皮膚科AtoZ ミルディス皮フ科 東京都 足立区 皮膚科 美容皮膚科 形成外科 アレルギー科:東京都足立区北千住で皮膚科を診療している院長の皮膚に関するブログです。

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ニキビに対するホルモン治療

『経口避妊薬(低容量ピル)』と『スピロノラクトン』

  ニキビ(尋常性ざ瘡)の女性に対して下記のような症状の場合には、ホルモン療法が追加で行われることも少なくないようです。多くは経口避妊薬(低容量ピル)が用いられ、中には高血圧治療にも用いられる抗アルドステロン薬であるスピロノラクトンの有効例も知られています。いずれも皮脂分泌抑制作用を介しての効果だと考えられています。
  この度、当院でもこれらホルモン療法を開始することになりましたので、ご紹介致します。

<女性の尋常性ざ瘡に対するホルモン治療の適応例とは?>
●弱いか、あるいは中程度の多毛症を伴う
●他の治療法で適切な治療効果が得られない
●成人期に「始まった」か「悪化した」
●顔面に皮脂の過剰を伴う
●あごひげの領域に、限局した炎症性丘疹を持つ

 

経口避妊薬(低容量ピル)について

  低容量ピルと称される経口避妊薬(oral contraceptives: OC)には、低用量の合成エストロゲン(卵胞ホルモン)と合成プロゲステロン(黄体ホルモン)の併用型ピル(エストロゲン50μg以下、プロゲステロン1.5mg以下を含有)となっています。合成プロゲステロンには世代があり、第二世代では第一世代に比べて強力になり、第三世代と言われる「マーベロン21」に含まれているもの(デソゲストレル: DSG)では男性ホルモン活性が非常に低くなったとされています。
低用量ピルを投与した場合、視床下部―下垂体-卵巣分泌系に作用して卵胞刺激ホルモン(FSH;エストロゲン↑作用)と黄体刺激ホルモン(LH;エストロゲンとプロゲステロン↑作用)の分泌を減少させ、副腎、卵巣、末梢組織由来のテストステロンを減少させます。さらには血清中のテストステロンレベルを下げて皮脂分泌を抑制し、結果としてニキビが抑えられます。
その他の説明としては、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)という物質への作用を考慮したものもあります。皮脂分泌を増加させるテストステロンという男性ホルモン(アンドロゲン)は、SHBGと結合すると男性ホルモン作用を発揮しません。エストロゲンにはこのSHBGを増加させ、逆にプロゲステロンを減少させる働きがあります。そのためプロゲステロン分泌の多い生理前はエストロゲン、プロゲステロンの比率により男性ホルモンの作用が強くなってニキビがひどくなり、逆に生理の後はお肌の状態がいいという説明になるわけです。
しかし、ピルに含まれているエストロゲンの作用で、ニキビ、特に生理前に悪くなるアダルトニキビはおさまることが多いのですが、人によってはピルに含まれる合成プロゲステロン(プロゲストーゲン)の作用で逆にひどくなることもあります。その点、マーベロン21に入っているプロゲステロン(デソゲストレル)は男性ホルモン活性が低いため、そうした悪化が少ないことが期待されます。その他の副作用として浮腫、血栓症、食欲増加、体重増、うつ状態、乳房緊満などを呈することがあります。

実際の使用法としては月経が終了してから21日間連続服用し、これを1クール(周期)とします。1週間の休薬期間をおいて、次クールを再開させます。通常、脂性肌は1クール、ニキビは3クールほどで改善が見られることが多いようです。
マーベロン21という低用量ピルに強い抗ニキビ効果が期待されること、また本来、低用量ピルは避妊を目的として作られているため産婦人科医の手によって処方されるべきものですが、当院のあるメディカルフロアに婦人科がないこと、また2006年の低容量ピルの使用に関するガイドラインで子宮頸部細胞診やクラミジアなどの検査が必須でなくなり、問診と血圧・体重測定などに簡略化されたことなどから、当院でも本治療薬を導入することになりました。
ニキビ治療の目的に限り、当院で処方を行います(ニキビ治療目的以外での処方、マーベロン21以外の処方はいたしません)。 

スピロノラクトンについて

アルドステロン受容体の拮抗薬であるスピロノラクトン(spironolactone)は腎臓にてNa・水排泄を促進することから、利尿系降圧剤として高血圧の患者様を中心に幅広く使われています。またアンドロゲン受容体を競合阻害することによる抗アンドロゲン作用を持っていることが知られており、ニキビに対しても1日あたり50-300mgの投与で改善が見られたとの報告があります。わが国では、東京大学形成外科の吉村教授等がニキビや皮脂分泌過剰に対する有用性を報告しています。
実際の治療としては、通常初回200mg(50mg錠を朝2錠、夜2錠)/日で開始します。この量で内服しても、利尿効果が強く起こることは通常は見られません。スピロノラクトンの内服を開始しても、現存するコメド(面疱)や炎症性丘疹への治療効果はないため、ケミカルピーリングや面疱圧出、各種レーザー照射などを併用することが推奨されています。投与開始後は必ず2週間毎に来院していただき、副作用や不正出血の有無を観察する必要があります。
通常は2週間で皮脂分泌が大幅に減少し、4週間以降は新しいニキビが減少してきます。4週間くらい新しいニキビが見られない状態になれば、1日の投与量を200→150→100→50mgと1カ月毎に減量してゆきます。治療に対する反応がよい症例では、ニキビ症状の再燃を認める例は少ないのですが、6カ月以上経過してから再燃が見られることもあるとされています。

副作用として、男性では女性化乳房、女性では生理不順などが報告されています。生理不順のない方でも、スピロノラクトンの内服によって不正性器出血や月経周期の異常が見られることがあります。対処法としては、低容量ピルを使用して月経をコントロールしてしまう、などが紹介されています。血液検査では6カ月間以上治療を行った37名において、血清AST、ALT、BUN、Cr、Na、K、Cl、総テストステロン、遊離テストステロン、DHEA-S、SHBG、LH、FSH、抗核抗体、IgE、等は有意な変化を認めなかったと掲載されています。基本的には、基礎疾患などがなければスピロノラクトンによって電解質異常などを含めた大きな副作用は引き起こさないということです。

参照:日本産科婦人科学会編「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」
http://www.jsog.or.jp/kaiin/pdf/guideline01feb2006.pdf)、
佐藤克二郎・吉村浩太郎「ニキビに対する抗アンドロゲン療法」
http://www.cosmetic-medicine.jp/list/nikibi-hormone.htm)、
全国保険医団体連合会「皮膚疾患治療ガイドライン(原著:オーストラリア治療ガイドライン委員会)」

2008年02月24日

ヘアケア:そのディープな世界①

皮膚病AtoZ 「ヘアケア:そのディープな世界①」
ヘアケア:そのディープな世界①

とある友人達との飲み会でプロペシア(男性型脱毛症用の内服薬)の話になりました。われわれも年相応に、あるいはそれ以上に頭髪が寂しくなっているなあ、 でも学生の頃から生え際の剃り込みがあったから余り進行していないのだ…などなど昔話を交えてのことでしたが、ふと同席者から「一般的なヘアケアとしてど のようなことが勧められるのか?」「巷で有名なサロンでは、どのようなことが行われているのか?」「はたしてそれらの施術の有用性はいかがなものか?」な どという至極真っ当な意見が出され、われわれ皮膚科医は一般的な円形脱毛症の治療法、あるいはプロペシアの作用機序などについては答えられるものの、それ ら以外については知識ならびに経験に非常に乏しいことが判明してしまいました。

そこで一念発起して各種のサロンの施術、あるいはそこで 勧められるホームケア法、インターネット通販などで流行っている製品などを調べてみようと思い立ち、今回の「セルフ・ヘアケア体験」(2007年9月現 在)と称した企画を始めました。脱毛症患者の方々に私が体験したグッズを体験していただき、内服薬などの医学的治療だけではなく、食事や生活習慣を含めた 日常生活やセルフケアの重要性を再認識していただきたいというのが趣旨です。これらが諸氏の知的好奇心を刺激し、さらには頭皮をも刺激して、私ならびに患 者諸氏の髪が再現されるのを切に望むものであります。
私も遅ればせながら、2007年9月よりヘアケア作戦をスタートしました。皆さんも一緒にいかがですか? ビリーのブートキャンプは大変にきついそうですが、この企画では体力は要しません。必要なのは少しの持久力だけ?

●育毛・発毛グッズ(機械編)
~余りにも膨大なので、代表的なものに限定しました。でも面白かったです。

局所のヘアケアの基本は「毛穴の汚れをとり、頭皮を清潔にした状態で育毛剤を使用する」、そして「何らかの付加価値をつけて、より的確にしかも簡便に育毛 剤を適所に導入する」、さらには「頭皮マッサージで血行促進をはかる」を主目的にしているようです。電気グッズを見ても、皮膚でいうイオン導入機やEMS のように、企業ごとに育毛剤をより浸透させたり、血管を拡張させるための細かな工夫があるはずです(逆にあると信じたいとの意見もありますが…)。空気圧 マッサージも、医療機関においても手足のむくみ治療(乳がん手術後のうでの浮腫などへの治療の一環)にも用いられますが、機器によっては局所施術後の周囲 温度上昇の範囲が異なることが見てとれます(コンセランのHPによる)。ただし、いずれにしても基礎的なデータはほとんど入手できませんでした。
個人的には機構が単純でコンパクトなものが好きです。逆に強い刺激は苦手なので、機械ものはいつまで継続できるか自信がありません。ここでは、あえて詳細 な商品名は出しません(一部個人的試用品のみ下記で掲出)が調べれば簡単にわかります。また通販などで入手できますが、決して当方でオススメするものでは ありません。悪しからず。

① 低周波:頭部の血管、リンパ管、筋肉に刺激を与え、頭皮の新陳代謝を促進すると言われています。
② 高周波:頭皮、皮下の帽状腱膜にいたるまでの組織に微細な振動を生じさせ、それが細胞への刺激となり活性化されると言われています。
③ 空気圧マッサージ:空気圧で頭皮をもみほぐして温めますが、その作用は局所だけに留まらないとされています。加えてリラックスできます。
④ スチーム:シャンプー後に頭皮を蒸らして育毛剤の吸収を高めます。蒸しタオルでも代用可能?
⑤ タッピング:以前流行りましたが、最近では刺激過多になりやすいとの危惧から下火のようです。人の指に勝るものはないようです。

その他にもマイナスイオン、オゾン、LED光、などなど一体どこまで作用があるのか無いのか、はたまた有害無益なものなのか、玉石混交で混乱させられます。こうしたことから私は、自分が試して気持ちよいと感じられ、無理なく継続できるものだけにしようと思います。

●育毛の基本
~ヘアケアの「これが大事だよ!」 詳しくはクリニックニュース(ヘアケア:②)で紹介します。

機械に頼るのではなく、基本は①シャンプーなどを含めた正しいヘアケア、②生活習慣の改善、③良質の育毛剤、になるのでしょうか。育毛・健康関係の情報とも氾濫していますが、余り突飛なものに惑わされないで基本を抑えるようにしたいものです。

① ヘアケア: 洗い過ぎ(皮脂の取り過ぎ)もよくなく、強いブラッシングも頭皮を痛める心配あり。何事も適度にという中庸の精神が肝要です。シャンプーも合成界面活性剤 やプロピレングリコールが槍玉にあげられることも多いようですが、少なくとも丁寧にすすぎ、爪を立てたりしないなどの注意の方がより大切でしょう。気にな るなら石鹸シャンプーなども選択肢となります。畑を耕すつもりでケアを継続しましょう。医院に備え付けの資料などを参照してください。
② 生活習慣の改善:栄養に配慮した食事をとり、タバコやアルコールなど刺激物を控え、適度な運動を行い、ストレスをためないこと。
③ 育毛剤:あまり目移りしないように。最低でも1種類を3~6ヶ月は継続しないと効果はわからないでしょう(成分など詳細は次回に)。

