期間を設けたり、免疫抑制剤(プロトピック®)などを使用することによって、これらの症状を避けることが出来ま す。
Q3.いわゆる民間療法については、どう思いますか?
A3.現時点で、西洋医学的見地 からみて有効性が実証されていないからといって、その有用性を完全に否定すべきものではないと思います。但し、あまりにも改善が見られない場合や、高額な ものはいかがなものでしょうか?中には民間療法で改善される方もおられるのでしょうが、その割合はどの程度のものなのでしょうか?私は医学的治療を優先 し、スキンケアやサプリメントなどの一環として補助的に使用するものだと考えています。スキンケア製品として考えた場合に、使ってもらうためには使用感と いうのも重要な因子だと思います。
パッチテスト
パッチテストを受ける方へ
パッチテストとは、化学物質や薬剤または化粧品などが、皮膚 に対して刺激性やアレルギーを持っているか、背中や上腕内側に貼ってしらべる検査方法です。
<テストのためのあなたの来院日は次の通りです>
貼る日:
火曜日か土曜日になります( )日( )曜日- 時に来院して下さい。
(貼った翌日は来院しなくてもよい)
第1回判定日:
木曜日か月曜日になります( )日( )曜日-この日は 時 分までに来院して下さい。貼ったものをはがし,30分後に判定します.
第2回判定日:
金曜日か火曜日になります( )日( )曜日- 時 分迄に来院して下さい。
<当日持参していただく物>
1)
2)シャンプー・リンス・トリートメント類
3)毛染類
4)石けん類(洗顔用・浴用)
5)洗剤・柔軟剤・蛍光増白剤類(洗濯用・台所用)
6)その他
<注意していただく事>
1)テスト中は第2回判定が終わるまで(テスト部位の)入浴禁止です。(マークを消さぬように)また,汗 をかくような事は行なわないで下さい。
2)かゆくてもはずさないこと。また、かいたり、たたいたりしないで下さい。
3)肌着は必ず綿100%のものを着用して下さい。(腕に貼る場合は袖つきを)
4)テスト中は、運動や子供さんを抱いたり、大きな荷物をかかえたりしないで下さい。
(汗や動きによるテープのずれを防ぐためです)
5)テストを受ける7日程前から、日焼け(水泳等で)は避けて下さい。
6)化粧品は小分けせず容器のまま持参して下さい。
(シャンプー・リンス・洗剤の小分けは可能ですが、会社、商品名は必ず明確にして下さい)
7)予約日に来院出来ない場合は早めに連絡して下さい。
水いぼ(伝染性軟属腫)
◆「水いぼ」とは◆
特 に幼稚園児から小学校低学年によくみられるウイルスによる感染症です。時間の経過とともに大きくなりますが,せいぜい1ないし5mm程度で成長は止まりま す。大きいものでは中央がくぼんだ,光沢のある皮膚色から淡い赤色の小さなブツブツです。押しつぶすとチーズ様の白いかたまりが出てきて,この中にウイル スが含まれているので,これが皮膚につくとうつります。体幹のほか,腋窩,臀裂部などの皮膚が薄くて擦れる部位に好発します。水いぼが出来るとモルスクム 反応(水いぼ周囲の湿疹化)がみられるのでかゆくなりますし,それを引っ掻いてしまうので体のアチコチに広がったりします。アトピー性皮膚炎のような乾燥 肌を持った患児によくみられます。水いぼは多くのウイルス性疾患と同じく(水痘,麻疹,風疹など)自然に治ってゆくものですが,弱いウイルスなので免疫反 応も起きにくく(そのため,症状も軽いのですが),治るのに時間がかかります。何もせずに様子をみていれば,1個1個は2ヶ月程でなくなりますが,引っ掻 いてしまって自家接種により連続して他の部位に広がってゆくので,完全に無くなってしまうには約6ヶ月から3年(平均6~7ヶ月)かかります。
B.◆水いぼの伝染性◆
水いぼは,主に肌と肌の接触によってうつりますが,その他タオルやプールのビート板などの物を介して感染するとされています。伝染力は強くありませ ん。インフルエンザでは飛まつ感染ですので一人がくしゃみをすると近くの何十人が感染し,集団流行してしまいます。一方,水いぼでは体の接触による感染な ので,一人から一人への感染ですんでしまうので大流行にはいたりません。また,物を介しての感染では,ウイルスが付着していると思われるタオルなどを共用 しなければ,感染を防ぐことができます。
C.◆治療の種類と選択◆
ウイルス感染ですから,どの医師にもなる べく早く治療すべきであるとの認識があります。しかし,一般的に行われているいわゆる「水いぼとり」には確実な方法ではあるが痛みと恐怖を伴うという大き な欠点があり,上述したように自然治癒があるのだから,痛みの少ない治療を優先すべきである,あるいは全く放置するという考え方の医師もいます。一方,自 然治癒が多い反面,放置しているうちに数が多くなり,「水いぼとり」に頼らざるをえなくなったり,湿疹やとびひを併発して子供たちをもっと苦しめるはめに なることも経験します。「治療すべき」か「治療せざるべき」か,また治療するにしてもどの方法がよいのかについては一概には言えないのが現況です。どれを 選択するかは,子供には決めれませんので,ご家族でよく相談なさってください。
1)ピンセットによる圧出(curettage):約1時間前にペンレステープなど外用局麻剤使用した後にピンセットで摘み取る。
長所:直ぐに治る。欠点:痛みと恐怖。余りに小さいものは処置できない。
2)液体窒素凍結療法(Cryotherapy):綿棒などを液体窒素に浸して患部に押し当て,細胞外水分を凍らせて,細胞を脱水させて壊死にいたらせる。
長所:ピンセット処置よりは痛くない。欠点:痛み,痂皮形成など。
3)サリチル酸貼付:スピール膏を病変のサイズに合わせて切って貼付。数日すると白くふやけて脱落。
長所:痛くない,自宅で出来る。欠点:手間がかかる,周囲の健常皮膚を痛めることあり。
4)硝酸銀・トリクロロ酢酸:腐蝕させる。ケミカルピーリングの一種。
長所:痛みが軽度。欠点:軽い刺激感(硝酸銀の方が軽い,モノクロロ酢酸ではチクチク感強い)と硝酸銀では塗布部に2週間ほど角質の黒色の色素沈着が生じる。
5) 10%KOH(potassium hydroxide):1日1~2回綿棒で患部に約30日外用。刺激感(stinging)。強力なアルカリで蛋白を消化。
長所:痛み少ない。自宅で可能。欠点:刺激感と効果の不確実さ。
6)グルタールアルデヒド:1日1~2回綿棒で患部に毎日外用。褐色の色素沈着が現れる。
長所:痛み少ない。自宅で可能。欠点:皮膚の着色と効果の不確実さ。
7)ヨクイニンを内服:免疫反応を増強し,自然脱落を早めるといわれます
長所:痛みがない。欠点:毎日クスリを服用しなければならない。効果不確実。
8)自然に治るのを待つ:時間はさまざまですが,待てばほとんどの場合,消えます。湿疹病変のコントロールは同じく必要です。
長所:手間と金いらず。欠点:時間がかかる(半年から3年)。湿疹病変が増悪することあり。
9)その他にカンタリジン(cantharidin; Cantharone),レチノイン酸,5-Fu,1%imiquimod(Aldara)の外用などが有効であったと報告されていますが,当院では薬剤入手・コスト・刺激性の点から施行していません。
D.◆プール◆
昔はスイミングスクールで水いぼが多発して問題になったことがあります。この問題の研究をされた方によるとこの時の水いぼには、わきの下に多発すると いう特徴があり、ビート板がウイルスを媒介していた可能性が示唆されています。園や保育園ではビート板を使うことは少ないようですし、最近は衛生管理が良 くなったためか、スイミングスクールでの水いぼ問題を聞きません。旧文部省の通達で、ビート板の共用さえしなければ学校ではプールに入ってよいことになっ ています。プールの水の中に水いぼのウイルスが存在するかどうかは明確なデータがありませんが、主には肌と肌の直接的な接触によってうつりますので、大人 と違い子供たちプール遊びの特徴は裸でのじゃれあいである以上、プールに限らず集団生活をおくればうつります。しかし、じゃれあいも子供たちにとっては大 切でしょう。子供たちが安心してプール遊びができるように、また保護者が安心して見守れるように環境を整えて、プールの是非について各施設と保護者たちが 共通の認識を持つことが大切だろうと思います。プールに入っていいかどうかについては、医学的見地からだけではなく、施設の管理者など子供たちの健康を守 る義務を課せられた人たちの立場も尊重して決められるべきものでしょう。
E.◆注意点◆
1) 水いぼ自体の積極的な治療は別として,乾燥や痒みに対する治療は行うこと。
2) 肌と肌の接触により感染することが多いので,狭い浴槽などを使用するときは患児と直接肌を合わす機会を減らすように工夫する。
3) 水泳・水遊びの後は,全身をよく洗う。適宜,保湿剤などの外用を行う。
4) 緊密な接触によって感染するので,タオルやその他の衣服類,水泳時のビート板の共用をしないこと。
円形脱毛症
2)症状・病型:病変部は境界鮮明で,単発または多発,脱毛斑は類円形でその部分には毛がなく滑らかで柔らかい皮膚となります。活動期の脱毛巣の周辺では特有の“感嘆符毛(毛 幹部は太いが毛根部は萎縮して細り,「!」に似る:成長期に何らかの傷害が加わり,休止期へ移行して毛の角化が妨げられたもの)”を認める。一般的には自 覚症状はないが,脱毛前や活動期には軽度の痒みや違和感(いじいじ,じがじが)を生じることがあります。生えてきた毛は最初は軟毛ですが,徐々にしっかり した毛に変わります。白毛のこともあります。10〜20%に爪の表面に点状凹窩,縦溝などの変形をみます。
① 単発性円形脱毛症(alopecia areata simplex:AA-S):孤立性の脱毛巣が1〜3個
② 多発性円形脱毛症(AA multiplex:AA-M):脱毛巣が多発。通常型は予後良好だが,病巣が多発融合するものは難治(多発融合型)。
③ 全頭脱毛症(A totalis:AT):全頭髪が脱落
④ 汎発性脱毛症(A universalis:AU):眉毛,睫毛,腋毛,陰毛,体毛なども脱落
⑤ 蛇行状脱毛症(ophiasis):後頭部から耳後部の生え際に境界鮮明な帯状の脱毛巣で発症
* ③,④,⑤ともに難治。ATやAUは多発する脱毛巣が拡大融合しながら全頭に及ぶ場合と,最初からすべてが脱落する場合がある。
3)検査
① 血液検査:抗核抗体,白血球文画(好酸球数),IgE,時に副腎皮質機能,甲状腺機能(マイクロゾーム抗体,サイログロブリン抗体含む;特に小児)・・・アトピーや各種自己免疫疾患の合併が少なくないため。
② 爪甲変化:特に女性では爪甲変化が予後因子の一つになるとの報告あり。
4)治療
① 血流改善
・ 塩化カルプロニウム液(フロジン液):
・ ミノキシジル製剤:ステロイド外用と併用が有効との報告あり(国内は1%、海外は2%と5%製剤あり)。
② 炎症・免疫調整
・ ステロイド外用:年齢が若いほど,出現から治療までの期間が短い(1年以内)ほど効果的。Very strongクラスを1日1〜2回。
・ ステロイド内服:成人ではプレドニン30mg/連日もしくは40mg/隔日で開始し,2〜3週ごとに5~10mgの減量で一般的には2〜3ヶ月前後で毛髪 が新生します。5~10mg前後まで減量あるいは中止した際に新生毛が再脱落することが少なくない。10mg/日以降は1mg/1~3週で微量減量した り,ステロイド外用を併用。
・ ステロイド局注:難治性の小脱毛斑に使用。局注後4〜6週である程度の発毛を認める(60〜70%)。1〜2cm間隔でケナコルトAを5mg/mlで1ヶ 所に0.05~0.1ml注射。2〜4週で再注射。3ヶ月で発毛なければ無効。注射部位のみの発毛や中止後の脱落が多い。
・ 免疫抑制剤内服・外用:過敏な反応を抑えるためにステロイドと同様な目的にて使用されることがあります。
・ 局所免疫療法(contact immunotherapy):自然界には存在しない強力な感作性物質であるSADBEやDPCPにて軽度の接触性皮膚炎(かぶれ)を局所に起こさせる治 療法。1%SADBEアセトン溶液で感作,成立後10-16%溶液程度から2週間に1回程度で濃度を上げて、軽い皮膚炎が生じる程度の濃度で維持する。改 善率は通常型のAA-SとAA-Mでは88%,ATで70%,AUで53%だが,寛解率は順に42%,18%,0%の報告されています。小児の難治症例に も施行できるのが利点ですが,症例によっては感作が成立しないことがあります。
・ PUVA療法:8-MOP内服あるいは外用後にUVA局所照射する。90%以上の発毛が約50%に認められる。50%以上の脱毛症例では58%,ATでは 50%,AUでは40%。長期PUVA療法の副作用(発癌性),治療中止後の再発率の高さから余り行われなくなっている。(当院ではおこなっておりませ ん)
③ その他
・ グリチロンやセファランチン内服:古来使用されるも二重盲検法による評価なし。症状固定までの間投与?
