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体臭とスキンケア
2005,05,13, Friday
皮膚病AtoZ 「体臭とスキンケア」
夏には汗の量だけではなく,体臭も強くなり,気にされる方も少なくありません。今回は体臭とそれに対する一般的なスキンケアなどをご紹介します。*多汗症については別途資料を用意していますので,必要な方はスタッフまで申し付けください。
■体臭の種類■
①体 臭:主な原因は,アポクリン汗腺とエクリン汗腺から分泌される汗と,皮脂腺から分泌される皮脂が皮膚常在菌により酸化分解されて生じる産物とされています。その他の分泌物,食物,環境,遺伝,疾病,生活様式に左右されます。
・ アポクリン汗:腺細胞の原形質から移行した蛋白質や脂質(中性脂肪,脂肪酸,コレステロール),アンモニア,Fe などを含む粘稠な液体で,新鮮な状態では無菌無臭です。
・ エクリン汗:99%が水分で,他にNaCl, Ca, Mg, P, Fe, 乳酸, アミノ酸, 尿素などを含み透明水様で有機物の濃度は少ない。
②腋 臭:思春期以降に顕著化(アポクリン汗腺機能亢進)し,♂>♀,黒人>白人>黄色人と言われています。アポクリン汗腺から分泌された汗を皮膚常在菌が分解した産物であり,transmethyl-2-hexenoic酸を主体とし,低級脂肪酸(イソ吉草酸,カプロン酸,カプリル酸など)やandrost-16-enesが修飾して生じると考えられています。いわゆるワキガは多くの人にとっては嫌な臭いですが,一部の人たちにとっては好ましく,性的興奮を高めるとも言われています。人間が性的なにおいを発する部位としては,ワキや陰部が代表的ですが,それらの部位には毛が生えています。毛は大事な部位を保護するだけではなく,発するにおいを周囲へ拡散する(異性へ知らせる)という役割が本来はあるのです。女性が腋毛を処理するのは,身だしなみの点だけではなく,社会的・文化的背景から無意識に「私は性的においを発散させて異性を引き付けようと考える淫らな女ではない」と主張しているともとれるのだそうです。
③足 臭:靴や靴下の長時間着用・扁平足で増加します。エクリン汗腺からの多量の発汗により足底表皮が浸軟し,角層を構成するタンパク質や皮脂成分中の有機化合物を皮膚常在菌が分解し,その分解産物であるイソ吉草酸(isovaleric acid)が主原因とされています。エクリン汗中の多量の金属元素は,遊離の低級脂肪酸を無臭の金属塩に変換しますが,汗臭の強い人ではエクリン汗中の総金属塩量が少ないとも言われています。
④加齢臭:原因物質は中高年で皮脂中に増加した9−ヘキサデセン酸を皮膚常在菌が酸化分解あるいは空気酸化によって生じたノネナール(2-Nonenal,不飽和アルデヒドの一種)とされています。20〜30代では検出されませんが,40〜70代では80%以上で検出されます。中高年の皮脂には,若者にはほとんどない9−ヘキサデセン酸が増加していると言われています。汗や古くなった皮膚などの老廃物が加齢によって十分に分解できなくなって発せられる腐敗臭のようなもので,新陳代謝が活発な若者では分解されるためにほとんど臭いが無いのでしょう。
■体臭を抑えるスキンケア■
①制汗剤:発汗量を減少させます。アルミニウム製剤が主体で,エクリン汗を抑制し体臭の増悪因子を抑えます(アポクリン汗の抑制は不明)。
②抗菌剤:常在細菌の減少を目的にしています。塩化ベンザルコニウム,塩化クロールヘキシジンなど。抗菌力を持つ植物抽出物(ケイヒ,チョウジ,ウイキョウ,ハッカなど)が配合されることもある。注射などの前に皮膚を消毒するエタノールも使用されます。コマーシャルなどで有名な銀も使用されていますね。また,皮膚表面のpHを調節して,細菌の繁殖しにくい環境を作ることも行われています。
③酸化防止剤:皮脂の酸化抑制を目的にします。チオタウリン,ヒポタウリン,ビタミンEなどが配合されています。
④消臭剤:体臭成分の消臭が目的です。遊離脂肪酸の金属塩が揮発性であるため臭いを発生するので,何らかの塩基性物質を遊離低級脂肪酸に作用させて不揮発性の金属塩を形成させます。酸化亜鉛(亜鉛華)などが汎用されます。フラボノイドやクロロフィルなどを多く含む植物抽出物配合もみられます。
