皮膚科AtoZ ミルディス皮フ科 東京都 足立区 皮膚科 美容皮膚科 形成外科 アレルギー科:東京都足立区北千住で皮膚科を診療している院長の皮膚に関するブログです。

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皮膚に良い食べ物

皮膚に良い食べ物

皮膚科雑誌に「皮膚によい食べ物」という記事が掲載されていましたので、一部改変した上でご紹介します。食事は栄養素の面から考えることも大切でしょうが、最近の各種偽装問題を始め、国内の食の安全神話が崩壊しかかっている状況を鑑みると、食品の質も考えていかなければならないのかも知れません。末尾に紹介している「食の安全を考える会」の「あぶない食のはなし」などを読むと恐ろしくなってきます。1980年代から1990年代にかけて食品業界にも「良い食品を作る会」という運動が生じ、良い食品の基準として4つの条件が掲げられました。1) 安心して食べられる安全な食品であること。2) ごまかしがないこと。3) 味がいいこと。4) 品質に応じた買いやすい値段であること。余りに神経質になりすぎるのも考えものですが、食べることは毎日のことであり、食生活を健全にすることが人間の生命を維持する基本です。ある程度の「食へのこだわり」も必要かも知れません。サプリメントからではなく、食品から摂取した栄養素によってのみ、予防効果や進行抑制効果が得られるある種の疾病も少なからず報告されてきています。「美肌にコラーゲン」だけではなく、それら以外のものも是非試してみてはいかがでしょうか。私は不得手な分野ですが、ご興味のある方は分子栄養学について調べてみるのも面白いでしょう。

保湿対策に効果のある栄養素と食品
美白・老化対策に効果のある栄養素と食品 保湿効果がある栄養素は脂肪の多い魚類、種実類、植物油などに含まれるビタミンEで、これに水分摂取を心がける必要があります。乾燥の目立つ部位には保湿剤や保湿化粧品で潤いを与えたり、加湿器などで生活空間の湿度を調整することも考慮しましょう。
保湿対策に効果のある栄養素と食品
ビタミンE たらこ・卵・うなぎの蒲焼・真鯛・にしん・ぶり・大豆・植物油・バター・マヨネーズ・ドレッシング・アーモンド・落花生・ごま・モロヘイヤ・かぼちゃ・アボカド
脂肪の多い魚 マグロのトロ・はまち・いわし・養殖真鯛・さば・にしん・ぶり・さんま・うなぎの蒲焼・鮭
植物油 オリーブ油・菜種油・しそ油・えごま油

美白・老化対策に効果のある栄養素と食品
体の外側からは紫外線対策が最重要かつ不可欠です。シミ・シワ・皮膚癌の発症を遅らせたり防ぐためにも、年間を通じてサンスクリーン剤を使用しましょう。 体の内側からはβ‐カロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール(赤ワイン、ウーロン茶、コーヒー、ココア)、カテキン(日本茶)、葉酸(緑色野菜)などを摂ることが大切です。活性酸素を除去して美白作用や抗酸化作用が期待できます。
美白、老化対策に効果のある栄養素と食品
β-カロテン 焼きのり・パセリ・にんじん・モロヘイヤ・あしたば・春菊・にら・小松菜・ほうれん草・菜の花・大根葉
ビタミンC グァバ・イチゴ・レモン・パパイヤ・パセリ・パプリカ・ブロッコリー・モロヘイヤ・菜の花・ほうれん草・小松菜
ビタミンE たらこ・卵・うなぎの蒲焼・真鯛・にしん・ぶり・大豆・植物油・バター・マヨネーズ・ドレッシング・アーモンド・落花生・ごま・モロヘイヤ・かぼちゃ・アボガド