・ 抗アレルギー剤内服:痒みを伴うときに併用します。
・ 液体窒素冷却療法:1〜2週に1回のスプレー噴霧・綿球法にて70%の寛解,97%に60%以上の発毛認めた報告あり。血流改善作用あり。
5)予後と自然経過:230例のAA患者を20年間経過観察し,思春期前発症では50%,思春期以後発症例の23%がATへ移行し,230例中87%に一度は再発したとも報告されています。アトピー素因を持つ小児期発症AAではATやAUへ移行しやすく寛解も困難なことが少なくありません。
・ アトピー素因がなく,成人で孤立性病巣が単・多発する場合は予後良好
・ アトピー素因を持ち,小児期に発症した例は難治
・ いずれの場合も発毛(寛解)と再発を繰り返すことが多い
6)脱毛症の一般的ケア:下記のことに心掛けましょう。
・ 煙草を控える(ニコチンが末梢血管を収縮させ,局所の血流を低下)
・ 日常のストレスを避け,睡眠を十分にとる
・ 毛髪や頭皮を清潔に保つ(毛穴の皮脂などのつまりを除去)
・ 頭皮を指腹でマッサージし,血液循環をよくする
・ 髪を結う際には負担がかからないようにする(引っ張りすぎない)
・ バランスのとれた食事(赤みの肉,魚,大豆などのタンパク質摂取し,脂肪を控える)
Q1.円形脱毛症の際に、グリチロン®やセファランチン®といった内服薬とともにフロジン®液やトプシムクリーム®(ステロイド)などが処方されますが、朝と夜の使い分けはどのように行われますか?
A1. 円形脱毛症は一種の自己免疫疾患(自分のリンパ球が毛を攻撃して脱毛する)と考えられており、それを抑えるためにステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑 制剤が使用されます。また、よく男性の育毛剤の広告にみられるように血流促進(毛への血の流れをよくする)作用も重要と考えられているために、フロジン® 液(塩化プロニウム:副交感神経刺激薬で血管拡張作用を有する)が使用されます。当院では主に患者様の使用感の観点から、朝にはべとつかないフロジン® 液、夜にはステロイドクリームを使用してもらっています。ステロイドにも液剤がありますが、髪などへ付着するなど多量に不必要に使用されるきらいがあるた めに、クリームを基本としています。
STD(性行為感染症)
従 来、性病というと性病予防法で定められた梅毒、淋疾、軟性下疳、ソケイリンパ肉芽腫症の4種類でしたが、近年では性行為によって感染する危険性の高い疾患 をSTD(性行為感染症)として分類しています。そのため、上記以外にもクラミジア、カンジダ症、陰部単純ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス、疥 癬、毛ジラミ、ウイルス性肝炎、HIV感染症(エイズなど)など様々な疾患が含まれています。最近は、若い人を中心にSTD(性病)が増加していると言わ れています。正しい知識が無い為にいつの間にかピンポン感染を来たし家族や恋人にうつしてしまうケース(水平感染)以外にも、母子感染などの垂直感染も知 られています。正しい知識を身に付けて、コンドーム使用などによって予防することが重要です。多くのSTD(性行為感染症)は、早期に発見し治療すれば治 る病気です。思い当たる事があれば医療機関で簡単な血液検査、膣・尿道分泌液検査などを受けましょう。
STDの予防について:
(1) セックスの相手は限定しましょう。 又、STDと診断されたときは、パートナーと一緒に検査や治療を行いましょう。
(2) セックスの時は必ずコンドームを使いましょう。 避妊目的でピルを服用しても性感染症の予防にはなりません。
(3) 生理の時は、セックスを控えましょう。生理の時は、普段よりさまざまな菌やウイルスに感染しやすいので、セックスは控えましょう。
代表的なSTD:梅毒
梅 毒はTreponema pallidumという病原体による以前には代表的な性感染症でしたが、抗生物質のお陰で、最近 では全性感染症の中で約0.8%と発病率は低くなってきました。梅毒は、セックスやキスの時に、皮膚や粘膜の小さな傷から、感染します。又、輸血から感染 することもあります。母親が感染していると、胎盤 を通じて胎児にも感染します(既婚の妊婦の中で約0.2%が梅毒検査で陽性)。
■どんな症状があるの?
潜伏期間は10日~90日間と言われています。多くは3週間前後で症状が出ます。
第1期:
感 染から3ヶ月くらいまでの症状を第1期といいます。感染した人と接触した部分(性器、直腸、口など)に、 1cmほどの赤みのあるしこりができます。そのあとに、太ももの付け根(リンパ節)が腫れてきますが、痛みがほとんどないため、気づかないことが多いので す。そのまま放っておくと、症状は、自然になくなりますが、決して感染がおさまったわけではなく進行してゆきます(第2潜伏期)。
第2期:
リ ンパ節内で増殖した病原体が、全身に広がる時期を第2期といいます。感染後3ヶ月くらいから、全身の 倦怠感や微熱などの不快感、ばらの花びら状の赤い発疹、手のひらや足の裏の平らな丘疹、外陰部や肛門周辺にイボ状の丘疹など、いろいろな 症状が現れますが、いずれも痒みや痛みがありません。この症状が、現れたり、消えたりを、3年間ほど繰り返し、自然になくなります(潜伏梅毒)。
第3期・第4期:
感 染後、2年~3年を経過すると、筋肉、骨、内臓などに梅毒によるゴム腫と呼ばれる結節ができ、次第に 大きくなります。この時期が第3期です。感染後、10年以上経過したものを第4期といいます。この時期には、症状もかなりすすみ、心臓、血管、 脳や神経まで梅毒に侵されています。症状は、大動脈瘤、痴呆、進行性マヒなどとなって現れます。
■どんな検査をするの?
梅毒かどうか血液検査で確認します。但し、血液検査は、感染してから6~8週間経過しないと きちんとした判定が出来ません。
■どんな治療法・対処法があるの?
ペニシリン系抗生物質の内服や注射で治療します。ペニシリンのアレルギーのある人には他の抗生物質で治療をします。
性器ヘルペス(単純疱疹Ⅱ型)
単 純疱疹は、単純ヘルペスウイルスによる感染症です。口唇にできるものがⅠ型、陰部にできるものがⅡ型ですがオーラルセックスが一般化して両方を来たす方が 増えています。最近では20歳代の感染が多いと言われています。症状としては、小さな水疱が出来て痛みを伴います。女性で再発を繰り返す方も珍しくありま せん。特に女性の初感染では、病変が高度で発熱など全身症状を伴う事があります。妊娠中に感染すると、出産時に産道で感染する恐れがあります。又、今は症 状がなくても、疲れているときや、 風邪などの病気で身体の抵抗力(免疫力)が低下することで、再発することもあります。
■どんな症状があるの?
初感染の場合、3日~7日の潜伏期間をおいて症状が現れます。発熱や倦怠感が起こり、次に米粒大 (1mm~2mm)の水ぶくれが、女性は外陰部や膣に、男性は亀頭包皮にできます。水ぶくれは破れて、びらんや 潰瘍へと変化します。下着が触れたり、排尿をするだけで、痛みを感じるようになります。 中には、外陰部がタラコのように腫れ、激痛から歩行・排尿困難になったり、足の付け根のリンパ節が腫れることも あります。この症状は2~3週間続きます。
■どんな検査をするの?
水疱を見ると、おおよその判断がつきますが、正確な診断をするためには血液検査と水疱内での、ウイルスの存在を確認します。
■どんな治療法・対処法があるの?
治療法は、抗ウイルス剤を局所に塗ったり、内服薬を投与する方法があります。出来るだけ早期の治療が効果的です。
尖圭コンジローム
潜 伏期間は一定ではありませんが、パポバウィルス群ヒト乳頭腫ウィルスによる感染症です。女性では、陰唇、肛囲、に多く、男性では陰茎冠状溝に多く乳頭状~ 花野菜状のニワトリのトサカに似たイボ状の皮疹が多発します。かたまって大きくなって、カリフラワー状になる こともあります。自覚症状はほとんどありません。ほとんどの場合は見て判断できますが、時に梅毒の症状に似ているため血液検査で梅毒ではないことを確認す る必要があります。
■どんな治療法・対処法があるの?