●私のヘアケア作戦
私の頭頂部もすっかり寂しい状況となりました。そこで購入した全ての製品に手を出すも持続せず、下記あたりが私の限界のようです。簡便で気持ちよいものしか継続できないものですね。さて、その効果はいかに? 1年後のお楽しみです。

① 育毛剤: アサバ 「新滋源」(https://www.moshimo.com/mds/article/87109/22391)。1階の薬局「はなファーマ シー」にて入手し、連日外用中です。刺激がなく、臭いがきつくないのが気に入っています。また、毛穴洗浄のツールとして、同じく「はなファーマシー」オス スメのサニーヘルスの「PFリピッドクリア」を週に1~2回シャンプー前に使用しています。私の頭皮は油っぽいので、使用後はすっきり爽やかです。

② 育毛ブラシ:トルマリンが配合され、先端からはマイナスイオンが発生するというものを知人から頂いたので使用。ブラッシングで頭皮を軽く刺激するようにしています。慣れるとブラッシングって気持ちいいものですね。豚毛がよいとの情報もありますが、確かに低刺激そうですね。

③ ケアナケア: 週に2~3回、シャンプーを流す際に使用しています。1秒間に30回というジェット水流のパワーで頭皮や毛穴の汚れを洗い流し、マッサージを同時に行うと のこと。最初は勢いにかえって痛みを感じましたが、最近は慣れてきたのか、心地よい刺激と感じられるようになりました。風呂場以外で充電しなければならな いので、そこが多少面倒なところです。

④ ヘアメイカー:通販で見 つけて、ついつられて購入してしまった機器。使用中の育毛剤を入れて、頭皮にたった4分間軽くあてるだけで、その浸透力が30~50倍にアップするとの文 句。しかもこれ1本で毛穴の汚れや余分な皮脂を引き出した後、育毛剤を導入し、最後に頭皮のマッサージ&引き締めをして完了するというお手軽さです。

⑤ モアタクト(Moistact): アデランスのスチーム式健毛器です。「家庭でもヘアサロンと変わらないヘアケアを」との目的で、毛穴を開かせる"前温風ブロー"、効果を促進させる"後温 風ブロー“を行います。"ミストブロー”は、温風で薬液ミストを乾燥消滅させることなく、また風で薬液ミストを壊すことなく、効果的に温めた薬液ミストを 毛根全体に浸透するように噴霧する育毛促進器具とのことで、ヘアケアの効果を最大限に高めます。頭に専用器具を取り付け、専用液を機械にセットすれば、後 は自動運転で加湿され、有効性分が頭皮に染み込むというしくみになっています。本来は専用の薬液を使用とのことで、そこが「?」でしたが私は「新滋源」で 代用し、前述の「ヘアメイカー」と交互に使用しています。

⑥ その他: クリニックに設置している空気圧マッサージや低周波+高周波の機器を週に数回は行うようにしています。またシャンプーなども高価なものがたくさん売られて いますが特にこだわることはなく、シャンプー時には手によるマッサージで頭皮に刺激を与えるようにしたり、すすぎを念入りにするように変更しました。一時 は「スーパーミルトス」、有名ヘアサロンお勧め品なども使用しましたが、今は家族と同じ製品か、合成界面活性剤をさけるために石鹸シャンプー(この時には ペアのリンスで、pH調整)を使用するくらいです。サプリメントとしては、特別なものは無く、以前からのビタミンC、ビタミンE、タウリンをベースにし て、適宜1~2種類を追加して摂取しています。犬の散歩と友人企画のハイキングに積極的に参加して、運動ならびにストレス発散にあてています。

参 照:ヘアサイエンス(日本毛髪科学協会)、発毛・育毛に本当に効く新常識(青春出版社;武田克之)、はげが治った私の裏技育毛法育毛Web毛髪110番など

2007年09月08日

プラセンタ注射

皮膚病AtoZ 「プラセンタ注射」
プラセンタ注射

プラセンタの不思議な働きには、紀元前もの昔から着目されていました。約4000年前に中国では「紫河車」という名で、秦の始皇帝の時代には不老長寿の薬 として珍重していました。西洋においてはクレオパトラに始まり、マリー・アントワネットも若返りと美容目的でプラセンタを使用していたと言われています。

プラセンタとは胎盤のことで、胎児の発育成長に必要不可欠なものです。母親の体内でわずか10ヶ月の間に、1個の受精卵を平均3kgまでに育て上げるとい う驚異的な働きをもった組織です。したがって、胎児の成長に必要な生理機能や栄養素をもっています。プラセンタは体内において調整作用をもち、各部各所を 本来あるべき状態に戻そうとする力を発揮します。その作用から医療用医薬品や一般医薬品に広く利用され、自然治癒力を高める自然薬として注目を浴びていま す。
日本で現在行われているプラセンタによる治療法は、昭和20年代に旧ソ連や中国を経て伝わり、久留米大学医学部の稗田先生を中心に研究実践 された胎盤埋没療法を起源とします。日本に伝わった当時は麻酔をかけ、皮膚を切開し、胎盤を埋め込み縫合するという方法がとられていましたが、麻酔や切開 なしで胎盤を体内に入れる方法として開発されたのがプラセンタ注射です。

プラセンタの有効成分
医院で使用されるプラセンタ注射は、ヒト胎盤から抽出されたものです。そのため、本来は①各種のホルモン、②各種の成長因子(サ イトカイン:細胞が産生する蛋白で、それに対するレセプターを持つ細胞などに働き、免疫系の調節、炎症反応の惹起、抗腫瘍作用など以外にも細胞増殖、分 化、抑制といった生体の恒常性維持に重要な役割を果たす生理活性物質であることが明らかになってきています。インターフェロンなどもこれに属します)、③その他の蛋白質、④各種アミノ酸、⑤各種ビタミン、⑥各種ミネラル、 などなどの複合物です。製品化の際に、ホルモンはご存知のごとく微量で多大な影響を及ぼすこと、大きな分子量の蛋白質はアレルギーを起こす要因になりうる ことなどから除去されていますので、それら以外が主成分と考えられます。また加水分解されて抽出されていますので、各種成分は水溶性成分となります。

保険診療においても効能・効果として認められているものには、「肝機能障害の改善」「更年期障害ならびに乳汁分泌不全の改善」があげられます。肝機能障害 の改善には②の成長因子の仲間であるHGF(肝細胞増殖因子)などが作用し、更年期障害ならびに乳汁分泌不全には実際のホルモンは含まれていないもののエ ストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンバランスを整える作用によって効果を発揮しているものと考えられます。また、成長因子にはさまざまなものがあ り、EGF(表皮細胞増殖因子)、FGF(線維芽細胞増殖因子)などが肌に働きかけることによって美肌効果がもたらされるものと期待されます。
美白作用、保湿作用以外にも、
●組織代謝の促進作用、結合組織の新生作用、細胞活性の促進作用
●血行促進作用、活性酸素除去作用(抗酸化作用)、抗炎症作用
●免疫賦活作用、抗アレルギー作用
などなどプラセンタの魅力は本来が生体物質であるからこそ、多くの成分が含まれており、種々多様な作用を期待させることにあるのでしょう。


美容目的の使用:アンチ・エイジング
本来、生体内ではプラセンタ(胎盤)は胎児を育てる目的の臓器で、胎児と母体をつなぐものです。胎児は胎盤を通じて母体から栄養分をもらっていますが、胎 盤自体も胎児を成長させるホルモンや生理活性物質(サイトカイン、つまりインターフェロンの類ですね。)を沢山作っています。このような成分の一部がプラ センタ・エキスに残っており(水溶性の成分)、それらがプラセンタの有効成分なのです。胎児環境はとてもすぐれたもので、生後の皮膚は深く傷つくと傷跡が 残りますが、羊水・羊膜に接した胎児の皮膚では瘢痕(傷跡)を残さない(scarless wound healing)ことが知られていますし、皆さんご存知のように臍帯血には骨髄と同じ幹細胞が多く含まれることから移植にも用いられます。
さ て、身体の細胞達は年をとるにつれて不活性化して、働きが悪くなってゆきます。これらの働きが鈍った細胞達を、なんらかの手段で目覚めさせて働いてもらう (活を入れる)、これが内科的アンチ・エイジングの基本です。プラセンタ・エキスが身体に入って細胞に触れると、細胞は「もしかして自分はまだ胎児?」と 錯覚して、騙され目を覚まし、働き始めます。身体にある総ての細胞がプラセンタに騙される(=プラセンタで活性化される)のを期待するものです。

安全性:献血制限について(2006年夏以降)
製薬会社が提携している国内の産科病院に健康な妊婦さんを紹介してもらい、出産前に血液検査でチェックした上で、妊婦さんと出産後に胎盤をもらう契約を交 わします。そうして集められた胎盤からは、含まれているステロイド・ホルモン(副腎皮質ホルモン・女性ホルモン・黄体ホルモンなど)は、製品の製造工程で 取り除かれています。もし万が一、細菌はもとより、B型肝炎、C型肝炎、エイズなどのウイルス、狂牛病のプリオンが残っていたとしても、製造工程で130 度の高温処理で完全に滅菌されているので基本的には安心です。但し、念には念をとの考えから、2006年夏以降は献血制限が設けられました。BSEが問題 化した時に、イギリス滞在暦がある人に献血制限を出したのと同じ扱いだと考えられます。

注射法・料金など
当院では更年期障害の方には保険にてメルスモン注射の取り扱いを行っています。肝機能障害の方にはラエンネックが適応となっています。その他の目的での注射は自費診療となりますのでご了承ください。
注射方法は、主に皮下注射と筋肉注射です。注射間隔については、決められた方法はなく、最初は週に2日くらい注射を行い、1~2ヶ月後からは、自分に合っ たペースへ減らしてゆき、維持します。代謝されて無くなるものですから、一度にまとめ打ちをするよりも、回数を分けた方が効果的だと思います。

*  *  *

河合先生からプラセンタとヒト成長ホルモン(HGH)の関係についてあるお話を伺いました。以下に一部改変して引用します。

アメリカでは、アンチ・エイジングといえばHGHのことを言うほどHGHが流行りです。日本でもHGHを売り物にしている美容クリニックもあるようです が、とても高価で検査代などを入れる数百万円ほどかかるそうです。内服のサプリメントでは吸収されませんし、消化酵素などで分解されてしまいますので、 HGHは注射以外では体内に入らないと考えられます。プラセンタ・エキスを注射したら、もしかしたらHGHを注射したときと同じ効果があるのではないか? というのです。HGHを注射すると、たった20秒で血液から消えてしまうので測定することも容易ではなく、実際にどのように働いているのかは詳しく判っ ていません。
HGHそのものを測ることが難しいので、HGHのかわりに何か目安になる成分はないかと調べました。その結果、HGHが脳から分泌 されたり、注射で身体に入ると、少し時間をおいて身体が造り出すあるサイトカイン(成長因子:ホルモン様作用をする物質)が血液中に増えてくることが判り ました。それがIGF-1(インシュリンに似た成長因子の1)と呼ばれるもので、作用時間が長いのでHGHの作用の大部分は、実はIGF-1の働きではな いか? という説もあります。極論を言ってしまえば、HGHは、IGF-1を分泌させるための引き金の役割だけかもしれないのです。