ニキビ・吹き出物対策に効果のある栄養素と食品
ニキビ悪化の要因には不規則な食生活、外食に頼った高エネルギー食などが挙げられます。ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCが十分に含まれ、脂質が過剰にならないような食事を心がけましょう。不十分な洗顔、寝不足、不摂生、ストレスの多い生活環境は、どれもニキビを悪化させる要因になることを自覚しましょう。メーク落としも十分に!
ニキビ、吹き出もの対策に効果のある栄養素と食品
β-カロテン レバー・アーモンド・うなぎの蒲焼・ずわいがに・豚肉・ハム・納豆・卵・さば・ぶり・牛乳・チーズ
ビタミンB6 いか・たこ・いわし・マグロ・かつお・さば・あじ・玄米・豚肉・牛肉・鶏肉・レバー・大豆・卵黄・ごま・バナナ・セロリ・エリンギ
ビタミンC グァバ・イチゴ・レモン・パパイヤ・パセリ・パプリカ・ブロッコリー・モロヘイヤ・菜の花・ほうれん草・小松菜

便秘対策に効果のある栄養素と食品
食物繊維、乳酸菌を豊富に含んだ献立にし、併せて十分な水分摂取を行いましょう。ダイエットのために食事量を極端に減らしたり、脂肪を制限しすぎることも便秘の原因になります。日常的に適度な運動をすることも大切です。食物繊維や乳酸菌配合の特定保険用食品もあります。
便秘対策に効果のある栄養素と食品
食物繊維 きくらげ・ひじき・昆布・しいたけ・切り干し大根・大豆・おから・納豆・オートミール・ごぼう・あしたば・モロヘイヤ・ほうれん草・にがうり・にんじん・やまといも
乳酸菌 ヨーグルト・乳酸菌飲料
水分  

貧血対策に効果のある栄養素と食品
表にあるような食品がおすすめできますが、妊娠の可能性がある女性は、ビタミンA(レチノール)を多く含むレバーは控えるほうが望ましいとされています。貧血は徐々に進行すると気づかないことも少なくありません。下眼瞼結膜や爪などの色が白味を帯びていないか、爪に変形がないかなどの日常的な自己観察も重要です。また、定期的に健康診断を受けることによっても貧血の有無は判りますので、積極的に受けましょう。
貧血対策に効果のある栄養素と食品
レバー・ひじき・昆布・煮干・大豆・納豆・あさり・ピスタチオ・アーモンド・ごま・わかさぎ・帆立貝・牡蠣・いわし・さば・ほうれん草・ココア
ビタミンC グァバ・イチゴ・レモン・パパイヤ・パセリ・パプリカ・ブロッコリー・モロヘイヤ・菜の花・ほうれん草・小松菜
ビタミンB6 いか・たこ・いわし・マグロ・かつお・さば・あじ・玄米・豚肉・牛乳・鶏肉・レバー・大豆・卵黄・ごま・バナナ・セロリ・エリンギ
ビタミンB12 レバー・牛肉・はまぐり・牡蠣・いわし・あさり・かに・さば・かつお・鮭・ぶり・うなぎの蒲焼・にしん・たらこ

ストレス対策に効果のある栄養素と食品
欠食すると脳にとって必要な炭水化物の補給が不十分になり、イライラの原因にもなりますので、3食をきちんと摂取しましょう。以前から指摘されていますが、日本人の食の傾向としてカルシウム不足があり、今もって改善されていないようです。
ストレス対策に効果のある栄養素食品
カルシウム チーズ・牛乳・ヨーグルト・煮干・ひじき・昆布・干しえび・白須干・うなぎの蒲焼・ししゃも・大豆・きなこ・大根葉・モロヘイヤ・かぶの葉・菜の花・ココア・アーモンド・ごま
マグネシウム アーモンド・くるみ・ごま・ピスタチオ・落花生・大豆・昆布・ひじき・わかめ・ほうれん草・モロヘイヤ・チーズ・桜海老・しらす干
ビタミンC グァバ・イチゴ・レモン・パパイヤ・パセリ・パプリカ・ブロッコリー・モロヘイヤ・菜の花・ほうれん草・小松菜
ビタミンB郡 魚介・肉類