治療法は、腐食させるような塗り薬を塗ったり、液体窒素で凍結させます。 またレーザーや電気メスで焼き切ったりすることもあります。時間はかかりますが、治療を中断しないで続けることが大切です。
ウィルス以外のイボ
新 明解国語辞典で「皮膚の一部が病的に肥大して、丸く小さく突き出ているもの(広義では、物の表面の、小さな出っ張りを指す)」と説明されているように、一 般的には皮膚表面から軽度盛り上がった小さな出来物(腫瘍)をイボと称します。イボは俗称ですから、実際には様々な疾患が含まれています。例えば乳頭腫ウ イルスの感染による尋常性疣贅や扁平疣贅、異なるウイルスによる水イボ、その他の小さい皮膚良性・悪性腫瘍以外にも虫刺されの痕などが硬くなった痒疹を指 す方もおられます。しかし、多くはウイルス性のイボ、軟性線維腫、脂漏性角化症を称していることが多いようです。
Q and A 4)イボ
代表的なイボの治療法:種類と大きさに応じて治療法が異なります
疣贅(ウィルスによるイボ)を参照して下さい。
軟性線維腫・アクロコルドン(skin tag,):ハサミ切除、液体窒素、電気焼灼
中 高年、特に女性に多く、首回りやワキ、まぶたなどによくみられるウイルスが関係しないイボで比較的小さいものが多いのですが、様々なタイプがあり、そのタ イプによって最適な治療法が異なります。小さなもので、くびれながら皮膚表面から飛び出しているタイプでは、ハサミを使用して切除する方法が色素沈着など の傷跡が一番少ない点でお勧めです。痛みもチクッとするくらいで非常に軽度です。液体窒素では周囲へも色素沈着が及ぶことが少なくありません。大きなもの では液体窒素を使用するか、局所麻酔の注射をした後にサージトロンのような高周波メスで切除あるいは電気焼灼します。小さいけれど皮膚表面からあまり盛り 上がっていないタイプはハサミで切除できないので、液体窒素に比べて色素沈着の度合いが少ない中周波による電気焼灼がお勧めです。通常、麻酔は不要です が、痛みに弱い方はお申し出いただければ表面麻酔(テープ、クリーム)使用していただくことも可能です。麻酔が効果を発揮するまで30分はお待ちいただく ことになります。施術後に軟膏を塗布して終了です。多少の赤みがありますが、数日内に消退します。電気焼灼では約2週間小さな黒いかさぶたがくっついた状 態になりますが、無理やりとらないようにお願いします。
脂漏性角化症:液体窒素、電気焼灼、レーザー、切除
中年以 降に顔面、頭部など比較的露出部位に好発し、表面が顆粒状でざさざらし、少し褐色から黒色調を呈することが多く、体にも多発される方がおられます。老人性 疣贅とも呼ばれる良性の皮膚(表皮性)腫瘍です。老人性色素斑と混在することがあります。とても小さなタイプでは中周波による電気焼灼、大きいものでは液 体窒素かサージトロンのような高周波メスで電気焼灼します。他の腫瘍と紛らわしい場合には切除し、病理組織学検査を行います。保険適応となります(数と大 きさ、部位により料金は異なります)。処置後は液体窒素では放置、高周波メスでは軟膏とテープ保護、切除ではガーゼ保護が必要です。
単純ヘルペス
■ヘルペスはうつる病気です■
症状が出ている時期はウイルスを多量に排泄しています。この時期に患者に接触した人で,単純ヘルペスウイルスの抗体を持っていない人や,持っていても抵抗力が落ちている人は感染する率が高くなります。具体例としては,口唇ヘルペスの大人が乳幼児にキスや離乳食を口移しで与えて発症する乳幼児ヘルペス性口内炎や口唇ヘルペスがあります。
■一度なおってもウイルスが体内にひそんでいて,何らかのきっかけで再発します■
乳幼児期の単純ヘルペスⅠ型の初感染はヘルペス性口内炎として現れることもありますが,多くは症状が出ません。一度からだの中にウイルスが入り込むと,病気の症状がおさまっても,神経節にひそんで何らかのきっかけで暴れて口唇ヘルペスなどとして再発します。日常みられるのはほとんどがこの再発型です。かぜで熱を出した後など,唇のまわりにポツポツとした小さな水ぶくれが現れる“熱の華”を経験したことはありませんか?かぜ以外にも疲労,紫外線,胃腸障害,外傷,生理,ストレス,ステロイド剤などの体の抵抗力や免疫機能の低下が再発の誘因になります。
■抗体を持っていない成人が増加しています■
以前はほとんどの人が乳幼児期に周囲の人との接触によってⅠ型に感染して抗体を持っていましたが,衛生状態の改善や核家族化などの影響で,20~30代でも半数の人しか抗体を持っていないとも言われています。乳児期の初感染に比べると大人での初感染は症状が重くなりがちです。Ⅰ型の抗体があるとⅡ型にも感染しにくく,発症しても軽症です。
■無症状でもウイルス排泄の可能性あり(無症候性排泄)■
ウイルスを持っていても症状が出ていない場合,たいていウイルスは神経節にひそんでいるのですが,時に唾液や精液などにウイルスが排泄されていることもあり,無症状であることから自分の体液にウイルスが存在することに気づかず,キスやセックスでパートナーに口唇ヘルペス,性器ヘルペスを発症させることがあります。パートナーが抗体を持っていない場合には重症化することもあるので,気になる人は抗体の有無を検査するとよいでしょう。
■口唇ヘルペスの症状と治療■
〖症状〗:次の4段階を経て約10日から2週間ほどで治ってゆきます。
① 前駆期(ピリピリ,ムズムズ):水ぶくれなどに先立って,皮膚局所にピリピリ,チクチク,ムズムズなどの熱感,違和感,痒みを感じ,再発を繰り返す人は自分でこの感覚がヘルペス出現の前兆であるとわかります。
② 紅斑(赤くはれる):上述の自覚症状が出てから半日以内に赤く腫れてきます。この時期には患部でのウイルス増殖が活発ですので,このような早い時期に治療を開始することが重要です。
③ 水疱(2~3日後):赤く腫れた上に水ぶくれが出来てきます。この中にはウイルスがたくさん存在し,水疱が破れてじゅくじゅくした患部にさわると感染します。
④ 回復期(かさぶた):かさぶたになればウイルスはほとんど存在しなくなります。
〖治療〗:抗ウイルス薬が第一選択です。再発の予感時あるいは症状出現早期に治療開始するのが効果的です。
抗ウイルス薬はウイルスの遺伝子に働いて増殖を抑制するものなので,症状の出始めの皮膚や神経でウイルスが活発に増殖している時期が治療のよい機会です。神経節に潜んでいるウイルスには効果がありませんが,再発した病気を治療しないで放置しておくと,皮膚で増えたウイルスが再び神経節へ戻って潜伏感染するウイルス量が増え,次にまた再発しやすくなると考えられていますので,再発といえども早期にしっかりと治療すべきです。
* 内服:重篤な初感染あるいは再発例,もしくは多型紅斑を合併した再発例に対して使用。
アシクロビル:1日5回内服,バラシクロビル:1日2回内服 いずれも3~5日間服用する。
特殊療法として頻回に(年6回以上)再発して日常生活もままならない症例では,前兆を感じたら内服開始するエピソード療法と少量を連日内服する抑制療法があります。詳細は医師にご相談下さい。
* 外用:非ステロイド薬(スレンダム軟膏など),抗ウイルス薬(アラセナA軟膏など)を2~3時間ごと頻回に外用。
〖検査〗:病変部からのウイルスの検出や採血にて抗体価(IgM, IgG)を検査する。
■ヘルペスのその他の症状■
①ヘルペス性歯肉口内炎:乳幼児に最も多くみられるヘルペスの初感染症状。急に39度前後の高熱が出て,口の中にびらん,小水疱ができ,歯茎も真っ赤に腫れあがり,強い痛みで食事ができなくなったりします。あごのリンパ節が腫れます。
②カポジ水痘様発疹症:アトピー性皮膚炎の人の皮膚は抵抗力が弱く,ヘルペスが感染すると皮膚炎のある部位に水疱が拡大し,水ぼうそうのように水疱が広がることからこの名前がつけられています。重症化し,発熱を伴うことがあります。
③性器ヘルペス:女性の外陰膣炎は症状が激しいことが多く,浮腫や赤みが強く飛び上がるほどの激痛で,排尿困難になることもあります。そけい部のリンパ節が腫れます。
④接種ヘルペス(ヘルペス性ひょう疽):口腔内の治療に従事する医療関係者に多く,爪周囲にみられます。
■その他の注意点■
1) 人との接触に注意: 水疱などの症状が出ている時期はウイルス量も多く,感染源になるので特に下記のような人との接触には注意する必要があります。
① 新生児・乳幼児:免疫機能が未発達なので,強い症状がでることもありキスなどを避けましょう。母親が抗体を持っている場合には胎盤を通じて新生児に一定期間は抗体があるのでそれほど重症化はしません。
② 抗体を持っていないパートナー:オーラルセックスで相手に性器ヘルペスを発症させる危険性があります。初感染の性器ヘルペスは重症化しやすいので注意をしましょう。
③ アトピー性皮膚炎の人:皮膚のバリア機能が低下している上に,治療のためにステロイド薬を使用している場合もあるので,接触にて簡単に感染しやすく,しかも重症化します。
④ 病気などで免疫力が低下している人:お見舞いも控えた方が無難でしょう。
2) 患部に触れないように: 自分自身でも患部に触れて感染することがあるので,気をつけましょう。特に目に感染して発症する角膜ヘルペスは失明する危険性もあります。・患部に触れた指で目を触らない ・コンタクトレンズを唾液で濡らして装着しない ・患部に触れた後(外用後も)は手をよく洗う などに注意しましょう。
3) タオルなどの共用を避ける:ウイルスがついたタオルや食器の共用を避けましょう。洗剤できちんと洗いましょう。
参考:浅野善造(こどもとヘルペス),本田まりこ・新村眞人(口唇ヘルペスってどんな病気?) マッキャン・ヘルスケア2003年
手湿疹の治療とスキンケア
皮膚の一番外側に角層があります。内部を守る最外層のバリアです。この角層に適度な湿度(水分)、柔軟性や滑らかさがなくなって、乾燥やかさかさが目に見えるようになり、硬くなったり裂け目(亀裂)が生じるといわゆる手荒れという状態になります。一般的に皮膚の滑らかさには皮脂腺から分泌される皮脂と角層の水分と脂分などが関係しますが、手のひらには皮脂腺がないので、表皮細胞から放出されたり分解されたりして出来たセラミド、コレステロール、脂肪酸などの表皮脂質とアミノ酸などの水溶性の天然保湿因子によって維持されています。水溶性の保湿因子が水分を引き付け、表皮脂質が細胞同士をくっつけたり水溶性物質の侵入や保湿因子の流出、体内の水分蒸散を防いで滑らかで柔軟な角層を保っています。様々な刺激により炎症が引き起こされ、細胞の健やかな成長が障害されて病的な(出来損ないや剥がれ損なった)角層が出来てしまい、皮膚の滑らかさや柔軟性が損なわれることになります。手荒れのほとんどは体内の要因(アトピー素因など)に種々の外的要因(外的刺激や環境因子など)が加わって生じた手湿疹です。手湿疹は指や手のひらの湿疹性病変の総称ですので、実際には種々の疾患が含まれています。症状も様々で、がさがさした状態、赤みや痒みをともなったり、じゅくじゅくしていたり、小さな水疱が見られたり、一部が硬くなっていたり、亀裂(ひび割れ)を伴って痛みがでてくる場合もあります。
2)手荒れの要因
A.体内の要因:アトピー性皮膚炎、汗疱、心因など