さ て、このIGF-1は安定して血液中に存在しますから測定可能で、IGF-1の値が上がっていたらHGHが血液中にあった証拠とする、というように解釈さ れています。つまりHGHがあればIGF-1も増える、IGF-1が増えていればHGHが出ている、というわけです。
ここからが本題ですが、神 戸の美容外科の中井先生が、試しにある患者さんの了解を得てラエンネックを点滴したあと血中のIGF-1を測ってみたところ、なんとIGF-1が増えてい たとのこと。つまりラエンネック(メルスモンも可能性があります。)はHGHとしての働きもある!?可能性が考えられるのです。

*現時点ではHGHのアンチエイジング効果に対して肯定的・否定的なデータとも報告されています(筆者注釈)

参照:美容皮膚科診療:プラセンタ注射吉田クリニック:プラセンタ療法

2007年09月03日

シワ対策&化粧品成分について

シワ対策&化粧品成分について

シワやたるみなど皮膚の老化には、通常、「加齢に伴う老化」と「光老化」と呼ばれる紫外線によるダメージが加わったものがあります。光老化といえば、ある夜の席で先輩から聞いた印象的なエピソードを思い出します――「昔、とある先生が、当時の中国なら(化粧をしないので)化粧品による皮膚の障害がほとんどないのではないか? との仮説のもとに現地に赴いたところ、逆に化粧品による遮光をしないために光老化が顕著であることがわかった…」と。私たちが社会生活を送る上では、紫外線の影響なしには考えられません。今回は、皮膚の老化とシワの発生ならびに化粧品成分についてのお話です。

■乾燥ジワ
小ジワには「乾燥ジワ」といわれるものと、折れ癖の始まりとしての「表情ジワ」があります。
「乾燥ジワ」とは皮膚表面の角質の水分が欠乏して、角質の透明感が失われて白さが出現し、皮膚紋理がはっきりと目立ってしまう状態をいいます。たとえば“皮脂”という油の膜がなく角質が厚い「かかと」を見てください。白くはっきりした皮膚紋理は、水で濡らすだけで目立たなくなります。ティッシュペーパーを丸めると小さなシワがたくさんできますが、光と影の影響でそのときははっきり見えるシワも、水を垂らせば繊維が膨化し、空気が無くなり透明になってしまい、やがて目立たなくなります。
こうした現象は油の膜が少なく、その下に水分保持がままならない部分に出やすいといえます。顔でいうと“目元”は特に出やすいところです。しかも30代も半ばになると、女性は男性とは異なり皮脂の分泌量が著明に減少してきます(逆に男性は、皮脂の分泌量が多く、その下に水分が蓄えられるため、乾燥小ジワが少ないのです)。
また、年齢を重ねるにつれてターンオーバーが遅くなり、角質は厚くなる傾向になるため、皮膚はより水分を欲するようになります。こうした場合には水分だけではなくて、その上から油分を補うことが必要になります。皮膚表面の水分を保持する代表的な成分としては①皮脂膜、②NMF(天然保湿因子:各種アミノ酸、乳酸塩、ピロリドンカルボン酸など)、③細胞間脂質(セラミドが主成分)などがあげられます。皮脂のみならず、細胞間脂質という表皮細胞から分泌される脂や、天然保湿因子であるアミノ酸も年齢とともに減少しますので、こうしたものを化粧品で補っていく必要もあるのです。

■折れ癖の始まりジワ≒表情ジワ
これは先ずもって皮膚(表皮と真皮)が加齢とともに薄くなり、しかも紫外線などの影響によって真皮内線維(コラーゲン、エラスチン)が断裂や変性(生体内酵素で分解されにくくなってしまう)を起こすことが原因となり生じます。修復されても元の構築状態には戻らず、さらに紫外線などにより発生した活性酸素によって、コラーゲン線維がいたるところで架橋結合(クロスリンキング)してしまい、柔軟性が低下するのです。
たとえば日光に当たった輪ゴムが劣化し、簡単に切れてしまうことを想像してみて下さい。形は残っていても本来の性質が失われている状態が“変性”です。こうして皮膚の軟らかさが無くなり、硬くなる(皮膚を内部臓器に密着させる力が弱まる)ことが、シワの形成に重大な影響を与えるのです。たとえば、ティッシュを丸めたものと、硬いコピー用紙を丸めたものを用意し、伸ばしてみてください。コピー用紙は伸ばしても、きれいにシワは伸びてくれません。また、曲げ伸ばしを繰り返すと、同じ部位での折れ癖がつきやすくなるのもコピー用紙です。

しかも皮膚のみならず、皮下脂肪も痩せると外側にある皮膚が余ってしまい、シワの原因になります。たとえばゴム風船にパンパンに空気を入れて膨らませても、空気をぬけばゴムといえどもシワシワが目立ちますよね。これは皮膚組織(表皮+真皮)が薄くなり柔軟性が無くなるのに加えて、皮下組織(脂肪や筋肉)がやせてしまうと「タルミ」や刻まれた「シワ」になりやすいということを示しています。でも、しぼんでシワが出来た風船でも、空気を入れて膨らませればシワはなくなります。
こうしたことを考えますと、年齢と共に少しずつふくよかになること(痩せすぎない)ことも重要なポイントです。また、男性は一般的に女性に比べると紫外線による皮膚ダメージを受けやすい傾向にあり(防御を行わないため)、女性に比べると小ジワは少ないものの、深く刻まれたシワが出来やすいように思います。これは、皮膚自体は本来厚くて皮脂も十分で乾燥しにくいのですが、柔軟性が失われて折れ目がつきやすいためと思われます。

以上、「折れ癖の始まりジワ≒表情ジワ」に触れてみましたが、これらの予防には、何よりもまずは紫外線対策が重要です。同時に外用剤の治療法では、全般的に皮膚の厚みを出して、柔軟性を出す(硬くなるのを防止する)ような成分が有用となります。皮膚の厚みを出す成分の代表はレチノイン酸です。

■表情ジワ
「表情ジワ」と呼ばれるものとしては、眉間の縦ジワ、目じりの「カラスの足跡」などが代表的なものになります。皮膚の下の筋肉が収縮して表情を作る際に、皮膚に筋肉ほどの柔軟性がなければ皮膚は筋肉の縮みに追随し、たわみながら距離を縮めるようになり、これがシワとして認識されるわけです。こうした表情ジワと呼ばれる部位への医学的治療には、筋肉の動きを抑える“ボトックス”を用いると有効です。そして同じような効果を発揮する化粧品成分としては、アルジルリンがあります。

*  *  *
以上、各シワのメカニズムを述べてみましたが、ヒアルロン酸注入によるシワ治療はどうでしょう? 私見ですが、シワが生じる順序を考えると、後年になって目立ってきたシワから治療をしてゆくほうが違和感がありません。一般的には、シワの進行はまず上まぶたの張りが緩み始め、次いで目尻にカラスの足跡、前額に横ジワ、鼻根部の横ジワ、鼻唇溝、眉間に縦ジワ、口角から顎にかけてのシワ(マリオネットライン)、口まわりの縦ジワ…といった順序となります。

<“シワ対策&保湿”成分>
薬事法により「シワに有効」とは表記できないため、多くは「有効成分」あるいは「保湿成分」と記されます。抗酸化剤も有用ですが、後日サプリメントの項にまとめたいと思います。ヒアルロン酸、セラミドなどの保湿成分も別項で扱いたいと思います。

●アルジルリン
筋肉の収縮に関与する神経伝達物質の過剰放出を抑制し、アドレナリンを貯蔵している細胞の膜蛋白質を動かなくする作用があり、シワの改善成分として注目されています。神経伝達系に働きかけて、筋肉の緊張を和らげ表情ジワの形成を軽減する作用がボトックス(ボツリヌス菌毒素)に似ていることから、「塗るボトックス」とも呼ばれています。

●レチノール
レチナールやレチノイン酸とともにビタミンAの一種ですが、一般的にはレチノールをビタミンAと称します。ビタミンAは抗夜盲症因子として発見されたビタミンで、視覚・聴覚・生殖などの機能保持、成長促進、皮膚や粘膜の正常保持、制癌などの幅広い作用を有しておりますが、レチノールは角質層の保湿性を高めて柔軟性を皮膚に与える成分として化粧品に配合されています。また、コラーゲン合成を促進する物質でもあることから、シワ予防に用いられています。医療機関などで使用されるレチノイン酸もビタミンA(レチノール)の誘導体ですが、その生理活性はレチノールの約300倍と言われています。
レチノイン酸は表皮のターンオーバーを促進し、角質を剥がれやすくし、表皮を厚くします。また皮脂腺の分泌を抑制し、表皮に存在するメラニン色素の排出を促進します。また真皮内で線維芽細胞を刺激することにより、コラーゲン線維やムコ多糖を増やして真皮を厚くする作用があり、海外では広く臨床(ニキビ、乾癬、皮膚光老化治療など)に使用されています。しかし現時点では、本邦では未認可です。レチノールに比べると、刺激性が問題となるのです。またレチノイン酸内服薬による副作用としては催奇形性が知られていますが、外用での危険はないと考えられています。

●レチノイン酸トコフェリル
レチノイン酸(ビタミンA酸)とトコフェロール(ビタミンE:抗酸化作用)を結合させたビタミンA酸誘導体。日清製粉が新規合成した化合物で、当初は創傷治癒促進剤(“床ずれ”などの皮膚潰瘍治療薬:オルセノン軟膏)として製品化されました。その作用を応用して、近年では化粧品へも配合され、シワ予防・保湿に寄与します。

2006年12月10日

美白の化粧品成分

皮膚病AtoZ 「美白の化粧品成分」
美白の化粧品成分

「新成分○○配合」、「有効成分○○がシミを根本から解決」などのように、最近の化粧品や医薬部外品は俳優やモデルのイメージだけではなく、一部の成分を強調して宣伝されることも多くなったように思います。
今回は、シミが発生する原因、そしていくつかの美白成分についてのお話です。お話の前にまずは下に簡単に「シミができるメカニズム」を図版化しましたので、ご参照ください。

①紫外線を浴びると皮膚内ではメラノサイトが活性化して…
A.JPG

②メラノサイト内ではシミを作る準備が…
C.JPG
①紫外線を浴びると、角下細胞内にSCF(*)が出現。
②SCFがメラノサイトと結合すると、メラノサイトに「エンドセリンレセプタ」ーが増加する。
③紫外線により角化細胞に情報伝達物質「エンドセリン」が作られ、放出される。
④エンドセリンがメラノサイトのエンドセリンレセプターに結合し、「メラニン色素を作れ」の指令が伝達される。
⑤メラノサイトが活性化・増殖。
⑥チロシナーゼが活性化され、チロシンからメラニン色素生成が強まる。
⑦メラニン色素が周囲の角化細胞に渡される。
⑧角化細胞はターンオーバーに伴い、メラニン色素とともに皮膚外へ排出される。
*SCFとは、メラノサイトの増殖に必要不可欠な因子で、紫外線によっても角化細胞に発現が増強されることが報告されている。