参照:
水野惇子,足立香代子:Visual Dermatology,7(4):411,2008.
平澤正夫:いま何を食べるか ほんもの食品15選(平凡社,1987)
食の安全を考える会

2008年05月06日

健康で長寿を楽しむ食生活<その2>

※本号では、白澤卓二先生の著書『100歳まで元気に生きる食べ方』(三笠書房)からヒントを得て、私なりに長寿を目指す皆さんに役立つ食生活のポイントをまとめてみました。

今号では、食材の効能などをより具体的に紹介していきます。食いしん坊でありながら好き嫌いの激しい私も、少しずつではありますが「体に良い」という視点から食材を見るようになりました。最近では干しシイタケから基準値を上回るホルムアルデヒドが検出されるなど、輸入食材にも多々問題点が指摘されています。国内でも賞味期限改ざんや産地偽装などの事例があったことを考えると、表示を鵜呑みにはできないかもしれません。でも「体に良い」食品を選ぶのですから、選択に際しては安全にも気を配りたいものです。

老化防止に効果的な食べ物
~多様な野菜や果物を摂取&ファイトケミカルの力も得て老化を防ぐ
「ファイトケミカル(phytochemical)」というと耳慣れないと感じられる方もおられるかもしれませんが、「ファイト」とは、ギリシャ語で「植物」のことで、「ケミカル」はご存知の「化学物質」という意味です。植物が紫外線の害や虫などから自らを守るために作り出した物質で、7つの栄養素(タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラル、繊維質、水)に入らない栄養素として注目を集めています。主に植物の色素や香り成分、アクなどに含まれていて、およそ1万種類もあるとされています。緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンなどに代表されるカロテン類、淡色野菜のイオウ化合物類、お茶や赤ワインに含まれるカテキンのポリフェノール類、ブルーベリーの色素のアントシアニン、柑橘類の苦味や香りの成分であるテルペン類などが挙げられ、これらには抗酸化作用や免疫を高める作用が認められ、ガン予防にも効果があることなどが知られています。
下記以外にも食材やサプリメントについての効果・効用について興味をお持ちであれば、『健康食事典』(朝日新聞社)や『ビタミン・バイブル』(小学館)が読みやすいでしょう。

①ブロッコリー
ビタミンC、カロテン、イソチオシアネート(発ガン物質の活性化抑制)、クロム(インスリンの働きを応援)、ビタミンU(胃潰瘍を防ぐ)を含み、食物繊維も豊富(動脈硬化、便秘予防)。短時間でゆでること(ビタミンCが熱で壊れる)。茎にビタミンCや食物繊維が多い。ゆで時間は3分。電子レンジでは、ラップかけて500Wで2分30秒が目安とされている。
(村★私は残念ながら好きな野菜ではありませんが、食卓に出ればひとかけらくらいは箸を伸ばすようにします)

②赤いトマト
リコピン(抗酸化)、カリウム(塩分排泄)、ケルセチン(ポリフェノールの一種で、毛細血管強化、動脈硬化予防、長寿遺伝子活性化。ブロッコリーやタマネギにも含まれる)などを含む。加熱しても有用。
(村★これも好き好んで自ずから食べたいと思うものではないのですが、努力します。たまに食べるとおいしいとも思うのですが…)

③リンゴ
400種類超の「ポリフェノール」含有(プロアントシアニジン、カテキンなど)。これらは果皮直下に多く含まれる。よく洗って皮ごと摂取するとよい。カリウムも多い。ペクチン(水溶性食物繊維)にも抗酸化作用あり、加熱するとその力は9倍。
(村★大好きです)

④ニンジン
β-カロテン(体内で必要なだけビタミンAに変換される。粘膜の乾燥を防ぎ、細菌感染に対する抵抗力上昇、抗酸化、悪性腫瘍抑制)。皮のすぐ下にあるので、皮はできるだけ薄くむくようにする。カリウムやカルシウムも豊富。
(村★これまた、生は苦手なのですが、煮物などは気になりません。努力目標としたいと思います)

