皮膚科AtoZ ミルディス皮フ科 東京都 足立区 皮膚科 美容皮膚科 形成外科 アレルギー科:東京都足立区北千住で皮膚科を診療している院長の皮膚に関するブログです。

Home > シワ対策&化粧品成分

シワ対策&化粧品成分について

シワ対策&化粧品成分について

シワやたるみなど皮膚の老化には、通常、「加齢に伴う老化」と「光老化」と呼ばれる紫外線によるダメージが加わったものがあります。光老化といえば、ある夜の席で先輩から聞いた印象的なエピソードを思い出します――「昔、とある先生が、当時の中国なら(化粧をしないので)化粧品による皮膚の障害がほとんどないのではないか? との仮説のもとに現地に赴いたところ、逆に化粧品による遮光をしないために光老化が顕著であることがわかった…」と。私たちが社会生活を送る上では、紫外線の影響なしには考えられません。今回は、皮膚の老化とシワの発生ならびに化粧品成分についてのお話です。

■乾燥ジワ
小ジワには「乾燥ジワ」といわれるものと、折れ癖の始まりとしての「表情ジワ」があります。
「乾燥ジワ」とは皮膚表面の角質の水分が欠乏して、角質の透明感が失われて白さが出現し、皮膚紋理がはっきりと目立ってしまう状態をいいます。たとえば“皮脂”という油の膜がなく角質が厚い「かかと」を見てください。白くはっきりした皮膚紋理は、水で濡らすだけで目立たなくなります。ティッシュペーパーを丸めると小さなシワがたくさんできますが、光と影の影響でそのときははっきり見えるシワも、水を垂らせば繊維が膨化し、空気が無くなり透明になってしまい、やがて目立たなくなります。
こうした現象は油の膜が少なく、その下に水分保持がままならない部分に出やすいといえます。顔でいうと“目元”は特に出やすいところです。しかも30代も半ばになると、女性は男性とは異なり皮脂の分泌量が著明に減少してきます(逆に男性は、皮脂の分泌量が多く、その下に水分が蓄えられるため、乾燥小ジワが少ないのです)。
また、年齢を重ねるにつれてターンオーバーが遅くなり、角質は厚くなる傾向になるため、皮膚はより水分を欲するようになります。こうした場合には水分だけではなくて、その上から油分を補うことが必要になります。皮膚表面の水分を保持する代表的な成分としては①皮脂膜、②NMF(天然保湿因子:各種アミノ酸、乳酸塩、ピロリドンカルボン酸など)、③細胞間脂質(セラミドが主成分)などがあげられます。皮脂のみならず、細胞間脂質という表皮細胞から分泌される脂や、天然保湿因子であるアミノ酸も年齢とともに減少しますので、こうしたものを化粧品で補っていく必要もあるのです。

■折れ癖の始まりジワ≒表情ジワ
これは先ずもって皮膚(表皮と真皮)が加齢とともに薄くなり、しかも紫外線などの影響によって真皮内線維(コラーゲン、エラスチン)が断裂や変性(生体内酵素で分解されにくくなってしまう)を起こすことが原因となり生じます。修復されても元の構築状態には戻らず、さらに紫外線などにより発生した活性酸素によって、コラーゲン線維がいたるところで架橋結合(クロスリンキング)してしまい、柔軟性が低下するのです。
たとえば日光に当たった輪ゴムが劣化し、簡単に切れてしまうことを想像してみて下さい。形は残っていても本来の性質が失われている状態が“変性”です。こうして皮膚の軟らかさが無くなり、硬くなる(皮膚を内部臓器に密着させる力が弱まる)ことが、シワの形成に重大な影響を与えるのです。たとえば、ティッシュを丸めたものと、硬いコピー用紙を丸めたものを用意し、伸ばしてみてください。コピー用紙は伸ばしても、きれいにシワは伸びてくれません。また、曲げ伸ばしを繰り返すと、同じ部位での折れ癖がつきやすくなるのもコピー用紙です。

しかも皮膚のみならず、皮下脂肪も痩せると外側にある皮膚が余ってしまい、シワの原因になります。たとえばゴム風船にパンパンに空気を入れて膨らませても、空気をぬけばゴムといえどもシワシワが目立ちますよね。これは皮膚組織(表皮+真皮)が薄くなり柔軟性が無くなるのに加えて、皮下組織(脂肪や筋肉)がやせてしまうと「タルミ」や刻まれた「シワ」になりやすいということを示しています。でも、しぼんでシワが出来た風船でも、空気を入れて膨らませればシワはなくなります。
こうしたことを考えますと、年齢と共に少しずつふくよかになること(痩せすぎない)ことも重要なポイントです。また、男性は一般的に女性に比べると紫外線による皮膚ダメージを受けやすい傾向にあり(防御を行わないため)、女性に比べると小ジワは少ないものの、深く刻まれたシワが出来やすいように思います。これは、皮膚自体は本来厚くて皮脂も十分で乾燥しにくいのですが、柔軟性が失われて折れ目がつきやすいためと思われます。