・アトピー性皮膚炎:アミノ酸やセラミドの減少が知られており、乾燥とバリア機能の低下みられます。手のひらには皮脂腺がないので、摩擦や種々の接触物などの刺激によって皮膚炎が生じやすいのです。
・汗疱、異汗性湿疹:原因は不明ですが、指や手のひらに小さな水疱が出来て、その後に薄皮がむけてきます。人によっては水疱がはっきりしない方もおられます。水疱が出来ている時には痒みを感じることが多いようです。時に食物や歯科金属に含まれる金属による全身型金属アレルギーが関係する場合があります。
B.外的要因:外的刺激や環境因子、細菌感染など
・ 刺激性:石鹸、界面活性剤、有機溶剤、摩擦、軽微な外傷、乾燥した風など。
手湿疹の原因の7割を占めると言われています。長時間、水や界面活性剤などに接していると、水溶性の保湿因子や表皮脂質が流出して手の皮膚の細胞が剥がれやすくなると共に柔軟性が無くなってがさがさしてきます。その後に炎症を生じて、さらにセラミドも減少し、悪循環をきたします。
・ アレルギー性:クロム、ニッケル、ゴムなど。
手荒れがあると、種々のアレルギー原因物質が皮膚に吸収されやすくなり、アレルギーが成立する機会が増えてしまいます。ニッケルはアクセサリー、硬貨、鍵、台所用品などに、クロムはセメント、皮革製品などに含まれています。天然ゴムに加えられるチウラム系化学物質もゴム製品によるアレルギー原因物質です。ラテックス手袋によるアレルギーではほとんどの場合が接触した後に蕁麻疹を生じます。また野菜やエビなどの食材による接触皮膚炎も知られています。セロリ、パセリ、ライムなどでは紫外線と共同でアレルギーを起こします。日常生活では様々な物質に触れるため,原因がはっきりしないことも少なくありません。また単独では湿疹を起こさない濃度の物質が複数では湿疹を生じることもあります。
・ 経口摂取アレルゲン:薬剤、ニッケル、クロム、香料など。
薬剤、香料、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、亜鉛などの金属などが、食物や歯科金属から口を介して摂取されて手湿疹がひどくなることが知られています。汗として濃縮されて排出されるので、手のひらや足の裏など発汗が多い場所に影響を与えるものと考えられています。
3)検査:パッチテスト(別途資料を用意していますので、必要な方はスタッフへお申しつけ下さい)
日常で使用する疑わしい製品や金属成分を皮膚に貼りつけて、後日皮膚反応を判定することによって少しでも原
因あるいは増悪物質を検索しようとするものです。
4)治療:ステロイドで炎症を抑え、日頃のスキンケアに加えて日常生活の見なおしが重要です。症状に応じてステロイドの強さを選んで処方いたします。赤み・痒み・水疱などの炎症症状が強いときには、一度にべっとり大量に使うのではなく、1日に4~5回など頻回に少量を薄く延ばして使用します。基本的には表面を保護する目的もあり、軟膏基剤を用います。亜鉛華軟膏という白っぽい薬剤を併用するとより効果的です。状態によって混合して処方する場合と、別途にステロイド軟膏の上から重ね塗りしていただく場合があります。多少べとつきますが、クリームや液剤ではかえって刺激が出てくることがあるので注意が必要です。時により薬剤を浸透させるためにクリームやテープ剤を使用することがあります。亀裂(ひび割れ)部位では亜鉛華軟膏を厚く重ね塗りし、ガーゼやリント布・不織布などで保護したり、ステロイドテープなどを使用します。症状が改善してきたら、ステロイドの使用回数を減らしてゆき、その後に強さも弱めて行きます。ハンドクリームと日常生活を注意するだけでコントロールできればよいのですが、繰り返す場合や難治の場合にはパッチテストなどによって原因検索を試みましょう。
5)スキンケアと日常生活の注意点
・ 手荒れしやすい人は、水仕事前の「保護クリーム」、水仕事後の「ハンドクリーム」をこまめに使用します。また、面倒くさがらないで、水仕事前には綿の手袋の上にゴム・塩化ビニル・プラスチック手袋を使用したり、その他の手仕事の際にも可能な範囲で綿手袋を使用します。できるだけ外的刺激から皮膚を保護して下さい。
・ がさがさ型では、手袋や保護クリームを用いて洗剤などから手を保護するとともに、洗剤の使用濃度を守る、脱脂力の強くない石鹸を使う、洗い物はまとめて行なって水や洗剤との接触を減らす、熱湯を使用しない、などが重要です。
・ じゅくじゅく型ではさらにかぶれやすい状態になっていますので、触れるものに注意しましょう。①保護クリーム:サンプルをお渡ししています。ご希望の方はスタッフまでお申し付け下さい。
シリコンを成分とした撥水性に優れるハンドクリームをご紹介しています。使用後2時間くらいは水をはじいています。様々な事情(理美容師など)で手袋を着用できない方にも塗る手袋として、ゴム手袋は使うけれどもその前に綿手袋までは着用できない方にも最適です。食品も扱えます。
②処方されるハンドクリーム:1日4~5回以上、こまめに使用しましょう。
・白色ワセリン:油の膜を作って保湿・保護。かぶれにくく、安価。多少べとつく。
・サリチル酸ワセリン:角質軟化作用併せ持つ。がさがさ型に使用。
・尿素製剤(ウレパール、ケラチナミンなど):保湿と角質融解作用。ひび割れ部位ではしみます。
・ヘパリノイド(ヒルドイドソフト):保湿。刺激感少なく使いやすい。
参照:Dermatology Practice 5, P173-181など
ケロイド
どちらも赤く隆起しており,時にかゆみや痛みを伴います。肥厚性瘢痕は,キズ痕が盛り上がったもので,多くは長い時間とともに自然に平らになって赤みも薄れ,自覚症状もなくなります。一方,ケロイドは軽微な外傷や手術創・予防接種・ニキビ・水痘・帯状疱疹・ピアスなど軽いキズ痕から生じて周囲の健常皮膚へ赤みや隆起が広がってゆきます。有色人種は白人種よりもケロイドが生じやすく,性差なく,若年者に多く,好発部位としては前胸,肩,上腕外側,耳垂,下顎部などです。出現部位によっては外観状の醜形以外にも瘢痕拘縮などの機能障害を起こすことがあります。
2)どんな治療があるの?
A. 保存的治療:複数の方法を組み合わせて治療を行います。
・圧迫療法:低酸素状態を引き起こして,組織代謝を減少させてコラゲナーゼ(線維組織を分解する酵素)活性を上昇させると推測されています。副作用がないため,予防・治療の両面において汎用されており,3~6ヶ月間1日12時間以上圧迫するのが理想的で,スポンジやサポーター,弾性包帯などを工夫して使用します。
・副腎皮質ホルモン剤(ステロイド):最も効果的なのはトリアムシノロン懸濁液を局所麻酔薬で希釈した溶液を患部に直接ゆっくりと注入する方法です。新鮮病巣ほど効果的で,一般的には2~3回で効果が見られます。2~4週間の間隔をあけて繰り返します。先ずは痒みなどの自覚症状が軽減し,その後少しずつ平坦化してきます。副作用として皮膚・皮下組織の萎縮があり,治療回数が多くなるに従って少なからず毛細血管拡張症(血管が浮き出る)を認めるようになります。痛みのために注射を行えないようでしたら,効果は劣りますが外用剤やテープ剤を使用します。
・ヘパリン類似物質:ヒルドイド軟膏が有効な場合があります。
・トラニラスト:リザベン。1日3回内服するクスリ(抗アレルギー剤)です。膀胱炎様症状に注意して使用します。
・シリコン:連日3ヶ月間使用。詳細な機序は不明ですが,比較的早期の痒みや痛みなどの自覚症状改善に効果的な印象があります。
・ 凍結療法:液体窒素法でイボなどよりも少し長めに患部を凍結させます。時にステロイド局注と併用されます。
・レーザー:色素レーザーの有用性が知られています。血管の破壊によって組織の虚血にて効果発揮します。Nd-YAGレーザーでの選択的なコラーゲン産生阻止作用も報告されています。
B.外科的治療:主には瘢痕ケロイドが対象で,ケロイド内切除術・くりぬき法・W形成術・植皮術などが行われます。圧迫などのアフターケアが重要で,術後に電子線などの放射線療法を併用しますので,可能な施設を紹介します。
C.その他:レチノイン酸の外用,ブレオマイシンなど抗がん剤やインターフェロン注入の有効性が報告されています。
3)当院での治療
基本は圧迫とステロイド局注です。症例に応じて適宜保存的治療・外科的治療を組み合わせます。
うおのめ・胼胝腫(たこ)
2)どんなもの?(臨床症状)
A.鶏 眼:半透明の中心部(核)を持ったまわりとの境界がはっきりした角質肥厚(硬い)病変で,円錐形でその頂点が下方の真皮内に向かい,(神経を圧迫するので)ナイフで刺されたような疼痛(上から押さえたときの痛み)を伴います。足の小指の背面によく出来ます。軟鶏眼は趾間(足の薬指と小指の間の付け根に多い:小指の基節骨骨頭が薬指基節骨頭基部を圧迫または趾間の浸軟のため)によくみられ,白色調にふやけています。
鶏眼では病変部を削ると,中心核がはっきりし,さらに削るとこの核が小さくなり消えます。時にウイルス性のイボと間違われることもありますが,イボでは削ると中心部に赤色と黒色小斑点(毛細血管の血栓)の点状出血がみられます。軟鶏眼では単純な浸軟や趾間部の真菌症と間違われることもあります。病変を削ると中心部に核があらわれます。時に趾間の基部に小さな洞孔を合併し細菌感染を生じることもあるので注意が必要です。
B.胼胝腫:比較的大きな角質肥厚で,第1または第5中足骨骨頭に一致する足底に好発。皮膚紋理は保たれ,中央の核はみられない。自覚症状は伴わないか,靴の中にものが入ったような違和感を覚えることがあります。
3)治療:メス刃,剃刀,ヤスリ,ルーター,CO2レーザーで角化病変を削って除去します。この際,事前にスピール膏を病変部に合わせて少し小さめに切り取り,患部に3〜5日貼付(丈夫なテープでしっかり固定)しておくと白く浸軟して除去しやすい(大きく貼りすぎたり,ズレたりしないように注意)。日々は角質溶解剤(尿素,サリチル酸など)を外用します。
4)ケア:圧力やズレを軽減
・入浴後など皮膚の角質が水分でふやけている時にタコ・ウオノメ削り器を使用するのも効果的です。軽度であればヤスリ,ひどい時は専用の刃のついた機器を使用します。
・靴のサイズや形(先のとがり具合,ハイヒール)に注意します。
・中敷き(インソール)の使用,市販の魚の目パッドやシリコンパッドを病変部周囲に貼付するのも有用です。
5) その他,足の変形(外傷,神経疾患,糖尿病,関節リウマチなど),一部の足底への偏った体重加重の要因,基礎疾患の有無:肥満,神経疾患による感覚異常など,骨の異常の有無(X線検査⇒矯正靴,足底板)なども関係します。
口唇の荒れ
1)荒れやすい時期は?
・11月から3月の冬季
2)どういう人に多い?(要因)
・ 飴やガムをよく噛む,歯磨きの頻度が多い,職場や家庭が乾燥。(これらは口唇荒れの臨床症状の重症度と正の相関を示す。)
・ 化粧品や口紅の使用頻度とは相関しないことが多い。
・ 要因としては,冷暖房のきいた部屋に長時間滞在(63.3%),口唇に何も塗らない(51%),日焼け(38.8%),かぜをひく(34.7%),唇をなめる(34.7%) など。
3)どのような疾患が含まれるか?