⑤サケ
アスタキサンチン(カロテノイドの一種で、リコピンよりも格段に抗酸化力が強い)、他のビタミン類やDHA、EPAなどの不飽和脂肪酸も豊富。養殖ものではエサや薬物が不安だが、スコットランド産ならば天然に近い環境で養殖されているとのこと。
(村★これは魚の中でもかなり好物に入るものですから、刺身から焼いたものまで全てOKです。できるだけ天然を選びます)

⑥サバ、アジ、イワシ、サンマ
DHA、EPAなどのオメガ3系不飽和脂肪酸が豊富。
(村★これまた刺身、干物まで大好きです)

⑦鶏ムネ肉
カルノシン(活性酸素除去+乳酸中和:運動で筋肉が疲れるのは、体内で活性酸素が発生し、筋肉内で乳酸が蓄積し、pHが下がるため)が有用。メチオニン(必須アミノ酸)も肝臓を活発にする。しかも低カロリー。
(村★嫌いではないのですが、少し脂肪分が少なくてパサパサを感じやすいのが難点です)

⑧豚ヒレ肉
ビタミンB1(牛肉の10倍、豚バラ肉の2倍含有)は糖をエネルギーに変える。汗や尿からすぐに排泄されるので、「アリシン(タマネギ、ニンニク、ネギ、ニラ)」とともに摂取すると体内への吸収が高まる。脂肪は少なく(牛サーロインの1/2)、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンEも豊富。
(村★これまた、好きです。最近では、牛サーロインなども油が強すぎるように感じる年頃になりましたので、豚もロースからヒレにしてます。「アリシン」含有野菜も好き系統なものなので、併せて摂取しています)

⑨ショウガ
ジンゲロール(ショウガの辛味成分)が体を温め、血行よくする。味覚を刺激し、自律神経を活性化し、脂肪燃焼にも役立つ。脂肪細胞を小さく保つ(肥満→脂肪細胞が膨大化→アディポネクチン分泌↓)効果も。
(村★そういえば、ショウガ紅茶も定番ですね)

以下の食材も好きなものが多く、特に「ゴマ」は毎日いろんな食事にふりかけて食べています。
⑩唐辛子
「カプサイシン」が交感神経を刺激して、中性脂肪を燃焼させるとともに、アドレナリン分泌で発汗作用を高める。

⑪カレー粉
クルクミン(ターメリックの中の成分)をポリフェノールやローズマリーと同様にβアミロイドタンパクに加えると、神経細胞が殺されない(*アルツハイマー病に有用かも?)。肝臓を助け、悪玉コレステロールを低下させ、活性酸素を除去する。

⑫ゴマ
セサミンが活性酸素除去。コレステロールを下げて動脈硬化を予防。胃腸で分解されず、門脈で吸収される。

⑬クルミ
トリプトファンが多い(その他、牛乳、アーモンド、落花生、シラス干、カツオ、ワカメ、レバーにも多く含まれる)。ストレスに耐えるには脳内でセロトニン分泌が必要だが、トリプトファンはその合成に必要な成分だ。

⑭赤ワイン
フランス人は肉や乳製品などの動物性脂肪を多量に摂取しているにも関わらず、虚血性心疾患が少ないため、「フレンチパラドックス」とも称されている。近年では赤ワインのポリフェノールに動脈硬化を予防する効果があると考えられている。