30代から出現するシミとして、代表的なものに、①肝斑 ②老人性色素斑 ③炎症後色素沈着 があります。
「肝 斑」は下眼瞼から頬にかけてできる地図状の褐色斑で、妊娠、ピル内服、紫外線、こするなどの刺激に伴って悪化します。皮膚が紫外線などによって炎症が引き 起こされると、一時的に“SCF”やそのほか炎症症状を引き起こす原因因子である“炎症性サイトカイン”などによってメラノサイトのメラニン色素生成が高 まり、しばらく持続します(これが炎症後色素沈着です)。
本来はこれらの状態は時間とともに落ち着いていきますが、度重なる紫外線によるDNA のダメージを次第に修復出来なくなって、局所のメラノサイトが持続的にメラニン色素を作り続けると、“老人性色素斑”あるいは“日光黒子(solar lentigo)”になります。もっとダメージが進行すると、“日光角化症”という前癌状態となります。最近では、紫外線によって表皮に蓄積した“プレ” メラニンが、メラニンへ変化することも報告されています(メラノサイトの外でもメラニン色素が作られるのです)。これらの対策法を考えると、以下などがあ ります。
①ケラチノサイトを刺激してメラニン生成を始めさせるシグナルであるエンドセリンなどを、メラノサイトへ行く手前でブロック。
②メラノサイト内でのメラニン色素生成を阻害(抑制)させる(チロシナーゼを抑える)。
③メラノサイトからケラチノサイトへのメラニン色素の橋渡しを阻害する。
④ケラチノサイト内に蓄えられたメラニン色素の排泄を促進させる(ターンオーバーを早める)。
⑤メラニン色素を還元して黒さを軽減させる。

そして、エンドセリンの作用を抑えるものとして“カミツレエキス”、チロシナーゼを阻害するものとして“ハイドロキノン”(チロシナーゼ自体の生成も一部 抑制するのが“マグノリグナン”)、ターンオーバーを早めるものとして“レチノイン酸”などがあります。その他にビタミンC、トラネキサム酸、ケミカル ピーリング剤(AHA、BHA)、プラセンタ、ルシノール、アルブチンなども有用です。
シミの一種である「炎症後色素沈着」の場合では、炎症が生じたその時点で症状を抑えてしまうことが重要ですが、その後早期に上記のような各美白剤を使用してもらいます。

なお、レーザーによるシミ治療は、シミ患部の狂ってしまったメラノサイトを、周りの皮膚へのダメージを最小限に抑えて“やけど(光による熱発生)”を生じ させることにより、リセットしようというものです。治療後は、遮光とともに各種美白剤をアフターケアとして使用し、炎症後色素沈着を最小限に抑えることが 大切です。

以上、シミの原因およびシミに有効な美白化粧品の成分について述べてきましたが、シミは濃くなれば医学的治療を要することが多いといえます。このため、本来は子どもの頃から「紫外線防御」を意識し、美白化粧品はシミが発生する初期の段階(つまり、目では確認できないような10代、20代前半)から使用することが効果的だと思います。そして化粧品だけでなく、ビタミンC・E、アスタキサンチン、CoQ10などの抗酸化剤サプリメントの併用も大切です。

代表的な美白成分
◆m-トラネキサム酸
従 来より皮膚科においては、肝斑に対する内服薬あるいは院内製剤外用薬として使用してきました。このトラネキサム酸配合商品を皮膚に塗った際の美白効果を確 認し、資生堂が医薬部外品有効成分として新たに開発。 m-トラネキサム酸は炎症性プロテアーゼを抑制する作用があるので、刺激によりメラノサイトが活性化するのを根本から抑え、シミの悪化を防ぐと考えられて います。
◆カモミラET
カミツレの花から抽出。カミツレの花には精油(カマズレン、アズレン、ビサボロール)や発汗作用を 有する成分を含み、保湿剤や血行促進入浴剤としても使用されてきました。メラノサイトの活性化を抑制するだけでなく、メラノサイト増殖を抑える働きや、表 皮細胞からメラノサイトに「色素を作れ」との情報を伝達するエンドセリンが放出されるのを抑制します。
◆ビタミンC誘導体
ビ タミンCは酸化されやすく不安定なことから、“誘導体”とすることで酸化されにくく、皮膚への吸収を高めることができます。「リン酸アスコルビン酸マグネ シウム」「リン酸アスコルビン酸ナトリウム」「テトライソパルミチン酸アスコルビル(脂溶性)」など様々開発されています。いずれもビタミンC誘導体の魅 力は刺激性の少なさ、抗酸化力、コラーゲン産生に寄与するなど多彩であり、臨床でも“刺激の少ない美白剤”“炎症性赤ニキビのあとの赤みを減らす”“皮脂 抑制と抗酸化作用によってニキビを予防する”などの効果が報告されています。
◆ハイドロキノン
世界的にも代表的な美白剤。日本では2001年の規制緩和とともに化粧品にも配合されるようになりました。私たちが行なった試験「化粧品へ求められる9項目」においても充分な安全性が認められました(西日本皮膚68巻2号 p185-194:http://www.jstage.jst.go.jp/article/nishinihonhifu/68/2/185/_pdf/-char/ja/)。 刺激性の観点からは、4~5%程度の濃度での使用であれば特に問題はないかと考えます。最近では、欠点である光や熱に対する不安定さを錯体にすることに よって改善し、酸化に伴う製品の褐変化を低減させた製品も上梓されてきています。この場合、錯体である分だけ高濃度を要します。ハイドロキノン・モノベン ジルエーテル(MBEH)は不可逆性の脱色をもたらしますので、シミ治療には使用されません。
◆アルブチン
コケモモに含ま れることが知られる成分で、メラニン生成に不可欠な酵素であるチロシナーゼの働きを阻害する、つまり、過剰なメラニンの生成を抑えてシミになることを防ぐ 効果があります。ハイドロキノンにブドウ糖を1個結合させたハイドロキノン誘導体であり、最近では従来のβ-アルブチン(資生堂)とはブドウ糖の結合様式 が異なるα-アルブチンが江崎グリコで開発され、よりヒトのチロシナーゼを選択的に、かつ10倍も強力に阻害する成分として注目されています。
◆ルシノール
ポーラが開発したフェノール性水酸基を2個有するレゾルシン誘導体。ルシノールがチロシンの代わりに酸化酵素であるチロシナーゼと結合することにより、本来チロシンがチロシナーゼと結合してメラニンを生成することを抑え、美白効果を発揮します。
◆甘草エキス
グリチルリチンやグラブリジンなどを含み、グリチルリチンには抗アレルギー作用や抗炎症作用があります。また、グラブリジンにはメラニン生成抑制作用(美白)があるほか、活性酸素除去・抗酸化作用、ヒアルロン酸活性作用などがあります。

2006年12月09日

毛穴について

皮膚病AtoZ 46号「毛穴について」
毛穴について

いつの頃から毛穴が現在のように美肌情報の中心項目に加えられたのかは定かではありませんが、毛穴テーマは最近どの雑誌の美容特集を見ても取り上げられていますし、各化粧品メーカーも毛穴対策をうたった商品を販売しています。
毛穴が気になる部位は、毛穴の中でも毛はしっかりしていないのに、付着する皮脂腺が非常に発達している「脂腺性毛包」が主です。毛穴の悩みを分類すると、
①皮脂毛穴(皮脂が詰まって毛穴が広がる、あるいは面疱自体が目立つ白ニキビ、皮脂が酸化されて黒くなった黒ニキビなど)
②メラニン毛穴(毛穴の皮膚成分にメラニン色素が多くて目立つ)
③たるみ毛穴(加齢とともに皮膚がたるんで毛穴が広がる)
④角質肥厚毛穴(頬の外側や二の腕の外側がザラザラする状態で、毛孔性苔癬と呼ばれる)
になります。

(↓画像は現在、工事中です)
下記模式図は花王の化粧品パンフレットより一部転用いたしました。
図1.メラニン毛穴
図2.皮脂毛穴
図3.たるみ毛穴
図4.たるみ毛穴治療アプローチ
図5.指で押し下げると毛穴が斜めに拡大
図6.引き上げると毛穴は小さく見える
図7.二の腕の外側
図8.頬の外側

毛穴が気になる部位は顔、上背部などに限局されます。また顔の中でも鼻、頬など「ニキビ」がよく出現する部位に限定されています。すなわち毛穴の中でも特 に毛穴が目立つのは、毛はしっかりしていないのに付着する皮脂腺が非常に発達している「脂腺性毛包」がある部位なのです。同じ顔でも下眼瞼などでは毛穴を 気にする人もニキビで悩む人もいません。こうしたことから、毛穴拡大には皮脂あるいは皮脂腺が非常に重要な役割をしていることがわかります。
一般的な毛穴の悩みとしては上記のように①皮脂毛穴、②メラニン毛穴、③たるみ毛穴 ④角質肥厚毛穴 が挙げられます。

●皮脂毛穴
「皮脂毛穴」というのは皮脂が毛穴につまって押し広げている、あるいは皮脂が酸化されて黒ずんで目立ってしまうもので、思春期を中心に皮脂が多くてニキビ で悩む方の眉間や鼻によく見られます。皮脂のつまりを取る(ピーリング)、皮脂を抑制する(ビタミンC、ピル、スピロノラクトンなど)、皮脂腺を破壊する (一時的だがPDT、長期的には電気焼灼)などが改善法として考えられます。

●メラニン毛穴
「メラニン毛穴」とは何らかの理由(ニキビを繰り返したなど)で毛包上皮に沿って毛穴深くまでメラニン色素が増加したために毛穴周囲も含めて灰色に見えて 目立つもの。これらの治療には美白剤の使用、ピーリング、イオン導入などや、カーボンを詰め込んだレーザー照射(これはやけどで軽い傷を皮膚に作り、修復 過程<創傷治癒過程>の収縮作用を利用したもの、一時的ではあるがどの毛穴にも適応)などが行なわれます。

●たるみ毛穴
「た るみ毛穴」は主に頬に見られる斜めに広がって見える毛穴の拡大をさします。重力に従って皮膚が垂れて生じているので、ひっぱり上げれば小さく見えます。紫 外線や様々な酸化ストレスによって皮膚の弾性が失われ、加齢とともに皮膚が薄くなってしまうので垂れます。これは皮膚の厚みが少ない人により顕著に認めら れます(同年代の男女を比較すると、明らかに男性に少ない。元来、男性の方が女性よりも皮膚が厚い。また脂漏肌の人の方が皮膚が厚いので、少ない)。これ に対する最終手段はフェイスリフトです。その他の治療では皮膚の厚みを出す施術や成分も有用です。アブレージョン(傷を作って皮膚に硬さを出す)、TCA ピーリングも同様です。皮膚に硬さがあるからこそ垂れにくいという訳です。かさぶたを作らないものとしては表皮や真皮成分を増加させるレチノイン酸を始 め、マイルドではありますがグリコール酸、レチノールなども使用されます。

●角質肥厚毛穴
「角質肥厚毛穴」は鼻などでは皮脂毛穴と重複することも多いのですが、それ以外にも毛穴の出口の皮膚が著明に角化してしまい、触るとザラザラする「毛孔性 苔癬」という症状を合併している方もおられます(上腕外側にブツブツが目立つ人がいますね。それが頬外側の耳下腺あるいはこう筋あたりに出現する人もいま す)。角質が厚くなれば、より毛穴が深く見えるということ、毛孔性苔癬ではそれが顕著で周囲の皮膚面よりも明らかに飛び出してしまうので、ザラザラを通り 越してブツブツと感じてしまいますし、光の関係でカゲができて目立ってしまいます。前者の症状ではピーリング作用があるものを使用します。後者でも同様で すが、外用治療中はザラザラ感が緩和されるのですが、完全には消えないで当初の赤みから茶色い色素沈着へと年齢と共に変化してゆきます。サプリメントは強 いていえば美白効果があるもの、抗酸化作用、皮膚のターンオーバーを整える(ビタミンB2、B6など)でしょうか? 最後に、鼻は元々皮脂腺がとても発達 しており、皮膚(皮膚+その下の軟部組織)が厚いのでより目立ちやすい部位です。

