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じんましん

皮膚病AtoZ 「蕁麻疹について」
少し難しい内容ですが、蕁麻疹についてもっと詳しく知りたい時に別途お渡しするパンフレットと合わせて参考にして下さい。原因となりうるものは無数にあり、未だ原因を特定できることは少ないのですが、どのような機序で起きてくるかについてはかなりわかって来ています。簡単に説明しますと、以下のようになります。
白血球の一つであるマスト細胞が過敏な状態にあり、色々な刺激によって細胞膜が破れることによって、周囲にヒスタミンなどの化学物質がばらまかれます。これらのヒスタミンが血管の特定部位(レセプター)にくっつくと血管が拡張するので皮膚に赤みが出ます。そして血管を構成している細胞と細胞の隙間が開いてしまうので血管内の体液が周囲に漏れ出ます。このためにその部位が膨れます(膨疹:みみず腫れ)。でも所詮、自分の体液なのですから時間とともに自然に拡散・吸収されて症状はあとかたもなく消えます。
原因の特定が難しいので、治療の基本は症状(赤み、膨隆、痒みなど)を抑え、出ないようにコントロールすることになります。風邪を引いた時に熱が出た時に解熱鎮痛剤を飲んで熱を下げるのと同じで、決して根本的な治療ではありませんが対症療法として非常に重要です。基本は抗ヒスタミン剤を飲んで、マスト細胞から放出されたヒスタミンが血管などにくっつくべき特定部位をあらかじめクスリでふさいでおいて、くっつけないのでその後の症状も出ないようにするというものです。最近のクスリは以前のクスリに比べると、眠気などの副作用が少ない、持続時間が長い(1日1回の内服でよい)、効果発現が早い、抗ヒスタミン作用だけでなくマスト細胞の膜を安定化させたり、サイトカインを抑えるなどの付加価値が加わったもので、日本では抗アレルギー剤と称されます。

1)原因となる物質ないし状態:症例報告はあるものの胃粘膜ヘリコバクター・ピロリ菌やC型肝炎ウイルスと慢性蕁麻疹が有意に関連しているとの科学的根拠は未だありません。悪性腫瘍との関連も否定的であり,一般検査を行っても潜伏する基礎疾患が発見される確率は低く、慢性感染病巣(虫歯,扁桃炎など)のチェックと病歴と臨床所見が重要です。
A. 内因性のヒスタミン遊離物質
① 抗IgE自己抗体,抗FcRI自己抗体 ②免疫複合体,寒冷凝集素 ③補体(C3a,C5a) ④キニン,ATP,adenosine,サイトカイン,神経ペプチド,内因性モルヒネ,アセチルコリン,pH,浸透圧,その他
B. 外来性のマスト細胞活性化物質
① 抗原,疑似抗原(光アレルゲンなど) ②一部の毒素,薬剤(造影剤,麻酔薬,麻薬,消炎鎮痛剤) ③食品,食品添加物(サリチル酸化合物,安息香酸誘導体など)
C. 全身的な因子(マスト細胞への直接的な作用機序は不明)
① 疲労,ストレス,日内変動 ②物理的刺激(機械的刺激,寒冷,温熱,光線,圧迫,振動など) ③薬剤,運動
④感染症(細菌:胃粘膜ヘリコバクター・ピロリ,他に病巣感染として扁桃炎,虫歯,上顎洞炎,ウイルス:HCVなど,寄生虫(アニサキス)) ⑤悪性腫瘍,高免疫グロブリン血症など

2)治療:慢性蕁麻疹の患者さんでは70〜95%で原因が不明ですが,可能なかぎり原因・悪化因子をみつけて除去・回避します。アスピリンを初めとする消炎鎮痛剤,疲労,精神的ストレスなどが悪化因子の一つであることが多いようです。
A. 抗ヒスタミン薬(H1阻害薬)・抗アレルギー薬
B. 抗ヒスタミン薬(H1阻害薬)とH2阻害薬(胃薬)の併用:抗ヒスタミン薬の血中濃度が上昇することによる効果
C. ステロイド内服:プレドニン15~20mg/日を目処に漸減。皮疹の持続時間の短い蕁麻疹(機械性蕁麻疹,寒冷蕁麻疹など)にはステロイドの有効性は低い。適応となるのは蕁麻疹様血管炎,遅延型圧迫蕁麻疹,症状の激しい急性期蕁麻疹,慢性蕁麻疹の急性増悪などで抗ヒスタミン剤が無効ないし効果不十分な症例です。
D. その他:強力ミノファーゲンC,非特異的免疫療法(免疫変調療法),漢方薬

3)経過・予後:慢性蕁麻疹では約50%が治療にて1年後には軽快。163例の患者での1年以上経過観察によると,53%は軽快,36%は軽減(回数の減少),11%不変との報告があります。

4)原因となりうる主な食品添加物
・タルトラジン(食用黄色4号):漬物,中華めん,カレー,あめ,米菓,ゼリー,ビスケット,ウエハース,羊羹,レモンシロップ・ニューコクシン(食用赤色102号):清涼飲料水,水産食肉加工物,漬物,佃煮,ケチャップ,ジャム,あめ,紅しょうが,梅干,たらこ,さくらんぼ・サンセットイエロー(食用黄色5号):清涼飲料水,コーラ,漬物,佃煮,あめ,米菓
・安息香酸ナトリウム(防腐剤):しょうゆ,清涼飲料水,酢,果実ソース・4-ヒドロキシ安息香酸(防腐剤):ピクルス,ソース,ジュース,缶詰・アスピリン(防腐剤):合成清酒,果実酒,酢,チューインガム

5)サリチル酸誘導体を含む食品
・穀物類:ジャガイモ・脂 肪:アーモンド・野菜類:キュウリ,トマト,トウガラシ・果物類:リンゴ,アンズ,葡萄,桃,メロン,レモン,オレンジ,サクランボ,グレープフルーツ,プラム,みかん,イチゴ,ラズベリー,ブラックベリーなど・菓子類:チョコレート,キャラメル,ドロップ,キャンディー,ガム,ハッカ,ナッツ,ピーナッツ,クッキー,ケーキ,パイ,プリン,ゼリー,アイスクリーム・飲み物:ビール,酒,ワイン

6)蕁麻疹治療で大切なこと(必ずお読み下さい)
① 原因はアレルギーだけではありません。増悪因子(振動や圧迫などの機械的刺激、温熱や寒冷などの温度変化、日光、刺激物、解熱剤、痛み止め など)を出来るだけ避けることも大切です。
② 先ずは自分に最適なクスリを探すことからはじめます。一番あっているクスリとは、決められたように内服していると赤み、盛り上がり、痒みが全く生じず、副作用としての眠気もないクスリです。1週間くらいずつ試してゆきます。最低でも2から3日は内服してみないとそのクスリの効果は判定できません。
③ 病気の勢いが強い時にはステロイドや複数のクスリ、注射を組み合わせてコントロールします。
④ いつ蕁麻疹がおさまるかは誰にもわかりませんので、クスリは指示通りお飲み下さい。全く症状が出ないようになれば、内服する間隔をあけてゆき、出ないのを確認しながら中止します。間隔をあけて症状が出現する時には、その前段階の内服間隔に戻って出ないように最低限のクスリでコントロールするように心がけてください。

最後に
症状にもよりますが数ヶ月から1年という期間が必要になることもありますので,根気よく治療を続けてください。また治療途中で急に症状が悪くなる時(何かのきっかけで病気の勢いが強くなる)や息苦しいなどの症状(のどの蕁麻疹)が生じる際には早めに病院を受診してください。

2005年06月13日

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