⑤香料成分:臭いのマスキング。例えばイソ吉草酸臭にはベルガモット油(殺菌作用もあり)が有効です。
■体臭の発生機構とスキンケア・制汗デオドラント■
体臭発生機構制汗デオドラントの成分当院での使用薬剤
① 汗(アポクリン,エクリン)分泌 ←制汗剤 ・塩化アルミニウム製剤(a)
・タルク製剤を併用(吸着)(b)
↓
② 細菌による分解 ←殺菌剤 ・制汗剤をエタノール基剤(a)
・サリチル酸製剤併用(b)
皮脂の酸化 ←抗酸化剤
↓
③ 分解産物による体臭発生
1. イソ吉草酸 ←消臭剤・マスキング剤・ベルガモット油併用(b)
2. trans-Methyl-2-Hexenoic酸
3. Androst-16-enes
4. 2-Nonenal
これらを加味して,当院では先ず「塩化アルミニウム・エタノール溶液」で発汗抑制と殺菌を行い,その後にサリチル酸・タルク・ベルガモット油を含有した「パウダー」を使用して汗の吸着・殺菌作用増強・臭いのマスキングを行うことを主体にしています。ベルガモットは時に光線過敏を生じることがありますので,特に気になる方が少なくないワキや足の裏などの非露出部にお試し頂いています。*当院のベルガモット油は感作源であるベルガプテンを除去した精油を使用しています。
■その他の注意点■
1) 腋毛の処理:腋毛は細菌の蓄積や増殖を促し,臭いのついた汗を長時間保持して発散させるため,処理した方がよいでしょう。当院でもレーザー脱毛を用意しています。*レーザー脱毛の資料はスタッフまでお申し付け下さい。2) 肌着による汗の吸収:吸湿性のよい木綿の肌着で汗を吸着させ,蒸発させるのはよい方法ですが,適宜交換が必要です。洗濯時の柔軟剤使用は汗の吸収を悪くするので,肌着には使用しない方がよいでしょう。
3) 熱所を避ける。また,紫外線にあたると皮脂の分泌が増加することも知られています。
4) 汗中に微量に排泄される有臭性食物(アルコール,ニラ,ニンニク,玉ネギなど)を避ける。こうした汗をしっかり排泄させるために,時にはシャワー浴だけではなく湯船に長めに浸かって汗孔を開かせるのも有用でしょう。
5) 脂質の分泌を少なくするために脂肪分摂取を控えましょう。
6) 入浴や石鹸の使用による外的スキンケアだけにとどまらず,食生活に気を配ったり,規則正しい生活を送ることによって内的スキンケアを心がけ,皮膚の清潔を保つのがなにより大切なことでしょう。
■体臭の種類■
①体 臭:主な原因は,アポクリン汗腺とエクリン汗腺から分泌される汗と,皮脂腺から分泌される皮脂が皮膚常在菌により酸化分解されて生じる産物とされています。その他の分泌物,食物,環境,遺伝,疾病,生活様式に左右されます。
・ アポクリン汗:腺細胞の原形質から移行した蛋白質や脂質(中性脂肪,脂肪酸,コレステロール),アンモニア,Fe などを含む粘稠な液体で,新鮮な状態では無菌無臭です。
・ エクリン汗:99%が水分で,他にNaCl, Ca, Mg, P, Fe, 乳酸, アミノ酸, 尿素などを含み透明水様で有機物の濃度は少ない。
②腋 臭:思春期以降に顕著化(アポクリン汗腺機能亢進)し,♂>♀,黒人>白人>黄色人と言われています。アポクリン汗腺から分泌された汗を皮膚常在菌が分解した産物であり,transmethyl-2-hexenoic酸を主体とし,低級脂肪酸(イソ吉草酸,カプロン酸,カプリル酸など)やandrost-16-enesが修飾して生じると考えられています。いわゆるワキガは多くの人にとっては嫌な臭いですが,一部の人たちにとっては好ましく,性的興奮を高めるとも言われています。人間が性的なにおいを発する部位としては,ワキや陰部が代表的ですが,それらの部位には毛が生えています。毛は大事な部位を保護するだけではなく,発するにおいを周囲へ拡散する(異性へ知らせる)という役割が本来はあるのです。女性が腋毛を処理するのは,身だしなみの点だけではなく,社会的・文化的背景から無意識に「私は性的においを発散させて異性を引き付けようと考える淫らな女ではない」と主張しているともとれるのだそうです。
③足 臭:靴や靴下の長時間着用・扁平足で増加します。エクリン汗腺からの多量の発汗により足底表皮が浸軟し,角層を構成するタンパク質や皮脂成分中の有機化合物を皮膚常在菌が分解し,その分解産物であるイソ吉草酸(isovaleric acid)が主原因とされています。エクリン汗中の多量の金属元素は,遊離の低級脂肪酸を無臭の金属塩に変換しますが,汗臭の強い人ではエクリン汗中の総金属塩量が少ないとも言われています。