以上、毛穴の悩みを見てきましたが……ということは、毛穴を目立たせなくするうえで、ダウンタイムがなくて有用な方法としては、
「毛穴をクリアにして、角質を薄くし、皮膚(表皮と真皮)の厚みを出し、皮膚の活性化を図る:ケミカルピーリング、レチノイン酸、レーザーなど光治療の併用」
ということになりそうです。
また、毛穴の目立ちをメイクでカモフラージュする方法もあるようです。

ヘア&メイクの油川ヨウコさんがすすめる
「毛穴を目立たせないメイク法」

※『レタスクラブ』(12月10日号)「大人メイクの小箱」より一部抜粋)
「最近は、毛穴の凹凸を平らにするシリコン入りの下地やファンデなど、優秀なアイテムが充実していますが、おすすめしたいのが“スティックコンシーラー”。スティックタイプは肌との密着度が高く、“持ち”もいいし、カバー力が抜群にあります」

(使うときのポイントについて)
「基本は、指で“薄く”塗ること。たくさん塗ると、時間がたつにつれて毛穴の中に入り込んでしまい、皮脂浮きして逆に目立ってしまう。そして、毛穴の凹凸の度合いによっても塗り方を変える。また、コンシーラーの色はファンデと同じくらいのものを選ぶ」

(メイク法)
①手の甲につけたコンシーラーを指に薄めにとる
(コンシーラーを使う順番は、パウダリーファンデを使っている人は下地のあとに、リキッドを使っている人はリキッドのあとに)
②毛穴が少ない部分は、なでるように塗る
(小鼻の周囲など、気になる部分を中心に上から下へ指でやさしくなでるように)
③毛穴が目立つ部分は、指を軽く回転させて 特に深い部分は、指で毛穴の周りをトントンと軽くたたくように回転させながら、塗る
④黒ずんでいる場合はコントロールカラーを塗る
(黒ずみが目立つ場合は、コンシーラーよりも黄色やパールピンクのコントロールカラーで小鼻周辺を薄くカバーし、ファンデをのせる)
*下地は、ファンデーションの肌への密着度を高めるだけでなく、肌をフラットにさせる効果も兼ね備えているため、使用したほうがファンデを使う量も減るし、肌がよりナチュラルに演出できるそうです。

2006年12月08日

最新光治療IPLの特徴

皮膚病AtoZ 「最新光治療IPL<iPulse>の特徴」
新世代光治療IPL<Intense Pulsed Light>

IPLはフォトフェイシャルに代表される肌に優しくマイルドな光治療です。iPulseは従来の光治療と比べても照射口の面積が広いので、シミ・ソバカス や毛細血管拡張症(赤ら顔)などの症状を、はるか短時間で肌に過剰なダメージを与えずに治療できるのが特徴です。広範囲の脱毛もスピーディーで安全に行な えます。
また肌への負担が少ない治療のため、ダウンタイム(回復に要する時間)が少なく、施術後はすぐにお化粧ができます。照射後、個人差で少し赤みが出る人もいますが、お化粧には特に支障はございません。

またIPL施術後は、肌が敏感になっているので入念な紫外線対策をお願いしております。特にシミ治療を行なった後は、シミの再発を防止する意味でもしっかりとした日焼け止めクリームでのお手入れが必要になります。

【IPLとレーザーの違い】

レーザーは少ない回数の照射で即効性があるものの、薄いシミやシミが多発している部位への治療は不得意です。炎症後の色素沈着や、患部のテープ保護等が問題となるからです(大体1週間から10日ほどテープ保護をお願いしております)。

一方、IPL(iPulse)では顔全体など広範囲の治療が可能です。治療後は数日で薄いカサブタができ、自然にポロポロと剥がれていきます。治療後のお手入れは外用剤(*)のみです。その代わり、治療を3~4週間毎に5~6回繰り返す必要があります。

(*)ヒアルロン酸+ビタミンCローション  30ml  ¥1.050
美白剤(レチノイン酸+ハイドロキノン)  5g ¥3.150
〃                10g ¥5.250
で販売しております。

【IPL<iPulse>の流れ】フォトフェイシャル編

①まずは診断
診断後、同意書にサインをいただいております。メイクを落としていただき施術台へ。照射前には皮膚を保護するジェルを塗ります。

②顔全体に照射
光によりお肌の線維芽細胞を刺激しコラーゲンを増やすので、顔全体に照射する事で1回の照射でも肌のハリが蘇ります。痛みは、個人差はありますが光が照射される瞬間に軽くゴムではじいた程度です。ご安心ください。

③シミなどの患部に照射
IPLは色に反応するので、シミや黒い毛等色素がある部分に光が当たるとパチパチッっと音がします。痛みには個人差がありますが、光が照射される瞬間に軽くゴムではじいた程度です。ご安心ください。

④沈静+お化粧直し
照射後、タオルでしっかりと冷やします。その後すぐにお化粧をして出掛けられるのもIPLの特徴です。まずは、翌朝の化粧のノリが違う事を実感して下さい!

⑤アフターケア
治療後、1週間はヒアルロン酸+ビタミンCローションで保護するだけです。7~10日後、経過を診ますのでご来院いただいております。その後の2~3週間はシミ治療ではレチノイン酸+ハイドロキノンの美白剤を使用し、次回の照射を・・・。

2006年05月13日

最新美肌レーザーキュリアの特長

皮膚病AtoZ 「最新美肌レーザーキュリアの特長」

最新美肌レーザーキュリアの特長

コスメティックレーザーシステムCuria (キュリア)

【キュリアの特徴】
Curia(キュリア)は、 (株)ニデックが日本人の肌質に合わせて開発した、810nmロングパルス・美肌ダイオードーレーザーです。従来のレーザーに比べ、安全性が高く、肌の負 担も少なく、多彩な効果を発揮します。皮膚表面を確実に冷却して保護し、810nmの光が真皮層へ届き、ロングパルスゆえにジワジワと周囲に熱が広がり、 その作用で浮腫が起こり結果的に皮膚にハリができるため、繰り返すことにより熱と光の刺激が線維芽細胞のコラーゲン産生(真皮層の破壊と再構築)を活性化 させて浅いシワや毛穴の開きを改善させていき持続的なハリをもたらします。メラニン色素にも吸収されるため、徐々に肌のくすみやシミ、黒子も薄くなってい きます。もちろん脱毛にも使用でき、また、毛穴でのアクネ菌を減らし、鎮静効果から赤ニキビを早く取り去り、真皮層に働きかけるためニキビ痕にも有効で す。

【ノーダウンタイム】
皮膚をスキャニングデバイスにて冷却して保護しながらの照射となりますので、肌への負担も最小限に抑えられます。ダウンタイムがなく、やけどなどのトラブルの心配もなく、施術後にテープやガーゼを貼り付ける必要がないので、すぐにお化粧をして帰宅することが出来ます。

【どのような人に最適か?】
施 術直後には多少の赤味が出来ることもありますが、数時間から3日で徐々になくなります。基本的に「かさぶた」を出来るだけ作らない治療ですので、効果が実 感できるまでには多少時間がかかります。5~6回を目安としてください・そのため、最小限のリスクで徐々に治療を行っていきたいと考える方に向いていま す。より効果を高めるためには、他のダウンタイムの少ない治療(例えば、ケミカルピーリング、イオン導入、ボトックス注射、ヒアルロン酸注入、ハイドロキ ノンやレチノイン酸の外用など)と組み合わせるとよいでしょう。

【くすみ・浅いシワ・ハリ・キメ】
メ ラニン色素+ヘモグロビンへの吸収ならびに深く到着して、高い熱量が真皮内へ広がることにより、いわゆるスキンリジュビネーション(Skin  Rejuvenation:皮膚の若返り)に効果的です。40~120J/c㎡、30Wまでフルフェンスを上げていき、軽度の痛みを感じる出力で開始して いきます。あるいは30J/c㎡、35Wで3回繰り返し照射(シミ部分は1回)で、いずれも2~4週間ごとに、5回を1セットで行います。より効果を高め るためには、日々レチノイン酸とハイドロキノンを外用し、施術の際にケミカルピーリングとイオン導入を組み合わせます。深いシワやへこみにはヒアルロン酸 の注入を併用したり、表情ジワ(目尻など)ではボトックス注射を併用していきます。目元ではクールグライドというロングパルスYAGレーザー (1,064nm:10~14J/c㎡、5mmスポット、0.3ms、1cm離して片側で約100発)併用してより深部へも熱を与えます。

【赤ニキビ・ニキビ痕の赤味】
毛 穴でのアクネ菌を減らし、熱で血流増加して代謝が亢進することによる鎮静・組織修復効果にて赤ニキビをより早く消退させます。膿疱部分は針や炭酸ガスレー ザーにて排膿・圧出後に行います。従来の抗生物質やレチノイン酸外用を併用します。また、ケミカルピーリングにて面疱をできにくくしていくとより効果的で す。1~2週間で繰り返していきますが、早い方では2~3回目から効果が出現します。60W、70~100J/c㎡で丘疹部分のスポット照射、あるいは 60W、40~100J/c㎡で全体照射を行います。大き目の赤ニキビでは多少痛みが強くでます。

①顔面全体 グリコール酸ピーリング⇒キュリア⇒イオン導入 ¥21,000/ 回
グリコール酸ローションで拭き取り⇒キュリア ¥15,750/ 回
②目   元 グリコール酸ピーリング⇒キュリア⇒イオン導入 ¥12,600/ 回
グリコール酸ローションで拭き取り⇒キュリア ¥ 5,250/ 回

【毛穴・脂性肌】
ピーリング剤などによって毛穴の皮脂を充分に除去したあとに、カーボンジェルを顔面に塗布し、Q-YAGレーザーを照射いたします(3回の繰り返し照射)。1回目で皮膚表面、2回目以降で毛穴に残ったカーボンに反応させます。その後キュリアを照射し、クーリングします。
① 1 部 位 (鼻、片頬、前額など) : ¥15,000/回

【黒子・ホクロ】
わ ざとクーリングをしないで、表皮へ熱が広がることを利用して治療するものです。表皮が軽く黒色から灰色に変色するように同一部位を繰り返し照射します。数 日後に軽い痂皮(かさぶた)ができますので、自然に脱落するまでは強くこすったりしないように注意してください。黒くなり盛り上がったホクロは炭酸ガス レーザーや切除による治療となります。深い部位まで色素があるタイプでは複数回に治療が必要となります。盛り上がりの少ない黒いホクロが適応となります。
① 黒  子(lentigo) : ¥2,000/個

【脱   毛】
当 院では以前から行っているルミナス社のライトシェアと同様ですが、照射後の痛みの感じ方が異なります。ライトシェアでは「ズシン」あるいは「バチン」と いった痛みですが、キュリアでは「チクッ」とした痛みを感じられる方が多いようです。料金もライトシェアと同一です。キュリアではより高い出力を出すこと が可能です。別紙にてレーザー脱毛料金表がございますので、ご参照ください。
① 両 ワ キ : ¥8,000/回

2006年04月15日

多汗症のボトックス治療について

皮膚病AtoZ 「多汗症のボトックス治療について」

1. 治療は体への侵襲が少ないものから順次試してゆきましょう。効果が高いものは当然ながらリスクも高くなるからです。
ど の世界でもそうですが,一般的に「ハイリスク・ハイリターン」,「ローリスク・ローリターン」は多汗症治療にも当てはまります。傷跡が残らないなど,リス クが少ないもの(外用剤やイオントフォレーシスなど)は効果が弱い場合や効果持続時間が短いために頻回に使用しなければならないなどの制約があったりしま す。しかし,効果が一過性であるということは,もし副作用が生じても,その作用の一過性である場合がほとんどですので,より安全性が高いともいえます。外 科的治療は効果持続期間が長い(ほぼ永久的:最初に比べると多少の効果減弱がある(汗腺の再生のため))のが利点ですが,幾ばくかの傷が残ること,治療に よるダウンタイムなどが欠点となってしまいます。ボトックスを始めとするボツリヌス菌毒素製剤による治療はこれら従来の保存的治療と外科的治療の中間的な 位置付けとなります。あくまでも効果は一過性ですが,従来の保存的治療に比べると長時間効果が持続(約1シーズン)します。治療に伴うダウンタイムはほと んどなく,その日から入浴も可能ですし、ガーゼ保護も不要です。