朝食・昼食・夕食の注意点
・緑茶を1日5杯飲む
死亡率を低下させ、血圧やコレステロールを抑える。
・納豆、豆腐など血糖値を急激に上げない朝食を
ご飯は白米よりも玄米や五穀米を選ぶと噛む習慣がつき、食物繊維で便通もよくなる。野菜やワカメの入った味噌汁(大豆イソフラボン)を添えよう。パンなら全粒粉で、牛乳とサラダを添えよう。
・昼食はゆっくり噛んで食べよう
丼物や一皿料理の外食を避けて、おかずの多い和定食を選んでゆっくり噛んで食べよう。
・夕食は夜9時までに終える
遅くなるときには夕方に軽食をはさんで遅い時間の摂取量を減らすこと。インスリンを急に上げないように、①食物繊維豊富な野菜(サラダなど)→②メインの魚や肉(蛋白質、脂質)→③ご飯などの糖質 という順序が大切。

ガン予防の「8つの指針」
~国立がんセンター「科学的根拠に基づくがん予防」より

海外の指針では塩分がいきなり6gと制限されるので、日本人には厳しいです。私にとっては②が適度ですまない、③が不足気味、④がオーバーなのでもっと制限を、⑤は犬との散歩を活用してクリア、⑥は毎日の体重計測定を家族から義務付けられました。
①禁煙
タバコを吸わない人も、他人のタバコの煙を可能な限り避ける。
②適度な飲酒
具体的には日本酒換算で1日1合(ビールで大瓶1本)程度以内。飲めない人は無理に飲まない。
③野菜、果物を少なくとも1日400g摂る
野菜は毎食、果物は毎日。
④塩蔵食品・塩分の摂取は最小限に
具体的には食塩として1日10g未満、塩辛や練りウニなどの高塩分食品は週に1回以内。
⑤定期的な運動の継続
たとえば、毎日合計60分程度の歩行など、適度な運動や、週に1回程度は汗をかくような激しい運動を。
⑥成人期での体重を維持(太り過ぎない、やせすぎない)
中年期男性では、BMI(体重指数=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出される体重の指標)で27を超さない、21を下回らない。中年期女性では25を超さない、19を下回らない。
⑦熱い飲食物は最小限に
たとえば、熱いものは冷ましてから飲む。
⑧肝炎ウイルス感染の有無を知る
感染しているようであれば、速やかに治療(感染者)を、また未感染者も予防の措置をとる。

2008年01月13日

健康で長寿を楽しむ食生活<その1>

 ※本号では、白澤卓二先生の著書『100歳まで元気に生きる食べ方』(三笠書房)からヒントを得て、私なりに長寿を目指す皆さんに役立つ食生活のポイントをまとめてみました。

最近ではすっかり"アンチエイジング"という言葉が市民権を得て、ちまたに飛び交っています。皮膚科学会でも「見た目のアンチエイジング」として美容皮膚科というジャンルが定着していることからも、医療の世界においても同様であることがわかります(さらに、学会の演題の中で、美容系の割合が急増し、その会場に聴衆が集まっています)。
アンチエイジングという言葉からは「老化に対して抗う(あるいは不老長寿)」というイメージをもたれる方もおられるかもしれませんが、実際には「健康で長寿を楽しむ」というのがその本質だと思います。そういった意味では、「サクセスフルエイジング」「ウエルネスライフ」などといった言葉のほうがわかりやすいかも知れません。少し前には竹内一郎氏の『人は見た目が9割』(新潮新書)という本が売れたことからもわかるように、確かに「見た目」も大切でしょうが、これは健康を損なっている状態での話ではありません。ここ数年で同僚の若き死に接したり、友人が糖尿病になったり、膵炎で入院したりと、私自身に病気(特に生活習慣病)が発覚してもおかしくない年齢帯に入ったことを思い知らされました(まさしく男の厄年前後です)。それを契機に禁煙とダイエット、運動量増加に取り組んで、現在は何とか以前に比べると改善された状態になってきたところです。しかし、アンチエイジングに最も大切だと思われる食生活には無頓着で、不規則な食事時間(昼なし、遅い夕食など)、暴飲暴食、そして早メシなど悪い点を挙げればキリがない状態です。そんな折に、昨年末、白澤卓二先生の『100歳まで元気に生きる食べ方』(三笠書房)を手にする機会があり、自分の食生活を振り返ってみるきっかけとなったのです。皆さんもご一緒にいかがですか?