・アトピー性皮膚炎,口紅・リップクリーム・歯磨きによる接触性皮膚炎(かぶれ),口唇の単純性ヘルペス,カンジダ症(真菌:かび)などがあります。また,最初の原因とは別に日常使用している口紅や歯磨き,醤油などの滲透圧の高い液体が付着することによって治りを妨げている場合もあります。患部を外部の刺激から保護することも大切です。
4)当院での治療の基本:
・ 場合によっては顕微鏡検査にて真菌の有無を確認。
・ ストロングクラスまでのステロイド軟膏(例えば,アルメタ軟膏など)を外用。
・ 亀裂(ひび割れ)を伴うものでは亜鉛華軟膏を混合,かさぶたが付着するものではサリチル酸ワセリンを混合。
・ リップクリームも香料などを含まないものへ変更するか,白色ワセリンへ変更し,外部の刺激から患部を安全に保護。
5)注意事項
・ 刺激性口唇炎の原因となる歯磨きの発泡剤であるラウリル硫酸ナトリウムを含まない歯磨きに変更(例えば,ノンフォームS®:COOP),しばらく薄い塩水で歯を磨く。
・ 醤油,サラダドレッシング,たれなど,浸透圧の高い液体が口唇に付着しないように注意。
・ 稀にはリップクリームでもヒマシ油,ラノリン,L―メントールをはじめとする香料などによるアレルギー性接触性皮膚炎も生じうる。
・ かぶれの少ない口紅やリップクリームとして資生堂のd-Program®も試してみる。
6)その他の検査
・ 長期間持続する口唇荒れでは,口紅,リップクリーム,歯磨きのパッチテストを行い,原因物質検討と使用可能な製品の選択を行う。
・ 高齢者などでは,日光口唇炎なども鑑別する。
参考:日本医事新報 No.3816, Manual of Dermatologic Therapeutics など
ニキビ:ざ瘡(Acne)
主には
①皮脂過剰、
②特に毛穴の出口での皮膚ターンオーバー(生まれ変わりのリズム)の乱れ、
③毛穴の中の細菌(ニキビ菌など)
がからみあって出現しています。また、皮脂過剰もホルモンの影響やストレス、紫外線などが関与し、ターンオーバーの乱れには各種の皮膚への刺激(化粧、汚れの落とし方が不十分、紫外線、乾燥、髪の毛などの接触、擦れや汗貯留、皮脂分解産物など)が関係し、細菌の増加にも皮脂、皮膚のpH、閉塞環境(毛穴のつまり)などが関係してきます。先ずは痕を残さないでニキビを治し、次には出来にくい皮膚を作ってゆくことを目標とします。ヒトそれぞれで肌質や環境は異なりますので、いい状態を維持するために必要な処置も様々です。スキンケアだけでよい方から、ピーリングやレチノイン酸、さらには抗生物質を続けなければコントロールできない方など様々です。しかも時期によって異なったりするのです。そのため、ニキビについて理解して、いい時や悪い時などその都度自分で必要な最低限の処置がわかるようになれば理想的ですね。別紙の図譜に沿って下記に説明してゆきます。
1)Step.A → Step.B:面疱(白ニキビ,黒ニキビ)の発生
ニキビの発生は毛穴の出口が古い角質と皮脂、細菌などが固まった面疱(白ニキビ:white head)によってつまり、中に皮脂が貯まることによって始まります。時に鼻などで黒い点々として見られるものを黒ニキビ(black head)と呼び、元来は白い皮脂が紫外線(にて発生した活性酸素)や空気によって酸化されて変色したものです。面疱の先端が皮膚表面に開いている鼻などでよく見られます。
2)Step.B → Step.C:炎症性ニキビ(赤ニキビ)の発生
皮脂は過酸化脂質や遊離脂肪酸に分解され、それらが皮膚への刺激となったのがいわゆる「あから顔(脂漏性皮膚炎)」で、毛穴を刺激してそのなかでニキビ菌などが繁殖しはじめたのが「炎症性ニキビ(赤ニキビ)」の始まりです。また皮膚への刺激はその後の皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)のリズムを狂わせ、面疱が出来やすい皮膚へとなってゆきます。ニキビ菌が増えると、毛穴周囲に好中球を引き寄せますので、それらによって毛穴の壁が刺激され赤みは強くなってゆき、毛穴の壁を突き抜けて中に入り込むと「膿み」を持った「膿疱」となり、非常に破れやすい状態になります。
3)Step.C → Step.D:瘢痕,炎症後色素沈着などニキビ痕の発生
膿疱が皮膚の中で破れたりすると、いわゆる「ニキビ痕」を残します。ニキビ痕には形の異常(凸凹)としての瘢痕、色の異常(赤→茶色)としての炎症後色素沈着が含まれます。
4)治療法・治療順序:先ずは新たなニキビを出来にくい様にコントロールし、その後にニキビ痕の積極的な治療(外科的治療)を考えます。炎症後色素沈着の治療(ビタミンC、レチノイン酸、ハイドロキノンなど)は同時に行えます。
A.赤ニキビ以降を少なくする。出来た物を早く、軽く抑える。→ニキビ痕を残さないで治す。
治療:細菌の増殖抑制(抗生物質)、好中球遊走を抑える(ミノマイシンやメトロニダゾール、レクチゾール)など
B.その前段階である面疱(白ニキビ,黒ニキビ)を処理する。→炎症性ニキビを出来にくくする。
治療:ケミカルピーリング,面疱圧出
C.さらに前段階として、面疱を出来にくくする(皮脂抑制とターンオーバー調整)。→ニキビの出来にくい肌を作る。
治療:スキンケア,ピーリングローション,ビタミンC,ケミカルピーリング,レチノイン酸,皮脂抑制剤
D.ニキビ痕(形の異常:凸凹)の治療治療:レチノイン酸,深いケミカルピーリング(TCAなど),レーザーアブレージョン
5)当院での治療の基本:スキンケアの見直しとともに、A.B.とマイルドピーリングローションを使用し、効果が不十分であれば本格的なピーリングやレチノイン酸を導入してゆきます。皮脂抑制のためのホルモン剤(エストロゲン製剤、スピロノラクトンなど)治療はどうしてもコントロール出来ない(生理前に著明に増悪する)時に考慮します。
A.抗生物質の内服・外用:
内服はミノマイシンがニキビ菌への抗菌作用、リパーゼなどの酵素産生阻止作用、好中球遊走阻止作用が強いことなどから多用されます。頻度は少ないですが、めまいやふらつきを生じることがあります。その他:マクロライド系、ニューキノロン系も使われます。炎症性ニキビが多い時には続けて飲みますが、その後症状が落ち着くと、炎症性ニキビの出来はじめに数日続けて内服して軽く終わらせるために用いるようにストックしておいて下さい。抗生物質の外用は赤ニキビを中心に行ってください。
B.ビタミン剤と皮脂調整剤内服:
ビタミンB2・B6、プレグナンジオールを内服します。
C.ケミカルピーリング:
グリコール酸などを塗布することによって、表面の角質を薄く溶かすようなもので、埋もれてしまっている面疱を露出しやすい状態にする、あるいは目に見えないレベルでのつまり(微小面疱:microcomedo)を処理するというのが主目的です。あわせてターンオーバーの乱れを正常化する作用、色素沈着を薄くする作用があります。
D.レチノイン酸の外用:
ターンオーバーを早めて、表面の角質を薄く保ち、毛穴がつまりにくくする作用とともに、美白作用、抗老化作用(コラーゲン増生など)があり、ハイドロキノンと併用することによってニキビ痕の治療にも効果的です。
E.ビタミンCの外用:
ピーリングやレチノイン酸の外用が困難な方に刺激の少ない基礎化粧品として使用できます。
F.面疱圧出:
白にきびを外に押し出します。専用の道具や針を使用します。
G.皮脂抑制剤内服:
メサルモンF,低容量ピル,スピロノラクトンなどによって男性ホルモンを抑制し、皮脂を抑制する。
※嚢腫形成型では切開、ステロイド局注、液体窒素凍結療法などを併用します。
【スキンケアについて】
① クレンジング
② 石鹸にて皮脂と皮膚表面の汚れを落とす。必要に応じてぬるま湯や二度洗いを行う
石鹸に含まれる脂肪酸塩は面疱形成物質なので過度の石鹸洗顔は控えてください。それ以上に成分の残留がないように丁寧にすすいで下さい
③ ピーリングローションで皮膚ターンオーバーを整える(場合によってはレチノイン酸を併用 など)
④ 保湿剤、日焼け止めの使用
⑤ メーク、髪の毛などによる刺激を最低限にする。シャンプーなどの成分が残留しないようによくすすぐ。
......など、もう一度ご自身のスキンケアを見直してください。
【食事について】
ニキビと特定の食物の因果関係は未だ証明されていません(EBMを検証した報告がない)。但し、増悪因子として脂肪 、ナッツ類、チョコレート 、アルコールなどを自覚しているヒトも少なからずおられますので、ご自身で自覚されている食物のみ制限すればよいでしょう。
Q and A (ニキビ)
Q1.ニキビ治療で、ダラシンTゲル®を処方される時とダラシンローションが処方される場合がありますが、どのように使い分けるのですか?
A1.ローションの方が患部への薬剤浸透性がよいのですが、逆に基剤のエタノールによって刺激を感じる方がおられます。その場合にはゲルあるいはアクアチムクリーム®などを使用します。
Q2.ニキビ治療で、抗生剤(ミノマイシン®、クラリス®など)を内服する際に赤ニキビが少なくなった後では、自己調節をするように指導されますが、具体的にはどのように内服すればよいのでしょうか?
A2.ニキビ自体が、コントロールする疾患です。時にニキビができるのは仕方がない(特に思春期など)ことだと考えています。その際に症状が軽くすんで、ニキビ痕(瘢痕:でこぼこ,シミ:色素沈着 など)を最小限に抑えることができればよいのではないでしょうか?そして痕を残すようなニキビはひどい炎症性ニキビです。そのようなニキビの出き始めには先ず皆さんが誰よりも最初に予兆(ひどくなる予感:痛み、張った感じなどの違和感)を感じますから、その予兆を感じた時に早めに抗生剤の内服を始めてもらい、痛みなどの自覚症状がなくなれば中止してもらっています。アクネ菌などは皮膚の常在菌ですから、どんなに続けて内服しても決していなくなることはありません(細菌の数を元の数くらいまで減らす、あるいは炎症を軽くするのが抗生剤投与の主目的です)。またブドウ球菌などの細菌もニキビの発生に関連しますし、むやみに連用すれば薬剤耐性菌をつくることになってしまいます。
Q3.ニキビ治療の一環として、時にメサルモン-F®を内服することがありますが、どうしてですか?また、どのような飲み方をすればよいのでしょうか?
A3. メサルモン-F®は男女性ホルモンとその前駆物質、甲状腺末からなる薬剤で、卵巣機能減衰・欠落、更年期障害に適応を有している薬剤です。女性ホルモンは脂質代謝にも多くの役割を担っていますので、女性の方で生理前にニキビが悪くなる方に皮脂分泌抑制を目的に投与されることがあります。月経周期の変化などをきたす場合がありますので、主に生理前2週間で内服することが多いようです。
Q4.ニキビ予防で、洗顔方法など日常生活での注意点はどのようなことですか?