2. ボトックスとは
ボツリヌス菌毒素製剤の代表的なもの で,アラガン社の製品です。その他にイプセン社のディスポートがあります。神経終末からのアセチルコリンの放出を抑制することによって効果を発揮します。 エクリン汗腺は交感神経に支配されており,アセチルコリンによって伝達されています。顔面での表情ジワ治療に伴い,注入部位での発汗が抑制されていたこと から,多汗症の治療に用いられるようになってきました。治療にはA型ボツリヌス菌毒素製剤を使用しますが,ごく微量の毒素の局所注射ですので身体には無害 です。ボツリヌス毒素の人体に対する致死量は筋肉注射の場合,3000〜30000単位とされており,個人差はあるものの多汗症での使用量はディスポート で片側腋窩:50~75単位,片側手掌:100~150単位と少量なので安全です。注射後2~3日後から1週間位の時間をかけて効果が現れ,その効果は約 3~6ヶ月の間持続します。



3. ワキでの治療順序
① カウンセリング → ②同意書 → ③発汗テスト → ④必要に応じて表面麻酔テープ(効果発現までに30分以上かかります) → ⑤発汗テストを参考に,ボツリヌス菌毒素を片側で約40箇所に注入します。 → ⑥止血を確認して終了です。

Q1. ボトックス®などのボツリヌス菌製剤による多汗症での効果はどれくらい持続しますか?また臭いにも有効なのでしょうか?

A1. 平均すると約ワンシーズンです。多くの方は発汗量が多く、薄着になり汗ジミが気になる夏の間をボトックスで対処し、自然と発汗量も低下する冬などには市販 品か医療機関から出される塩化アルミニウム溶液ですませているようです。中には、1年中ボトックス®の効果を持続させるべく、年に複数回(ほとんどは2 回)施術される方もおられます。また、ボツリヌス菌毒素製剤の基本はエクリン汗腺からの発汗を抑制し、その結果として腋窩で水分が少ないために細菌の繁殖 が妨げられて臭いが少しは軽減するものと考えます。腋窩の発汗量ではなくて、臭いの軽減を主目的に施術することはありません。あくまでも補助的効果との認 識しています。

2005年12月15日

ホクロの種類とその治療法

皮膚病AtoZ 「ホクロの種類とその治療法」
ホクロとは:黒子、色素細胞母斑(母斑細胞性母斑)、青色母斑など
ホ クロとは「皮膚の表面にある、黒い小さな点」(新明解国語辞典)と説明されていますが、一般的には上記の小さなタイプを指していることが多いようです。黒 子とは、直径数mmまでの隆起しない褐~黒褐色の色素斑で、表皮内でメラノサイトとメラニン色素が軽度増加した単純黒子と老人性色素斑のごく初期の小さな ものを指します。
色素性母斑にも様々なタイプがありますが、メラノサイト(色素を作る細胞)とシュワン(神経)細胞の中間的な性格を持った特殊な 細胞を母斑細胞と称し、これらの細胞が一箇所に寄り集まった集団を母斑細胞性母斑と呼んでいます。胎生期に神経櫛からメラノサイトやシュワン細胞が発生し てくる過程で、正規のコースから外れて別の方向へ向かって発育を始めた「はずれ細胞」の集まりで、皮膚の過誤腫(特定の器官を形成することが出来なかった 組織の限局性の形成異常)とも考えられます。
これらの細胞の中にメラニン色素が含まれているので、その色素量に応じて外表からみると黒くあるいは 褐色調に見えるのです。また母斑細胞が存在する部位によって境界母斑、複合母斑、真皮内母斑に分類されます。生下時あるいは小児期から成人期に始まって徐 々に拡大し、成人に達すると隆起し始め、老年に達すると大きくなり、色調はかえって淡くなり淡い褐色から皮膚色へと変化してゆきます。組織学的にもメラニ ン色素の量は下に行く(深くなる)につれて少なくなります。青色母斑は真皮内に青色母斑細胞が多数集まり、その細胞内にメラニン色素が大量に含まれている ために皮膚表面からみると青く透けて見えているのです。皮膚表面から盛り上がって、深い青色を呈しているタイプではメラニン色素に反応させるタイプのレー ザー単独での治療は困難です。

大きくなるホクロはガンですか?
このような心配をされて来院される方の多くは通常の ホクロ(色素細胞母斑)か脂漏性角化症です。時に皮膚ガンである基底細胞癌や悪性黒色腫(メラノーマ)が見られます。通常のホクロ(色素細胞母斑)は急に 大きさを増すことはありませんし、色が均一で黒~褐色、形も円形に近いことが多いです。年齢が上がるに従い、色は淡くなり周りの皮膚の色に近づいてきます し、盛り上がってきます。但し表面はなだらかです。脂漏性角化症は中年以降に生じやすいイボで顔や頭などに多発することがありますが、表面がざらざらし、 周りの皮膚との境目がはっきりしています。これら2疾患は良性ですので、整容的に気にならなければ切除する必要はありません。基底細胞癌は50歳以降の方 の顔や頭などに灰~黒色のホクロ様の出来物で、表面に少し光沢(つるっとしていて透明感がある)があり、よく小さな血管が浮き出ているのを同時に認めるこ とがあります。徐々に大きくなり、表面がくずれて出血したりするようになることもあります。転移はしませんが、どんどん皮膚の下へ向かって深く拡がってゆ きますので、早めに全摘出する必要があります。悪性黒色腫は放っておくと(基底層を超えて下に侵入すると)転移しやすい悪性度の高い腫瘍です。目安とし て、形が非対称で不規則(類円形でない)、色ムラ(濃淡差)が目立つ、大きさが7mm超、などといった特徴があります。適切な施設での評価と切除が必要で す。

盛り上がっていない小さなホクロの治療法
レーザー治療:多くは黒子(こくし)(lentigo)か境界母斑 で、病変が盛り上がっているホクロよりも浅いところに限局していますので、レーザーで比較的簡単に治療できます。病変に数発照射するだけです。軽いやけど をおこさせて病変を脱落させます。黒い毛が接してあると毛にも反応してしまいますので、同部の剃毛や抜毛を行います。黒子の色が濃いほど痛みが強くなりま すが、瞬間的な痛みであるため表面麻酔も不要である方がほとんどです。深いタイプ(境界母斑)や色素が多くて色が大変濃いタイプでは1ヶ月あけての複数回 の処置が必要になる場合があります。施術後はステロイド含有軟膏を塗って肌色テープで覆うだけです。

盛り上がったホクロの治療法
① 切除・縫縮法、くりぬき法: 局所麻酔後にメスやトレパンなどを用いて脂肪が露出する深さで切り取ります。縫縮する方法では一般的にホクロを含めて紡錐形にデザインして縫い合わせ、ホ クロの直径より約2.5倍の直線の傷になるようにします。抜糸が必要です(顔面:5~7日後、その他:7~10日後)。くりぬき法ではホクロより一回り大 きくホクロの形に合わせて円形でくりぬき、止血して軟膏で傷を保護して終了です。大きめのものでは傷を少なく、治癒を早めるために一部縫合を併用する場合 があります。軽度の陥凹や施術部が傷として光沢を持った皮膚となる場合がありますので、大きさ的に6mmくらいまでのホクロを対象にします。いずれにせ よ、治療が一度で終了する可能性が高いのが利点となる方法です。
② サージトロン、炭酸ガスレーザー:電気(高周波メス)やレー ザーを用いるのは皮膚表面から浅く削り取る治療を繰り返すことによって、最終的に少しでも傷跡を少なく治療しようというものです。1回1回の皮膚表面から の傷は浅いので、くりぬき法などに比べると早くきれいに治ります。しかし、皮膚の深い部位までホクロの細胞が入り込んでいるタイプでは1回では取りきれな いので、複数回の施術が必要になります。繰り返す際にも傷が落ち着くまでの数ヶ月(赤みが消えるのを目安:3~6ヶ月)待って、次の施術を行います。
傷痕がすこしでも少なくなるのが利点ですが、トータルの治療回数として複数回要するというのが欠点となります。

Q and A 3)ホクロ

2005年11月15日

シミのレーザー治療

皮膚病AtoZ 「シミのレーザー治療-Q switched Nd-YAG Laser」
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当院では、色素性疾患の治療にQスイッチの付いたNd-YAGレーザーを使用しております。

主な対象疾患は
・老 人 性 色 素 斑 (シミ)、雀  卵  斑 (ソバカス)
・刺    青
・大  田  母  斑
・ア ー ト メ イ ク
・異 所 性 蒙 古 斑
・外 傷 性 刺 青
・扁  平  母  斑



レーザー治療の原理
特定の色素が存在する部位にその色素に吸収されるレーザー光を照射した場合、レーザー光が色素に吸収されます。そして、光エネルギーが熱エネルギーに変換され、その色素が熱せられ、やがて熱せられた色素から周りの組織に熱が拡散し、熱障害(軽度の火傷)をおこします。それが表面のかさぶたとなって脱落します。
※一部の光は衝撃波となり、対象物を細かく粉砕し、体の中の掃除をするマクロファージが食べて処理をすることによって色素が徐々に薄くなっていきます。従って、真皮内にあるものは治療回数として複数回かかってしまいます。

治療経過
照射直後に表面に軽度の火傷(レーザー照射当日)

・照射後1週間は傷を保護するために、照射部位に軟膏とテープを使用していただきますが、テープの上からのお化粧は可能です。

薄くて濃いかさぶた(照射後2~3日)

かさぶた脱落(照射後7日)
・上皮化後最低3ヶ月は炎症後色素沈着を少なくするために美白剤と日焼け止めクリームは必ずご使用下さい。

色素沈着が一番強い時期(照射後1ヶ月)

・美白剤:ハイドロキノとレチノイン酸を使用します(別途料金が必要です)
徐々に色素沈着が薄くなる(照射後1~3ヶ月)


診察から治療までの手順
カウンセリング⇒同意書⇒洗顔⇒写真撮影⇒表面麻酔(約30分~1時間)⇒レーザー照射⇒患部の冷却

⇒外用剤とテープで患部を保護⇒1週間後に再来

※表面麻酔:全く無痛ではありませんので、痛みに弱い方や痛みを強く感じる部位では麻酔を要します。
また、「まぶた」などでは注射にて麻酔を行う場合もあります。


A メラニン系疾患
①老人性色素斑(シミ)、雀卵斑(ソバカス)