④加齢臭:原因物質は中高年で皮脂中に増加した9−ヘキサデセン酸を皮膚常在菌が酸化分解あるいは空気酸化によって生じたノネナール(2-Nonenal,不飽和アルデヒドの一種)とされています。20〜30代では検出されませんが,40〜70代では80%以上で検出されます。中高年の皮脂には,若者にはほとんどない9−ヘキサデセン酸が増加していると言われています。汗や古くなった皮膚などの老廃物が加齢によって十分に分解できなくなって発せられる腐敗臭のようなもので,新陳代謝が活発な若者では分解されるためにほとんど臭いが無いのでしょう。
■体臭を抑えるスキンケア■
①制汗剤:発汗量を減少させます。アルミニウム製剤が主体で,エクリン汗を抑制し体臭の増悪因子を抑えます(アポクリン汗の抑制は不明)。
②抗菌剤:常在細菌の減少を目的にしています。塩化ベンザルコニウム,塩化クロールヘキシジンなど。抗菌力を持つ植物抽出物(ケイヒ,チョウジ,ウイキョウ,ハッカなど)が配合されることもある。注射などの前に皮膚を消毒するエタノールも使用されます。コマーシャルなどで有名な銀も使用されていますね。また,皮膚表面のpHを調節して,細菌の繁殖しにくい環境を作ることも行われています。
③酸化防止剤:皮脂の酸化抑制を目的にします。チオタウリン,ヒポタウリン,ビタミンEなどが配合されています。
④消臭剤:体臭成分の消臭が目的です。遊離脂肪酸の金属塩が揮発性であるため臭いを発生するので,何らかの塩基性物質を遊離低級脂肪酸に作用させて不揮発性の金属塩を形成させます。酸化亜鉛(亜鉛華)などが汎用されます。フラボノイドやクロロフィルなどを多く含む植物抽出物配合もみられます。
⑤香料成分:臭いのマスキング。例えばイソ吉草酸臭にはベルガモット油(殺菌作用もあり)が有効です。
■体臭の発生機構とスキンケア・制汗デオドラント■
体臭発生機構制汗デオドラントの成分当院での使用薬剤
① 汗(アポクリン,エクリン)分泌 ←制汗剤 ・塩化アルミニウム製剤(a)
・タルク製剤を併用(吸着)(b)
↓
② 細菌による分解 ←殺菌剤 ・制汗剤をエタノール基剤(a)
・サリチル酸製剤併用(b)
皮脂の酸化 ←抗酸化剤
↓
③ 分解産物による体臭発生
1. イソ吉草酸 ←消臭剤・マスキング剤・ベルガモット油併用(b)
2. trans-Methyl-2-Hexenoic酸
3. Androst-16-enes
4. 2-Nonenal
これらを加味して,当院では先ず「塩化アルミニウム・エタノール溶液」で発汗抑制と殺菌を行い,その後にサリチル酸・タルク・ベルガモット油を含有した「パウダー」を使用して汗の吸着・殺菌作用増強・臭いのマスキングを行うことを主体にしています。ベルガモットは時に光線過敏を生じることがありますので,特に気になる方が少なくないワキや足の裏などの非露出部にお試し頂いています。*当院のベルガモット油は感作源であるベルガプテンを除去した精油を使用しています。
■その他の注意点■
1) 腋毛の処理:腋毛は細菌の蓄積や増殖を促し,臭いのついた汗を長時間保持して発散させるため,処理した方がよいでしょう。当院でもレーザー脱毛を用意しています。*レーザー脱毛の資料はスタッフまでお申し付け下さい。2) 肌着による汗の吸収:吸湿性のよい木綿の肌着で汗を吸着させ,蒸発させるのはよい方法ですが,適宜交換が必要です。洗濯時の柔軟剤使用は汗の吸収を悪くするので,肌着には使用しない方がよいでしょう。
3) 熱所を避ける。また,紫外線にあたると皮脂の分泌が増加することも知られています。
4) 汗中に微量に排泄される有臭性食物(アルコール,ニラ,ニンニク,玉ネギなど)を避ける。こうした汗をしっかり排泄させるために,時にはシャワー浴だけではなく湯船に長めに浸かって汗孔を開かせるのも有用でしょう。
5) 脂質の分泌を少なくするために脂肪分摂取を控えましょう。
6) 入浴や石鹸の使用による外的スキンケアだけにとどまらず,食生活に気を配ったり,規則正しい生活を送ることによって内的スキンケアを心がけ,皮膚の清潔を保つのがなにより大切なことでしょう。