A4.ストレスによっても男性ホルモンの分泌が高まり、結果として皮脂分泌増加につながりますし、紫外線を浴びることによって皮脂分泌が高まるばかりか皮膚のターンオーバーの乱れにもつながります。よごれやメークをしっかり落とすためにもクレンジングと石鹸によるダブル洗顔を行いましょう。そしてその後には化粧水などにて十分な保湿を行います。また、食べ物に関してはナッツ類やチョコレートなどがニキビの増悪因子として一般には知られていますが、未だ医学的には証明されていないようです。但し、ご自身でニキビの増悪を実感されるようでしたら、控えましょう。
疣贅(ウイルスによるイボ)
イボはヒト乳頭腫ウイルスによる感染症です。手足や顔、外陰部などできる部位によって特徴があり、それぞれに病名がついていますし、ヒト乳頭腫ウイルスにもたくさんの種類があり、同じ部位にできたイボでも症状に違いが出ることもあります。
1)イボの種類:イボはヒト乳頭腫ウイルスによる感染症です。イボの細胞にはウイルスが含まれていて、触っただけではうつりませんが、擦り傷や引っかき傷などの浅い傷に付着するとうつります。そのため軽微な外傷を受けやすい手足に好発したり、引っかき傷に沿ってイボが並んでいたりします。ウイルスに感染してからイボとしてはっきり目に見えるようになるには数ヶ月はかかると言われています。手足や顔、外陰部などできる部位によって特徴があり、それぞれに病名がついていますし、ヒト乳頭腫ウイルスにもたくさんの種類があり、同じ部位にできたイボでも症状に違いが出ることもあります。
A.普通のイボ(尋常性疣贅):HPV2・4,ミルメシアではHPV1
大豆粒くらいの大きさまでの半球状に隆起し、小さいものは表面がつるつるしていますが、大きくなるに従い表面がざらつき硬くなります。全身どこでも見られますが、手の甲、足背、指、膝に好発します。指先では、いわゆる「ささくれ・さかむけ」に一致してできることも少なくなく、爪の下に入り込み爪を破壊することもあります。足の裏に出来た場合にはいつも踏みつけられているために皮膚表面から盛り上がりません。魚の目によく似て歩行時に痛みが出ることがあります。しかし、削ってゆくと点状の出血点がみられるので区別できます。
B.男性のアゴなどにできる糸状・花蕾状のイボ(糸状疣贅)
先のとがった細長い突起がネズミの手のように飛び出したイボで、花蕾状に根元がくびれているのもあります。成人男性の顎ひげの部分や頚部によくみられます。髭剃りには電気カミソリを使い、すべりをよくするプレシェービングローションなどを併用して少しでも細かい傷ができるのを防ぐ必要があります。
C.若い女性に多い顔に多発する小さなイボ(青年性扁平疣贅):HPV3・10・41
若年女性の顔や手の甲に好発し、米粒大の大きさで、皮膚とほとんど同じ色かやや光沢を有し、皮膚面からわずかに盛り上がり、表面は滑らかです。顔に小さなものが多発することが多く、引っかき傷や剃り傷に沿ってイボが線状に並んで認められることもあります。従って顔剃りは控えたほうがよいでしょう。普通、自覚症状はありませんが、強いかゆみが出て、イボがやや赤みを帯びて、水っぽく盛り上がってくることがあります。これは自分の免疫反応による治る前兆で、数週間で皮がむけるように、すべてのイボがいっせいに脱落することがあります。
D.外陰部にできるイボ(尖圭コンジローム):HPV6・11
皮膚と粘膜の移行部などの湿ったところにできるイボは、増大して表面が顆粒状で柔らかく、集まって鶏のとさか状あるいは房状になることがあります。男性では陰茎や亀頭部、女性では膣や陰唇粘膜、男女の肛門周囲にみられます。性行為によって感染することが多く、パートナーにも注意が必要です。
2)ウイルス性のイボと間違えやすい病気
A.魚の目・たこ:イボの場合は表面がややがさがさしていて、削ると赤黒い小さな出血点が見られます。
B.汗管腫:顔面の扁平疣贅と間違われることがありますが、目の周りによくできる米粒大の皮膚と同色の小さな隆起で30歳以降に好発する皮膚真皮の汗管の細胞が腫瘍化(良性腫瘍)したものです。
C.アクロコルドン・スキンタッグ・軟性線維腫:まぶた、首、胸、ワキなどにみられる皮膚が小さくとび出したり、小さな干しぶどうのような外観を呈するイボで、茶色くなっていることもあります。これらは一種の加齢に伴う変化であり、ウイルスによるイボではありません。(治療は切除、電気焼灼、液体窒素などです。お問い合わせください。)
3)自然経過・がんとの関係など
感染後の潜伏期は1ヶ月から12ヶ月と幅があり、平均2~3ヶ月とされています。約半年で25%のヒトが自然治癒しているという報告もあります。プラセボ効果や暗示にて30から35%程度の治癒率が見込めると言われています。このことから、日本各地にあるイボ取り地蔵(塩地蔵など)や民間療法、暗示(特に小児)なども精神的なものによって免疫が高まるので治療の一助になるかも知れません。近年、ヒト乳頭腫ウイルスが発がんに関係しているのではないか?と言われていますが、子宮頚癌や高率に皮膚癌が発生する疣贅状表皮発育異常症で検出されるウイルスは通常のイボで検出されるウイルスとはタイプが異なりますので、イボががんになる心配はありません。
4)治療:いずれの治療においても1回で完治することは少なく、複数回かかりますので根気よく治療を続けてください。
A.内服薬:日本ではヨクイニンが用いられます。有効率は高くはありませんが、副作用も少なく試してみてよいでしょう。
B.外用・その他:侵襲の少ないものから試していってください。足の裏や爪の下のイボは難治性です。
① 角質溶解・剥離剤:尿素、サリチル酸、ビタミンD3などがあり、他の治療法と併用されたりします。
② 液体窒素凍結療法:-200℃近い液体を患部に綿球などを用いて押し当て、壊死を起こさせます。日本での治療の主体となっており、1~2週間で繰り返してゆきます。多少の痛みを伴います。
③MCAやTCA塗布:1週間間隔で薬液を患部に塗布。痛みは比較的軽度。
④グルタールアルデヒド塗布:連日患部に薬液を外用します。痛みはほとんどありませんが、茶色く着色します。
⑤免疫療法(SADBEなど):強いかぶれを患部に起こさせます。感作成立後1~2週間間隔で繰り返します。
⑥ブレオマイシン局注:抗がん剤を局所に注射しますが、かなりの痛みを伴います。難治性のものに試行します。
⑦切除・電気焼灼・炭酸ガスレーザー:局所麻酔を行ったうえで施行します。難治性のものに試行します。
⑧ その他:ポドフィリン、カンタリジン、5-FU密封、PDT(光線力学療法)、Imiqimod外用などが報告されています。
5)当院での治療の基本:内服可能な方にはヨクイニンを内服して頂き、下記治療を併用いたします。
A.糸状疣贅:液体窒素凍結療法。比較的少ない回数で脱落します。
B.扁平疣贅:弱い電気(中周波)で焼灼してゆきます。基本的に無麻酔ですが、痛みに弱い方には表面麻酔使用。
C.その他:表面を軽く削った後にMCAやTCAを塗布し、その後液体窒素凍結療法を行います。そして角質溶解・剥離剤を外用していただきます。数回は繰り返し、改善傾向がないようでしたらその他の治療へ移ります。
*痛みなどで上記治療が継続困難な場合はお申し出下さい。一緒に他の治療法を考えてみましょう。特に手足のイボや爪の下のイボでは治療が長期に及びますし、痛みも強く感じてしまう部位ですが、頑張って継続して下さい。
余談ですが、東京で有名なイボ取り地蔵は新宿と西新井にあります。お地蔵さんにかかっている塩をもらってきて患部に塗布し、もし治ったら倍の塩をお地蔵さんにかけるというものです。
じんましん
白血球の一つであるマスト細胞が過敏な状態にあり、色々な刺激によって細胞膜が破れることによって、周囲にヒスタミンなどの化学物質がばらまかれます。これらのヒスタミンが血管の特定部位(レセプター)にくっつくと血管が拡張するので皮膚に赤みが出ます。そして血管を構成している細胞と細胞の隙間が開いてしまうので血管内の体液が周囲に漏れ出ます。このためにその部位が膨れます(膨疹:みみず腫れ)。でも所詮、自分の体液なのですから時間とともに自然に拡散・吸収されて症状はあとかたもなく消えます。
原因の特定が難しいので、治療の基本は症状(赤み、膨隆、痒みなど)を抑え、出ないようにコントロールすることになります。風邪を引いた時に熱が出た時に解熱鎮痛剤を飲んで熱を下げるのと同じで、決して根本的な治療ではありませんが対症療法として非常に重要です。基本は抗ヒスタミン剤を飲んで、マスト細胞から放出されたヒスタミンが血管などにくっつくべき特定部位をあらかじめクスリでふさいでおいて、くっつけないのでその後の症状も出ないようにするというものです。最近のクスリは以前のクスリに比べると、眠気などの副作用が少ない、持続時間が長い(1日1回の内服でよい)、効果発現が早い、抗ヒスタミン作用だけでなくマスト細胞の膜を安定化させたり、サイトカインを抑えるなどの付加価値が加わったもので、日本では抗アレルギー剤と称されます。
1)原因となる物質ないし状態:症例報告はあるものの胃粘膜ヘリコバクター・ピロリ菌やC型肝炎ウイルスと慢性蕁麻疹が有意に関連しているとの科学的根拠は未だありません。悪性腫瘍との関連も否定的であり,一般検査を行っても潜伏する基礎疾患が発見される確率は低く、慢性感染病巣(虫歯,扁桃炎など)のチェックと病歴と臨床所見が重要です。
A. 内因性のヒスタミン遊離物質
① 抗IgE自己抗体,抗FcRI自己抗体 ②免疫複合体,寒冷凝集素 ③補体(C3a,C5a) ④キニン,ATP,adenosine,サイトカイン,神経ペプチド,内因性モルヒネ,アセチルコリン,pH,浸透圧,その他
B. 外来性のマスト細胞活性化物質
① 抗原,疑似抗原(光アレルゲンなど) ②一部の毒素,薬剤(造影剤,麻酔薬,麻薬,消炎鎮痛剤) ③食品,食品添加物(サリチル酸化合物,安息香酸誘導体など)
C. 全身的な因子(マスト細胞への直接的な作用機序は不明)
① 疲労,ストレス,日内変動 ②物理的刺激(機械的刺激,寒冷,温熱,光線,圧迫,振動など) ③薬剤,運動
④感染症(細菌:胃粘膜ヘリコバクター・ピロリ,他に病巣感染として扁桃炎,虫歯,上顎洞炎,ウイルス:HCVなど,寄生虫(アニサキス)) ⑤悪性腫瘍,高免疫グロブリン血症など
2)治療:慢性蕁麻疹の患者さんでは70〜95%で原因が不明ですが,可能なかぎり原因・悪化因子をみつけて除去・回避します。アスピリンを初めとする消炎鎮痛剤,疲労,精神的ストレスなどが悪化因子の一つであることが多いようです。
A. 抗ヒスタミン薬(H1阻害薬)・抗アレルギー薬
B. 抗ヒスタミン薬(H1阻害薬)とH2阻害薬(胃薬)の併用:抗ヒスタミン薬の血中濃度が上昇することによる効果
C. ステロイド内服:プレドニン15~20mg/日を目処に漸減。皮疹の持続時間の短い蕁麻疹(機械性蕁麻疹,寒冷蕁麻疹など)にはステロイドの有効性は低い。適応となるのは蕁麻疹様血管炎,遅延型圧迫蕁麻疹,症状の激しい急性期蕁麻疹,慢性蕁麻疹の急性増悪などで抗ヒスタミン剤が無効ないし効果不十分な症例です。
D. その他:強力ミノファーゲンC,非特異的免疫療法(免疫変調療法),漢方薬
3)経過・予後:慢性蕁麻疹では約50%が治療にて1年後には軽快。163例の患者での1年以上経過観察によると,53%は軽快,36%は軽減(回数の減少),11%不変との報告があります。
4)原因となりうる主な食品添加物
・タルトラジン(食用黄色4号):漬物,中華めん,カレー,あめ,米菓,ゼリー,ビスケット,ウエハース,羊羹,レモンシロップ・ニューコクシン(食用赤色102号):清涼飲料水,水産食肉加工物,漬物,佃煮,ケチャップ,ジャム,あめ,紅しょうが,梅干,たらこ,さくらんぼ・サンセットイエロー(食用黄色5号):清涼飲料水,コーラ,漬物,佃煮,あめ,米菓