これらは老化や紫外線による表皮のみのメラニン色素の沈着です。顔や肩、前胸部から手背部などの露出部に好発します。

②太田母斑
これは生まれつき、または思春期頃(遅い方では30歳過ぎから)に現れる黒~紺、茶褐色のアザで皮膚の真皮にメラノサイトがあり、その中にたくさんのメラニン色素が含まれている状態で、深い位置にあると青っぽく、浅い位置にあると茶色っぽく見えます。
③異所性蒙古斑
生まれつき臀部にある青いアザが蒙古斑ですが、この蒙古斑が臀部ではなく背部や胸部に見られるものを異所性蒙古斑と呼びます。成人にもなって消えないで残っているものに対しては、太田母斑と同様にQスイッチの付いたNb‐YAGレーザーで治療を行います。
④扁平母斑
生まれつき、または思春期から現れてくる茶色いアザで、状態は表皮にメラニン色素が沈着しているもので、シミやソバカスと同じものですが、このアザは再発の可能性があります。治療前よりも悪化してしまうことはまずありませんが、治療する前から100%治るとは断言できません。一度に全部を治療するのではなくアザの一部分に試しにレーザーを照射してみて、その結果を確認してから全体的な治療を行う方が安心です。
⑤肝斑
これはホルモンの関係で現れるシミで、やはり表皮のメラニン色素が沈着している状態です。出産後などに両頬に対称的に現れるので普通の老人性のシミと区別できます。また、経口避妊薬のピルの長期服用でも現れますし、紫外線を浴びると濃くもなります。肝斑に対してのレーザー照射は効果がないばかりか、多くの場合照射することにより濃くなります。内服薬やメラニン抑制クリーム(美白剤)、ケミカルピーリングで治療をします。この肝斑と老人性色素斑が合併して見られる方が少なからずおられますが、その際は先ず肝斑の治療を優先して行い、その後はっきりと残っている老人性色素斑に対してレーザー治療を行います。

B 刺青やアートメイク
①刺青
刺青は真皮に色素が入っていますので、Qスイッチレーザーで治療を行います。ごく色の薄いものでは1回で目立たなくなること   もありますが、平均的には5回程度の治療回数がかかります。また、黒以外の色(黄色、緑、青、紫など)では治療回数がさらにかかり、完全に消しきれない場合があります。刺青の色素のよっては金属(水銀など)を含んでいるものがあり、レーザー照射によって逆に変色してしまう可能性もあります。
②アートメイク
アートメイクも刺青と同じ状態です。全部を消すのではなく、太過ぎたアートメイクを部分的に細くすることも可能です。
③外傷性刺青
交通事故などで極めて細かい砂利などの破片が皮膚の真皮内に入り込んだままいなった状態です。これもQスイッチレーザーで治療を行います。

2005年08月13日

老人性のイボ

皮膚病AtoZ 「ウイルス性ではないイボの治療法」
イボとは:ウイルス感染によるものと、そうでないものがあります
新 明解国語辞典で「皮膚の一部が病的に肥大して、丸く小さく突き出ているもの(広義では、物の表面の、小さな出っ張りを指す)」と説明されているように、一 般的には皮膚表面から軽度盛り上がった小さな出来物(腫瘍)をイボと称します。イボは俗称ですから、実際には様々な疾患が含まれています。例えば乳頭腫ウ イルスの感染による尋常性疣贅や扁平疣贅、異なるウイルスによる水イボ、その他の小さい皮膚良性・悪性腫瘍以外にも虫刺されの痕などが硬くなった痒疹を指 す方もおられます。しかし、多くはウイルス性のイボ軟性線維腫脂漏性角化症を称していることが多いようです。
Q and A 4)イボ

代表的なイボの治療法:種類と大きさに応じて治療法が異なります

疣贅(ウィルスによるイボ)を参照して下さい。

軟性線維腫・アクロコルドン(skin tag,):ハサミ切除、液体窒素、電気焼灼
中 高年、特に女性に多く、首回りやワキ、まぶたなどによくみられるウイルスが関係しないイボで比較的小さいものが多いのですが、様々なタイプがあり、そのタ イプによって最適な治療法が異なります。小さなもので、くびれながら皮膚表面から飛び出しているタイプでは、ハサミを使用して切除する方法が色素沈着など の傷跡が一番少ない点でお勧めです。痛みもチクッとするくらいで非常に軽度です。液体窒素では周囲へも色素沈着が及ぶことが少なくありません。大きなもの では液体窒素を使用するか、局所麻酔の注射をした後にサージトロンのような高周波メスで切除あるいは電気焼灼します。小さいけれど皮膚表面からあまり盛り 上がっていないタイプはハサミで切除できないので、液体窒素に比べて色素沈着の度合いが少ない中周波による電気焼灼がお勧めです。通常、麻酔は不要です が、痛みに弱い方はお申し出いただければ表面麻酔(テープ、クリーム)使用していただくことも可能です。麻酔が効果を発揮するまで30分はお待ちいただく ことになります。施術後に軟膏を塗布して終了です。多少の赤みがありますが、数日内に消退します。電気焼灼では約2週間小さな黒いかさぶたがくっついた状 態になりますが、無理やりとらないようにお願いします。

脂漏性角化症:液体窒素、電気焼灼、レーザー、切除
中年以 降に顔面、頭部など比較的露出部位に好発し、表面が顆粒状でざさざらし、少し褐色から黒色調を呈することが多く、体にも多発される方がおられます。老人性 疣贅とも呼ばれる良性の皮膚(表皮性)腫瘍です。老人性色素斑と混在することがあります。とても小さなタイプでは中周波による電気焼灼、大きいものでは液 体窒素かサージトロンのような高周波メスで電気焼灼します。他の腫瘍と紛らわしい場合には切除し、病理組織学検査を行います。保険適応となります(数と大 きさ、部位により料金は異なります)。処置後は液体窒素では放置、高周波メスでは軟膏とテープ保護、切除ではガーゼ保護が必要です。

2005年08月13日

各種治療法について

(ニキビ痕:各種治療法について)
症状
いわゆるニキビ痕と称するものには、主に2種類あります。一つは形の異常として皮膚表面が凸凹した状態を指し、ニキビ瘢痕(acne scar)と呼ばれます。もう一つは色の異常として赤みが長く続いてしまい、その後に茶色くシミを残す炎症後色素沈着(post inflammatory pigmentation)です。新しいニキビができると引き続き新たなニキビ痕ができる可能性がありますので、先ずは新たなニキビの発生をできるだけ少なくするようにコントロールすることが重要です。また、両者の治療法は一部異なりますので分けて考える必要があります。参考:ニキビ・ざ瘡・Acne

炎症後色素沈着の治療
シミ治療に準じます。何らかの炎症によって、皮膚のメラニン産生細胞での生成が高まり、表皮細胞に過剰にメラニン色素が保持されている状態です。治療に伴う刺激症状が少ないものから列挙すると、ビタミンC化粧水、グリコール酸とビタミンCが一緒になったマイルドピーリングローション、グリコール酸ケミカルピーリング、ハイドロキノンやレチノイン酸などの美白剤となります。これらはいずれも現存するニキビの治療と併行して行うことができますし、ニキビ治療にも有用です。もちろん日々の遮光には留意下さい。シミ:各種治療法についての肝斑・炎症後色素沈着の項を参照。

ニキビ瘢痕の治療
ニキビ瘢痕は、毛穴が強いニキビの炎症に伴って破壊され、真皮内で傷跡として中から引きつれている状態です。皮膚の触感などは上述したビタミンC化粧水、グリコール酸ケミカルピーリングやレチノイン酸によっても改善(角質層が薄くなり、真皮内コラーゲン増殖などによる)しますが、より一層の改善を望む場合には、道路舗装の際と同じように地ならしが必要です。すなわち真皮内にある程度の影響が及ぶように表面を削る(炭酸ガスレーザー)、あるいは真皮に到達するケミカルピーリング(TCA)を用いる必要があります。瘢痕では窪みの角に斜めから光が入るとハイライトがあたる壁面と影になる底がくっきりと分かれるためによけいに目立ってしまいます。角がとれてなだらかになるだけでも改善しますので、陥凹している部位のみならず周囲もあわせて治療することによって地ならしとなります。これらを数ヶ月ごとに繰り返すことによってさらなる効果を目指します。ただし、こうした治療のあとには約1週間キズを保護する必要があります。また、擦り傷や軽度のヤケドを起こさせるのですから、その後しばらくの間赤みが持続しますし、その後に炎症後色素沈着を大なり小なり来たすことになってしまいます。そのため、日焼け止めとハイドロキノンやレチノイン酸などの美白剤を併用することが必須となります。外用治療とTCAピーリングの中間的な位置づけになるのが、クールグライド(ロングパルスYAG)レーザーです。皮膚表面を傷つけない(non-ablative)レーザーで、毛細血管拡張症にも有用なので赤みの残っている瘢痕が適応です。約3週間間隔で4~5回は必要です。同様にキュリア(ダイオードーレーザー)も有効です。比較的大きな陥凹(へこみ)ではヒアルロン酸の注入にて段差を少なくする方法も適応となります。時間とともに吸収されるので、半年から1年での繰り返しが必要となります。また、キリで刺したような小さくて深い瘢痕(アイスピック瘢痕と呼ばれます)では1~1.5mmの専用の丸いメスでくりぬく治療も行われます。

curia.jpg (ダイオードレーザーキュリア画像)

各種治療法
①ビタミンC:下記治療が刺激症状にて使用できないときや化粧品として使用していただいています。
ケミカルピーリング:グリコール酸などの弱い酸を用いて、皮膚表面の角質を整える治療で、ニキビ治療に特に有用です。角質を調整するとその下の皮膚も整えられることがわかってきています。グリコール酸には強くはないですが、メラニン色素の産生を抑える作用や真皮を厚くする作用がありますので、総合的な美肌(抗光老化)つくりに寄与します。肌のターンオーバーを目安に、10日から2週間の間隔で繰り返してゆきます。当院では手技を習熟後、ご自宅で継続していただきたく、独自のピーリングセットをご用意しています。洗顔後、ピーリング剤を塗布してマッサージするようになじませてゆきます。ピリピリした痛みを伴うこともありますが、ごく軽度です。冷却した後にビタミンCを外用(マスク使用、イオン導入など)するとより効果的です。施術後も通常通りにお化粧できます。セルフピーリングが面倒と思われる方には、安定型ビタミンCを配合した化粧水代わりにご使用していただけるマイルドピーリングローションをご用意していますので、洗顔後にご愛用の化粧水の前に日々ご使用下さい。
③ ハイドロキノン:チロシナーゼという酵素をブロックして、メラニン色素を作る細胞の中で色素が作られるのを抑えます。また還元作用によって出来てしまっているメラニン色素を薄くする作用もあります。当院では5%の濃度で使用していただいています。
④ レチノイン酸:ビタミンA酸(trans-retinoic acid:トレチノイン)。表皮細胞のターンオーバー(生まれ変わり)を早めて色素を早く外へ排出することによってシミを薄くするとともに、真皮でのコラーゲンを増生しますので、皮膚の光老化などの治療に汎用されています。使用に伴い、角質層が薄く維持されるようになるため、ハイドロキノンなどの薬剤の浸透性も高まるため、併用するとより効果的です。時に刺激症状のために使用が制限されることがありますが、使用量や回数を加減することで継続可能です。詳しくはレチノイン酸外用剤使用上の注意を参照してください。
⑤ クールグライド:外用治療とTCAピーリングの中間的な位置づけになるのが、クールグライド(ロングパルスYAG)レーザーです。皮膚表面を傷つけない(non-ablative)レーザーで、線維芽細胞に熱刺激を与えてコラーゲン産生を促します。毛細血管拡張症にも有用です。治療後は通常通りお化粧をすることができます。約3~4週間間隔で繰り返してゆきます。
⑥ TCAピーリング:35%(~60%)トリクロロ酢酸を患部に綿棒あるいはパフにて塗布するとfrostingと呼ばれる白色変化が見られ、その下に赤みが生じます。ムラがあれば、重ねぬリを行います。ある程度の蛋白凝固が進むとそれ以上には深く浸透しにくい傾向にあります。TCAはイボ治療に使用するモノクロロ酢酸などに比べると腐蝕作用・刺激感ともに少ないが、グリコール酸よりは刺激感が強く、塗布1~2分後から疼痛が生じてきますので、送風して軽減させます。約5分後に、水を含ませたガーゼやタオルなどで患部を約15分間冷却します。その後ステロイド含有軟膏を塗布します。約1週間でかさぶたが脱落しますので、それまでの間は治療部位を軟膏やテープで保護する必要があります。一般的に若年者ほど炎症後色素沈着をきたしやすいようですので、美白剤によるアフターケアを要します。グリコール酸ピーリングよりも明らかに改善効果は高くなります。
⑦ 手術・ヒアルロン酸:詳細は医師までご相談下さい。