以上、「折れ癖の始まりジワ≒表情ジワ」に触れてみましたが、これらの予防には、何よりもまずは紫外線対策が重要です。同時に外用剤の治療法では、全般的に皮膚の厚みを出して、柔軟性を出す(硬くなるのを防止する)ような成分が有用となります。皮膚の厚みを出す成分の代表はレチノイン酸です。

■表情ジワ
「表情ジワ」と呼ばれるものとしては、眉間の縦ジワ、目じりの「カラスの足跡」などが代表的なものになります。皮膚の下の筋肉が収縮して表情を作る際に、皮膚に筋肉ほどの柔軟性がなければ皮膚は筋肉の縮みに追随し、たわみながら距離を縮めるようになり、これがシワとして認識されるわけです。こうした表情ジワと呼ばれる部位への医学的治療には、筋肉の動きを抑える“ボトックス”を用いると有効です。そして同じような効果を発揮する化粧品成分としては、アルジルリンがあります。

*  *  *
以上、各シワのメカニズムを述べてみましたが、ヒアルロン酸注入によるシワ治療はどうでしょう? 私見ですが、シワが生じる順序を考えると、後年になって目立ってきたシワから治療をしてゆくほうが違和感がありません。一般的には、シワの進行はまず上まぶたの張りが緩み始め、次いで目尻にカラスの足跡、前額に横ジワ、鼻根部の横ジワ、鼻唇溝、眉間に縦ジワ、口角から顎にかけてのシワ(マリオネットライン)、口まわりの縦ジワ…といった順序となります。

<“シワ対策&保湿”成分>
薬事法により「シワに有効」とは表記できないため、多くは「有効成分」あるいは「保湿成分」と記されます。抗酸化剤も有用ですが、後日サプリメントの項にまとめたいと思います。ヒアルロン酸、セラミドなどの保湿成分も別項で扱いたいと思います。

●アルジルリン
筋肉の収縮に関与する神経伝達物質の過剰放出を抑制し、アドレナリンを貯蔵している細胞の膜蛋白質を動かなくする作用があり、シワの改善成分として注目されています。神経伝達系に働きかけて、筋肉の緊張を和らげ表情ジワの形成を軽減する作用がボトックス(ボツリヌス菌毒素)に似ていることから、「塗るボトックス」とも呼ばれています。

●レチノール
レチナールやレチノイン酸とともにビタミンAの一種ですが、一般的にはレチノールをビタミンAと称します。ビタミンAは抗夜盲症因子として発見されたビタミンで、視覚・聴覚・生殖などの機能保持、成長促進、皮膚や粘膜の正常保持、制癌などの幅広い作用を有しておりますが、レチノールは角質層の保湿性を高めて柔軟性を皮膚に与える成分として化粧品に配合されています。また、コラーゲン合成を促進する物質でもあることから、シワ予防に用いられています。医療機関などで使用されるレチノイン酸もビタミンA(レチノール)の誘導体ですが、その生理活性はレチノールの約300倍と言われています。
レチノイン酸は表皮のターンオーバーを促進し、角質を剥がれやすくし、表皮を厚くします。また皮脂腺の分泌を抑制し、表皮に存在するメラニン色素の排出を促進します。また真皮内で線維芽細胞を刺激することにより、コラーゲン線維やムコ多糖を増やして真皮を厚くする作用があり、海外では広く臨床(ニキビ、乾癬、皮膚光老化治療など)に使用されています。しかし現時点では、本邦では未認可です。レチノールに比べると、刺激性が問題となるのです。またレチノイン酸内服薬による副作用としては催奇形性が知られていますが、外用での危険はないと考えられています。

●レチノイン酸トコフェリル
レチノイン酸(ビタミンA酸)とトコフェロール(ビタミンE:抗酸化作用)を結合させたビタミンA酸誘導体。日清製粉が新規合成した化合物で、当初は創傷治癒促進剤(“床ずれ”などの皮膚潰瘍治療薬:オルセノン軟膏)として製品化されました。その作用を応用して、近年では化粧品へも配合され、シワ予防・保湿に寄与します。

2006年12月10日

Categories

Entry Tag

Entries

Archives