・安息香酸ナトリウム(防腐剤):しょうゆ,清涼飲料水,酢,果実ソース・4-ヒドロキシ安息香酸(防腐剤):ピクルス,ソース,ジュース,缶詰・アスピリン(防腐剤):合成清酒,果実酒,酢,チューインガム
5)サリチル酸誘導体を含む食品
・穀物類:ジャガイモ・脂 肪:アーモンド・野菜類:キュウリ,トマト,トウガラシ・果物類:リンゴ,アンズ,葡萄,桃,メロン,レモン,オレンジ,サクランボ,グレープフルーツ,プラム,みかん,イチゴ,ラズベリー,ブラックベリーなど・菓子類:チョコレート,キャラメル,ドロップ,キャンディー,ガム,ハッカ,ナッツ,ピーナッツ,クッキー,ケーキ,パイ,プリン,ゼリー,アイスクリーム・飲み物:ビール,酒,ワイン
6)蕁麻疹治療で大切なこと(必ずお読み下さい)
① 原因はアレルギーだけではありません。増悪因子(振動や圧迫などの機械的刺激、温熱や寒冷などの温度変化、日光、刺激物、解熱剤、痛み止め など)を出来るだけ避けることも大切です。
② 先ずは自分に最適なクスリを探すことからはじめます。一番あっているクスリとは、決められたように内服していると赤み、盛り上がり、痒みが全く生じず、副作用としての眠気もないクスリです。1週間くらいずつ試してゆきます。最低でも2から3日は内服してみないとそのクスリの効果は判定できません。
③ 病気の勢いが強い時にはステロイドや複数のクスリ、注射を組み合わせてコントロールします。
④ いつ蕁麻疹がおさまるかは誰にもわかりませんので、クスリは指示通りお飲み下さい。全く症状が出ないようになれば、内服する間隔をあけてゆき、出ないのを確認しながら中止します。間隔をあけて症状が出現する時には、その前段階の内服間隔に戻って出ないように最低限のクスリでコントロールするように心がけてください。
最後に
症状にもよりますが数ヶ月から1年という期間が必要になることもありますので,根気よく治療を続けてください。また治療途中で急に症状が悪くなる時(何かのきっかけで病気の勢いが強くなる)や息苦しいなどの症状(のどの蕁麻疹)が生じる際には早めに病院を受診してください。
水虫治療について
病態:真菌は種々の分解酵素を分泌して角質の蛋白(ケラチン)を分解吸収しながら増殖。真菌が角層を超えて、生細胞にまで侵入することはほとんどありませんが、菌が分泌する分解酵素、分解産物、菌表面の多糖類などは内部へ浸透し、免疫学的に認識され、角層内に寄生する真菌に対する免疫反応が引き起こされます。すなわち角層内で産生される抗原(真菌関連物質)によって生じる、持続的な免疫反応が臨床像として現れるため、本人の免疫状態によって状態や経過が異なります。
原因:土壌内真菌がほとんどで、約90%は、Trichophyton ruburum, T. mentagophytes, Epidermophyton floccosumの3種類。現在では、患者から配偶者への水平感染、あるいは親から子への垂直感染などの家族内感染がほとんどです。いわゆる「垢(あか)」と共に真菌が脱落するので、スリッパ、脱衣マット、靴下、靴、爪きりなどが媒体となります。
2)臨床病型
部位別では①頭部白癬,②白癬菌性毛瘡,③体部白癬,④股部白癬,⑤手白癬,⑥足白癬,⑦爪白癬 などに分けられる。
足白癬(水虫)の臨床病型
■小水疱型:透過性亢進によって表皮内にかぶれによく似た水疱が生じ、表皮内神経線維の刺激にて強い痒みが生じる。
■趾間型:趾間に隙間がないよいうな足では、趾間が慢性的に湿潤して白くふやけた局面を形成する(マタグサレ)。ふやけた角層は防御機能を失うので、二次的な細菌感染やカブレ(接触性皮膚炎)を起こしやすい。
■角質増殖型:生体が炎症機転のみで真菌を排除できない場合には慢性に移行しますが、持続する炎症(サイトカインなど)によって表皮細胞のターンオーバーが早まるため、角層が肥厚して角質細胞脱落も亢進するため、それと共に一部の菌も脱落します。肥厚した角質の表面は保水機能に乏しいので、水分を失い体積が減少し、表面にヒビワレが生じるためにガサガサの足底になるものです。
(菌側の繁殖力と生体側の排除力との拮抗の結果、「痒み」・「水疱」・「肥厚」などの出現する症状が異なり、菌側が優勢あるいは宿主側が減弱していると肥厚型になりやすい。)
■無症状型:真菌が角層のごく表層にとどまり生体が認識しない場合や生体反応が微弱な場合には免疫反応が生じないために症状も病変も存在しない。また「痒み」が少ないと認識されにくい。すなわち無自覚なキャリアーは多数存在する。
3)治療
薬剤選択:アゾール系(イミダゾール系、トリアゾール系など)の合成抗菌剤は真菌細胞膜の主要成分であるエルゴステロールの生合成を阻害するため、白癬菌以外の真菌症(カンジダ、癜風など)にも有効であり、菌の同定が困難な場合にも使用しやすいという特徴があります。
投与法:皮膚表面の角層に寄生している真菌に抗真菌剤を高濃度で到達させるためには選択性、コスト、安全性のいずれの面においても外用(病変部に直接薬剤を塗布)が、全身投与(内服)に勝ります。爪病変、病変部にびらんや細菌による二次感染があって外用治療が困難な時期、宿主の免疫力低下状態、深在性真菌症においては全身投与が適応になります。
外用剤の剤型:角層は異物を内外いずれの方向へも透過させないバリアであり、それを破壊して薬物を浸透させるには、水分含有量を上げる(ふやかせる)、細胞間脂質を除去する(脱脂)という方法になります。いずれにしても本来の角層機能を破壊するため水虫の外用剤はかぶれや細菌による二次感染などの副作用を来たしやすくなるのです。
(1)軟膏
油性基剤を塗ると皮表からの水分喪失が抑制され、角質水分量が次第に上昇して薬剤が浸透。皮膚への刺激性が少ない。効果が持続。欠点は油脂性皮膜を作って作用発現するため、効果発現までに時間がかかること、薬剤浸透性が弱い、ベタベタして不快などである。外用後にはガーゼや木綿の靴下で覆う。
(2)液(ローション・ソリューション)・ゲル
基剤に含まれる水によって角層浸透性を亢進させて薬剤の浸透性を上げる。伸びや使用感がよい。アルコール基剤は皮脂腺からの脂質は溶解するが細胞間脂質は溶かさないので、角層の浸透性を変えないで付属器への吸収が果たせるため、被髪頭部などに向く。但し、ゲルなどをはじめ刺激性は強い。
(3)クリーム
油と水が混合された基剤であり、基剤に水を含むために入浴直後に外用する必要がなく、早く大量に薬剤が浸透しやすいので汎用される。時に含有される界面活性剤などによる刺激感やかぶれが出現する。
(4)角質溶解剤
尿素製剤やサリチル酸製剤が用いられる。角質を浸軟させて薬剤の透過性を高める。また、角層を薄くする。また、サリチル酸には抗真菌作用もある。
(5)閉鎖密封(ODT)
足底の角層が厚く肥厚している場合や爪に薬剤を浸透させる目的で、クリームまたは液剤を外用した上からラップにて覆い、角質を膨潤させて薬剤をより浸透させる。先ず尿素製剤でODTを行い爪などの角質を柔らかくして削り、その後に抗真菌剤を外用して浸透を高める。
(6)内服
① グリセオフルビン(フルビスタチンUF®など)
静菌作用(真菌のDNA合成阻害:分裂抑制)であるため、500-1000mg/日を長期(治るまで)連続投与が必要。コンプライアンス不良。日光過敏症、耐性菌、ワーファリン作用減弱、肝機能障害,胃腸障害,頭痛などの副作用(副作用発現率:28.3%)。
② イトラコナゾール(イトリゾール®)
400mg/日を1週間内服した後3週間休薬するという投与法(パルス療法)を3回繰り返す。薬剤が角質に高濃度で移行して貯留することに加えて、副作用と薬剤費の軽減に貢献。薬剤相互作用に留意。副作用発現率は7.94%。
③ テルビナフィン(ラミシール®)
125mg/日を24週間連続短期投与。その後1-2ヶ月経過観察して、必要であれば再開。時に肝機能障害や味覚障害。薬剤相互作用が少ないのが利点。副作用発現率は10.76%。
*2),3)は真菌の細胞膜の成分であるエルゴステロールの合成阻害をするため,薬剤の有効成分が病巣に届くと真菌の細胞膜が破れて死滅する。人間の細胞膜にはエルゴステロールが含まれていないため副作用が少ない。また飛躍的に角質への親和性が高くなっている。グリセオフルビンに比較すると格段に副作用は減っているものの,いずれも薬剤の排泄に際して肝臓を経由するため,定期的に血液検査を行う必要があります。
水虫処置の実際
1. 水疱・膿疱:水疱を破ると「痒み」が軽減。
2. びらん・潰瘍:流水や生理食塩水を用いて物理的に異物や細菌を減らす。軟膏基剤を選択して刺激を少なくし、亜鉛華軟膏やガーゼを併用して病変の乾燥に勤める。カブレや細菌の二次感染併発例では、その治療を優先。
3. 角質増殖型:内服薬の併用、尿素軟膏によるODTを併用しないと難治である。クリーム剤を選択し、入浴後の角層が充分に水を含んでいるときに外用するのが薬剤浸透の面からは有利である。
4. 肥厚した爪:基本的には内服薬を使用。やむを得ず外用剤単独での治療の際には、爪は多くの場合肥厚や混濁していても爪表層は保たれており、単純に外用しても薬剤が到達しない。尿素軟膏のODTで軟化させた後にヤスリやルーターを用いて爪表面を削って薬剤の浸透を高める。特に表層混濁型では物理的に感染病巣を減少させることが重要。入浴後の爪が浸軟している間に、肥厚した爪床部分に向けて爪先から液剤を流し込む。
(外用療法の基本:①目に見える病変だけではなく、広範囲に外用。全てのユビの股から足の裏全体に両足ともに外用。②症状が消失してからも、最低でも3から6ヶ月は外用し続ける。再発を防ぐためです。③毎日入浴後に外用するように習慣づける。)
4)日常的なスキンケア
① 治療的スキンケア:白癬菌は高温・多湿を好みます
・ 患部の清潔と乾燥:付着した白癬菌や栄養物としての角質除去,細菌の二次感染防止
・ 毎日入浴,石鹸での洗浄,入浴後の乾燥
・ 通気性のよい木綿の靴下を着用,長靴や皮靴を避ける,趾間型では足袋型靴下も一法
・ 多汗症があれば塩化アルミニウムなどの制汗剤の併用
・ 裸足がよいが,感染源にもなりえる
② 感染経路とその予防:患者は菌を散布し,菌は環境中で生存しています
・ 共同浴場やプール使用後には健常人の足底から白癬菌分離
・ 掃除機塵埃から白癬菌生育
A:白癬患者からの菌の散布減少→外用療法施行
B:環境中に生存中の菌の減少→掃除,マットの洗濯やアイロン掛け・濡れタオルでの拭き取り
C:菌の足底への付着防止・付着菌の脱落促進→石鹸で洗浄,タオルで拭く,裸足ですごす
③ 予防的スキンケア:菌の足底への付着防止・付着菌の脱落促進
・ 裸足になる公共施設での感染:足拭きマットへの注意
入浴時に石鹸で洗浄,タオルで拭いた後に湿ったまま靴下を履かないで裸足ですごす
・ 家庭内感染:同居者に白癬患者がいると感染率高い
住居内の畳や絨毯の上を裸足で歩行するだけでも菌の付着可能性あり
お願い
家族内に同じ症状の人がいればピンポン感染を防止する意味でも同時に治療した方がよいでしょうし,水虫と思っているものが実は他の皮膚疾患の場合もあるので皮膚科を受診して,顕微鏡による検査を受けて下さい。また受診する際の注意点として,患部に水虫薬を使用すると一次的にせよ白癬菌が減少して菌の検査での検出率が悪くなります。同じく水疱をつぶしたりしても同じく検出率が低下してしまい確定診断が下せない場合があります。爪も切らずに,患部の症状がはっきりしている時点で未治療の状態でできるだけ受診してください。症状にもよりますが数ヶ月から1年という期間が必要になりますので,根気よく治療を続けてください。またかぶれや化膿の症状があるときは早めに皮膚科を受診してください。
小児の夏の皮膚感染症
■手足口病