2005年08月13日

シワの各種治療法について

皮膚病AtoZ 「シワの各種治療法について」
はじめに(シワの発生について)
シワは年齢とともに脂肪や筋肉がやせをおこして皮膚と皮下組織の間でズレが生じること(たるみの主原因です)、皮膚(真皮)が加齢や紫外線などの影響によってコラーゲン線維やムコ多糖類などの基質が減少して皮膚が薄くなり、弾性線維の変性に伴い柔軟性を無くしてしまうこと、水分保持力が低下することなどがからみあって出現します。また、筋肉を収縮させて表情を作ったりすることを繰り返すことによってクセとしてシワが刻まれてくることも影響します。こうしたことを考えると、シワを少なくするには保湿とともに紫外線を防御しながら、年齢を重ねるとともに少しずつふくよかになっていくことだとも言えます。実際に見回してみても痩せた方よりもふくよかな方はシワが少ないですね。施術として行われるのは、皮膚の厚みをましてシワを少なくする(コラーゲン線維を増やす)、筋肉や脂肪などのかわりに皮下組織や真皮内に膨らませる成分をいれて容積を増やしてシワを持ち上げて少なくする、筋肉の動きをおさえる、などの方法です。

皮膚の厚みを出す:ビタミンC、レチノイン酸、レーザー、TCAピーリング
加齢とともに真皮の線維成分(コラーゲンなど)や基質成分(ヒアルロン酸などのムコ多糖類など)が減少すると皮膚表面に小ジワが増加します。擦り傷を負った部位(傷跡)にシワが少ないのにお気づきになったことはありませんか? 軽い瘢痕を作っているのですが、体は傷を治す際に欠損した組織を埋めるように線維成分や基質を作って、皮膚の厚みを増してゆきます(これが過剰に生じたのが、肥厚性瘢痕や瘢痕ケロイドです)。そのために傷跡が少し固く感じられたりするのです。コラーゲンを少しでも増やすことを目的にした治療には、刺激の少ないものからビタミンC外用、レチノイン酸の外用などがあります。レーザーも対象物に光が吸収されるとそこで熱が発生しますので、軽いヤケドを生じさせていることになります。実際に太田母斑(青アザ)で片方の目の周囲を治療していると、複数回繰り返した後に反対側に比べてシワが少ないのに気づきます。これらのレーザーを工夫して表面に傷を作らない程度に照射してもコラーゲン組織が産生されることが知られています。当然ではありますが、表面に傷を作る(かさぶたが出来る)タイプのレーザーの方がより高い効果を有しています。ケミカルピーリングにおいても同様で、グリコール酸を使用したピーリングよりもTCAなどの真皮内に直接影響を及ぼす(かさぶたが出来る)ピーリングの方がより効果的ではあります。ご自身の社会生活をお考えになって、どの程度までの治療を受けることが出来るかによって選択枝が変わってきます。かさぶたが出来るタイプでは約1週間傷をガーゼやテープにて覆っていただく必要があります。しばらくは(約2~3ヶ月)赤みが続きますし、その後の色素沈着を抑制するためにハイドロキノンやレチノイン酸などの美白剤をアフターケアとして外用していただきます。
①ビタミンC:下記治療が刺激症状にて使用できないときや化粧品として使用していただいています。
ケミカルピーリング:グリコール酸などの弱い酸を用いて、皮膚表面の角質を整える治療で、ニキビ治療に特に有用です。角質を調整するとその下の皮膚も整えられることがわかってきています。グリコール酸は強くはないですが、メラニン色素の産生を抑える作用や真皮を厚くする作用がありますので、総合的な美肌(抗光老化)つくりに寄与します。肌のターンオーバーを目安に、10日から2週間の間隔で繰り返してゆきます。当院では手技を習熟後、ご自宅で継続していただきたく、独自のピーリングセットをご用意しています。洗顔後、ピーリング剤を塗布してマッサージするようになじませてゆきます。ピリピリした痛みを伴うこともありますが、ごく軽度です。冷却した後にビタミンCを外用(マスク使用、イオン導入など)するとより効果的です。施術後も通常通りにお化粧できます。セルフピーリングが面倒と思われる方には、安定型ビタミンCを配合した化粧水代わりにご使用していただけるマイルドピーリングローションをご用意していますので、洗顔後にご愛用の化粧水の前に日々ご使用下さい
③ レチノイン酸:ビタミンA酸(trans-retinoic acid:トレチノイン)。表皮細胞のターンオーバー(生まれ変わり)を早めて色素を早く外へ排出することによってシミを薄くするとともに、真皮でのコラーゲンを増生しますので、皮膚の光老化などの治療に汎用されています。時に刺激症状のために使用が制限されることがありますが、使用量や回数を加減することで継続可能です。詳しくはレチノイン酸外用剤使用上の注意を参照してください。
④ クールグライド:外用治療とTCAピーリングの中間的な位置づけになるのが、クールグライド(ロングパルスYAG)レーザーです。皮膚表面を傷つけない(non-ablative)レーザーで、毛細血管拡張症にも有用です。軽いチクチクした痛みがあります。約3~4週間間隔で繰り返してゆきます。
キュリア:クールグライド同様に皮膚表面を傷つけないレーザーで、脱毛やにきび治療にも使用されるダイオードーレーザーです。ケミカルピーリングと組み合わせておこないます。

kyuria_before.jpg kyuria_after.jpg


TCAピーリング:35%(~60%)トリクロロ酢酸を患部に綿棒あるいはパフにて塗布するとfrostingと呼ばれる白色変化が見られ、その下に赤みが生じます。ムラがあれば、重ねぬリを行います。ある程度の蛋白凝固が進むとそれ以上には深く浸透しにくい傾向にあります。TCAはイボ治療に使用するモノクロロ酢酸などに比べると腐蝕作用・刺激感ともに少ないが、グリコール酸よりは刺激感が強く、塗布1~2分後から疼痛が生じてきますので、送風して軽減させます。約5分後に、水を含ませたガーゼやタオルなどで患部を約15分間冷却します。その後ステロイド含有軟膏を塗布します。一般的に若年者ほど炎症後色素沈着をきたしやすいようですので、美白剤によるアフターケアを要します。グリコール酸ピーリングよりも明らかにシワ改善効果は高くなります。

皮膚や皮下にボリュームを負荷(ふくらませる)して、表面のシワを延ばす:ヒアルロン酸
極端な例ですが、顔がむくんだり、打撲して腫れている時に皮膚のシワが浅くなっているのにお気づきになったことはありませんか? ヒアルロン酸は自身の約6000倍もの水を引き付けることによって膨らみます。その効果によって刻まれているシワを浅くしたり、その部位で折れ曲がりにくくしたり、くぼみを浅くします。製品のヒアルロン酸の重合度合いによって吸収される速度が異なります。また、よく動く部位では多少吸収が早くなるようです。重合度合いによって、吸収速度が異なる以外にもヒアルロン酸ゲルの固さが異なりますので、重合度合いの高い製品を皮膚の浅い部位に使用するとボコボコ感が残りやすくなります。そのため、適材適所で目的によって使用する製品を選択します。例えば浅いシワにはタッチライン、目の周囲ではレスチレン、鼻唇溝(ほうれい線)やあご出し、隆鼻、頬やこめかみの窪み修正などではより重合度合いが高いパーレーンなどを使用します。施術後の制限は特にありませんが、ヒアルロン酸をなじませるために患部のマッサージを行っていただきます。メークなどは通常通り行えます。副作用としては注入時の痛みがありますが、局所表面麻酔を行うことによって軽減されます。その他に注入局所の内出血などが起こりえますが、時間とともに消失します。
ヒアルロン酸治療を受けられる方へを参照下さい。

筋肉の動きを抑える:ボツリヌス菌毒素(ボトックス)
しかめっ面を繰り返すと、眉間に縦ジワが次第にくっきりと出てきます。おでこにシワを寄せることを繰り返すとおでこに横ジワが刻まれてきます。目じりのシワをカラスの足跡と言いますが、笑いジワとも呼びます。それぞれ、その皮膚の下にある筋肉(眉間ではすう眉筋、おでこでは前頭筋、目じりには目を閉じる眼輪筋が目の周りにあります)が収縮すると、筋肉と同じようには収縮できないその表面にある皮膚はたわみながら距離を縮めます。それがシワとして見られるのです。それが繰り返されると、若いころには柔軟であった皮膚も年齢とともに膠原線維の減少や弾性線維の変性によって柔軟性を失っていることも相まって、同じ部位で折れ曲がりやすいようにクセとして皮膚にシワが刻まれてきます。ハンカチにもたたみ癖として折り目がついてきたりするのと似ています。これらの折れ曲がりの頻度を少なくするために筋肉の動きを抑えるのがボツリヌス菌毒素注射です。シワが出来るのを予防することになります。しかも人間は立って生活しますので、下方向へ重力がかかりますから、刻まれていたおでこの横ジワも次第に伸びてきます。重力に従って自然にシワが伸びてくるので、出来上がりがヒアルロン酸などの充填剤を部分的に注入してシワを浅くする方法に比べておでこ全体で見た場合により自然できれいな仕上がりだと思います。筋肉の動きは、神経・筋接合部で神経終末からのアセチルコリンという物質の放出によってコントロールされています。ボツリヌス菌毒素はこのアセチルコリン放出を抑えるので、筋肉へ刺激が伝わらず、動きが止まります。但し、この作用はあくまでも一時的で、2~4ヶ月もすると次第に戻ってきます。そのため、施術が気に入った場合には完全に元に戻る前に繰り返すのがより効果的です。次第に施術間隔が伸びてゆきます。また、ヒトによっては意識しないでクセとして表情を作っていた場合(例えば、無意識のうちにしかめっ面をしていたなど)、そのクセが矯正されてしなくなるという効果もあります。施術は作用させたい部位の筋肉に皮膚面から注射を数箇所行います。術後の制限は特にありませんし、メークなども通常通り行えます。副作用としては、局所注射による内出血の可能性、軽度の一過性頭痛・違和感などです。また、前額(おでこ)や眉間の施術により多少の表情の変化やまぶたの重さを感じる方がおられますが、一過性です(効果も一過性であれば、副作用も一過性であるとも言えます)。初回の結果を参考にして、次回からの注射部位などを変更することによってより希望に沿った効果を目指します。
ボツリヌス菌毒素製剤についてを参照下さい。

2005年08月13日

シミの各種治療法について

皮膚病AtoZ 「シミの各種治療法について」
三省堂「大辞林 第二版」でシミ(染み)を調べると、3番目の項目として(「肝斑」とも書く)(ア)顔面、特に額・眉・頬などに生じる褐色の色素斑。成年女子に多い。原因は明らかではないが内分泌系の失調と考えられている。肝斑(かんぱん)。(イ)中年期以後、顔面や手の甲など日光に当たる部分にできる褐色の色素斑。皮膚の老化が原因 と記載されています。すなわち、肝斑を主体にしながらも