手足口病は名前の通り手・足・口などに水疱性発疹が見られる病気で、コクサッキーA16やエンテロ71などのウイルス感染が原因であることがわかっています。この他にもコクサッキーA10・A4・A5・A6などによってもおきますので、異なったウイルス感染を受けたために繰り返し手足口病が現れることもあります。7月を中心として夏に多く、好発年齢は1~4歳、潜伏期間は3~5日です。数年後とに流行が繰り返されています。伝染の様式は、気道分泌物・便の直接・間接接触と飛沫感染で、ウイルスの排泄は、咽頭から1~2週間、便から3~5週間と非常に長く続くため、隔離は不要とされています。
ウイルスの種類により発疹のでかたに差があり、コクサッキーAでは、手と足に見られることが多いのに対し、エンテロ71では、手足のほか大腿や臀部にも見られることが多いと言われていますが、手と足だけ、手と口だけなどと、全ての症状がそろわないことも珍しくありません。発疹は通常3~7日で痕を残さずに消退します。発熱は見られないか、あっても38℃前後で、高熱が続くことはほとんどありません。のどが痛いためによだれが多くでたり、食べ物を受け付けなかったりすることがありますので、脱水にならないように刺激の少ない口当たりの良い水分を中心に与えるように心がけてください。ほとんどは軽症で自然に良くなりますが、ごくまれに髄膜炎を合併することがありますので、注意が必要です。園や学校は、熱や口内炎がある間はお休みするのが無難だと思います。症状が安定している場合は登校可能です。なお、便から長期間にわたってウイルスが排出されますが、きちんと管理されたプールでは塩素によりウイルスが死滅しますので、プールによる感染の心配はまずありません。
■とびひ(伝染性膿痂疹)
「とびひ」は、あせもや虫刺され、擦り傷などに細菌(多くは黄色ぶどう球菌か溶血性連鎖球菌)が感染し、水ぶくれや痂皮(かさぶた)が出来たものです。病変部はむずがゆいためにかきむしり、手に細菌が付着します。その手で別のところをかくと、そこに爪によって傷ができて新しい病変ができ、次々に化膿した病変が火の粉が飛ぶように広がってゆくことから、この病名がついています。
伝染力が強く自分自身で病変部を増やしてしまうだけでなく、兄弟やお友達にも細菌のついた手を介して感染が広がってゆきます。この病気も肌が露出して、虫刺されなどの機会の多い夏に多発します。「とびひ」はあせも、湿疹、虫刺され、擦り傷などがあるときに汚れた手でひっかくことによって始まりますので、元々の病変をきちんと早めに治療することと、皮膚や手を清潔にし、爪も短くしておくことが治療上も予防的観点からも大切なことです。
治療は抗生物質の内服と抗生物質含有ステロイドが入った塗り薬が基本です。場合によってはかゆみを抑える飲み薬や浸出液をおさえる亜鉛華軟膏が組み合わされることもあります。消毒液は、浸出液に触れると殺菌作用がなくなること、皮膚の細胞にも毒性に働くこと、さらに、接触性皮膚炎(かぶれ)の原因になる可能性などから不要です。他の人への感染防止からも、ひっかいて体の他の部位への拡大を防ぐ意味からも患部が乾燥するまではガーゼ保護する方がよいでしょう。皮膚を清潔に保ち、菌が増殖しにくい環境を整えるとともに、びらん・痂皮に存在する細菌量を減らすため、患部はこすらない程度に泡立てた石鹸でやさしく洗い流すようにしましょう。浴槽につかることも問題ありませんが、洗い流した痂皮や浸出液の再付着を防ぐため、シャワー浴が適しています。感染を防ぐ意味から兄弟姉妹での一緒の入浴は避け、家庭での入浴は最後が望ましいでしょう。
幼稚園や学校を休む必要はありませんが、プールは「とびひ」が乾いて感染の心配がなくなるまではお休みさせた方がよいでしょう。
■水いぼ(伝染性軟属腫)
水いぼもウイルスが皮膚の細胞の中で増殖して発症します。丸くて小さな光ったイボです。大きいものでは中心にくぼみが見えます。つぶすと白いかたまりが出てきて、この中にウイルスが含まれているので、これが皮膚につくとうつります。主に肌と肌の接触によってうつりますが、その他タオルなどを介して感染するとされています。園や学校で遊んでいて、水いぼに接触すればうつってしまいます。兄弟間や園などでごく小さな流行がみられたこともあって、伝染性軟属腫という名前がつけられています。弱いウイルスなので、免疫反応も起きにくく、自然に治るのには時間がかかります。放置しても個々の皮疹は約2ヶ月で消失しますが、自分でひっかいて体のあちこちに広がる場合があります(水いぼができると痒みが生じます:モルスクム反応)。1年経過では95%近くが自然治癒しますが、自家接種があるために完全消失には6ヶ月から3年(平均で6~7ヶ月)の時間を要します。さらにアトピー性皮膚炎や乾燥肌にて皮膚のバリア機能が弱いと水いぼのウイルスが感染しやすいため、水いぼも広がりますし、アトピー性皮膚炎も悪くなります。水いぼを積極的に治療(ピンセットでの水いぼとり)するのか、全く治療しないのか、痛みの少ない治療(ヨクイニン、硝酸銀、スピール膏、グルタールアルデヒドなど)で様子をみるのかは意見が分かれます。お子さん自身では決められないので、保護者の方に治療法を決定していただくことになります。最低限、外用薬や内服薬によってアトピー性皮膚炎や乾燥肌などの基礎疾患のコントロールをして、自家接種や痒みを抑える必要はあります。プールについては、学校や園などの施設によって異なりますが、旧文部省の通達では、ビート板の共用さえしなければ、学校ではプールに入ってよいことになっています。但し、プールでの体の接触は少なくないので人から人へうつってはしまいます。
水いぼ(伝染性軟属腫)の説明
(平成16年7月1日)
参照:皮膚疾患100の質問(メディカルレビュー社),新潟県小児科医会HP,土川内科小児科ニュース など
紫外線と海水浴に伴う皮膚病
1)日焼け(sunburn):やけどと同じです。
以 前は小麦色の肌がもたらす健康的なイメージに多くの人が憧れました。また、食糧事情がよくなかった時代には日光浴によって活性型ビタミンDを作る目的も あったのか、子どもたちは日光浴を推奨されていました。しかし、現在では紫外線はシミやシワをはじめとする皮膚の老化を早めたり、発ガン性も有しているこ とが広く知られており、いかに紫外線を防御するかということが重要になってきています。日焼けにはサンバーン(sunburn:紫外線に暴露した直後に現 れる赤い日焼け、主にUV-Bによる)とサンタン(suntan:赤い日焼けが消えた後に現れて数週間から数ヶ月続く黒い日焼け、主にUV-Aによる)が あります。紫外線量は6月~8月にかけて、1日のうちの正午をはさむ数時間で最大になります。サンバーンは私たちが感じることの出来ない紫外線によって出 現します。暑さを感じるのは主に赤外線によるものですから、灼熱の状態でなくてもサンバーンを起こしますので注意しましょう。ゴルフや釣りなども要注意で す。日頃から、
①長袖の衣服、②帽子、③サングラス、④日焼け止め、⑤日傘などを効果的に利用しましょう。サンバーンを起こすと、幹部は真っ赤になりヒリヒリ痛みます。症状が強いと水疱が出てきます。夏場の外出ではサンスクリーン(日焼け止め)をお使いになるほうが良いでしょう。また熱中症に備えて、水分補給をお忘れなく...。
また各種検索サイトからも紫外線情報が簡単に得られます。
①冷却:流水、冷水、アイスノン、カーマインローションなど
②ステロイド外用剤(軟膏)の塗布:軟膏基剤を選んでください。クリームでは刺激を来たします。
③ひどい場合にはステロドや消炎鎮痛剤の内服:早めに病院を受診しましょう。痛みが早く軽減します。
紫 外線(主にUV-B)に暴露されて、数時間後には皮膚にうっすらと赤み(紅斑)がでますが、この広範をもとにサンスクリーンの紫外線防御効果(SPF: Sun Protection Factor)が決められています。(サンスクリーンを塗った時の紅斑が出現するまでの時間)=(サンスクリーンを塗らなかった時の紅斑が出現するまでの 時間)×SPFと考えればよいので、平均的な日本人の場合は真夏の強い紫外線のもとでは素肌は15分から25分で紅斑が出現しますので、SPF15のサン スクリーン使用により、紅斑が現れるまでの時間はその15倍の時間、すなわち4時間から6時間かかります。この表示は1cm2あたり2mg外用した時の効 果ですから、しっかり外用し、時に塗りなおしをしないと確実な効果は得られません。一方、PAはUV-Aに対する効果で、+から+++までの3段階表示で す。通常はSPF10~20を基本とし、アウトドアスポーツなどでは30~50で耐水性の高いものを選べばよいでしょう。また、肌が敏感な方は紫外線吸収 剤を含まないものを選ぶようにしましょう。
1)プランクトン皮膚炎:海水浴皮膚炎とも呼びます。
海 水浴に行って生じる皮膚炎のなかには、クラゲに刺されたり、日焼けなど原因が本人に分かるものが多いのですが、海水浴皮膚炎(sea bather's dermatitis)といって、水着の中に入り込んだプランクトンなど原生動物の幼虫(主にコメツキダニの幼虫のゾエア)により生じる皮膚炎は本人に はっきりした自覚がありません。これは海水浴の当日の夜から翌日に、水着に覆われた部位(腰や臀部)にかゆみの強い赤いブツブツした発疹ができるもので す。患部にはステロイド外用剤を塗ります。
2)クラゲ刺傷:Jerryfish Dermatitis
クラゲを始 め、イソギンチャク・サンゴなどは刺胞動物(腔腸動物)と呼ばれます。触手には刺胞という「トゲ」のようなものがたくさんついていて、その刺胞の中には毒 液が含まれています。一本の触手が触れると数千の刺胞が皮膚に刺さり、刺胞がはじけて中の毒が皮膚内に入り強い炎症を引き起こします。日本で、人を刺すク ラゲが大きく成長するのは8月頃からです。多いのはカツオノエボシ、アンドンクラゲ、アカクラゲです。刺されると患部がムチで打たれた痕のように線状(み みず腫れのよう)に赤く腫れます。時にハチ毒と同じように、アナフィラキシー症状で呼吸困難など激しい症状を来たすことがありますので注意が必要です。ク ラゲに刺されたら、刺胞がはじけないように触手を取り除くことが重要です。先ず、タオルなどやわらかい布(素手で行なうと刺される場合があります)で軽く 拭くように海水を使って触手を洗い流し取り除く(真水で洗うと、浸透圧の関係で刺胞がはじけやすくなります)ようにします。このとき絶対に強くこすらない ようにすることが重要です。 クラゲの毒液はアルコールにも弱いといわれ、海水で洗った後に、アルコール類をかけるのもよいという説もあります。温めたタオルなどで患部をおさえると、 疼痛が和らぐようです。放置すると、初期の痛みが引いた後に皮膚に刺さった刺胞が時間とともに破れて再度赤みや痛みが出てきます。時に二次感染を起こして 化膿したり、強い炎症のあとに潰瘍を作り、ケロイド状に盛り上がることもあります。早めに皮膚科を受診しましょう。
3)ウニ刺傷:Sea-urchin Dermatitis
ウ ニとヒトデは同じ棘皮動物に分類されるもので同じ性質の棘を持っています。ウニの1種(Globiferous pedicellariae)は,人間の皮膚をも貫く顎を備えた毒物器官を持つそうですが,実際の被害はまれとのこと。やはり、はるかに多いのはウニの棘 による受傷で,棘が皮膚の中で砕けて局所に炎症を起こします。除去しなければ,棘はさらに深部の組織へと入り込み,肉芽腫性病変(硬いしこり)を生じるこ とがあります。異物肉芽腫だけでなく、中には非定型坑酸菌が検出される症例もあるようです。ウニの棘はできる限り直ちに除去すべきです。また棘が大きいと きにはX線で見える場合もありますので、取り残しが無いかどうかの確認に有用です。表面の棘のほとんどが酢で分解されることから、日に数回,酢の中で傷を 洗い,酢で湿らせた圧迫ガーゼを当てておくとよいとも言われます。棘を抜き取るために小切開を要することもあります。ヒトデもそうですが、ウニの被害は海 岸を素足で歩いたり、素手でウニを採取しようとして生じます。