長寿は20~30%しか遺伝しない
(村上コメント★病気全般についても言えることですネ)
環境や食生活、ライフスタイルによって決まる。言いかえれば、これらを改善することによって寿命を伸ばすことができるのです。

長寿には50歳からの食生活が重要
(村★でもこれが難しいのよね…)
食生活を含めた生活習慣をどう改めるか?が重要。確かに普段の食生活や生活環境の積み重ねで生活習慣病へ突き進んで行くのです。しかし無理のないレベルで無意識に行えるくらいでないと継続できませんから、私のような意志薄弱な者は負担の少ない簡単なことから少しずつ慣らしてゆくのがよいのでしょう。体重が減少したり、悪かった血液検査の数値が改善すれば、それが褒美になり、モチベーションも持続できるのではないでしょうか?

老化は「肝臓、腎臓、動脈硬化」から始まる
(村★抗重力筋<大殿筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋など>も大切です)
肝臓や腎臓は加齢に伴って重量は軽くなりますが、脳や心臓などの重要な臓器はあまり変化しません。すなわち、脳や心臓などへの重要な血管さえ閉塞しなければ健康寿命は延長するのです。とにかく先ずは重要な箇所を守る、ということですね。今回は「食事・食生活」の話を中心にしていますので省略しますが、運動でも上述の老化とともに衰えやすい筋肉を鍛錬するのがよいとされています。例えば太極拳や日本舞踊など、中腰になる動作を継続している方の体年齢は実年齢より若いと言います。

寿命を伸ばす食事の3大ポイント
(村★「よく噛む」こと(一口30噛み)も付記されていました)
カロリー制限を行った上での報告ではありませんが、低インスリン、低体温、高DHEA-S血中濃度を示すヒトのグループは、そうでないグループに対して生存率が高いことが確認され、そうした変化がアカゲザルでのカロリー制限での研究においても報告されています。こうしたことから、ヒトにおいてもカロリー制限あるいは食生活の改善が寿命に影響を与えることが十二分に考えられます。

①体内の「インスリン」を大事に使う
(村★年齢とともにインスリン分泌量が減少するからです)
これには私自身が昼食をほとんどとらないで夕食が過剰になっているため、多いに反省させられました。近日、血糖測定器を購入して毎食後に経時的に血糖を測定してみようと思っています。自分の普段の食事内容によって、食後どのように血糖値が変化するのかが身をもってわかります。恐らくはGI(グリセミックインデックス)値が高いものを摂取すれば、血糖値は急上昇するという教科書通りのことを体験することになるのだろうと思いますが、実体験することでより強い動機付けになることが期待できます。
・朝食を抜かないこと
血糖が急増すると、インスリンが急激に消費される。毎食(1日3食)少量でも摂取をする。
・インスリンに負担をかけない朝食を食べること
ゆっくり血糖値を上げる食事がよい。ネバネバ食品(納豆、オクラ)、豆腐などが紹介されています。
②「カロリーの過剰摂取」をしない
(村★これはかなり有名な話なので、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか?)
「カロリー制限」(食餌中の特定成分の制限や毒性物質の減少、という意味ではない)がアンチエイジングや寿命延長に有用であることは、現在までに無脊椎動物から大型哺乳類にいたるまでよく知られています。成長を遅延させたり、代謝率(単位組織あたりの酸素消費率)を低下させることによって寿命が延長する、などと言われていたこともあります。これらは現在では否定されています。一時はカロリー制限にも体脂肪減少との関連が言われ、これも否定的でしたが、最近では脂肪細胞が多くの生理活性物質を産生していることなどから、脂肪細胞機能との関連が再評価されてきています。また、これらは進化の過程(環境変化に伴って頻繁に生じる飢餓状態に対応するなど)で獲得してきたものであり、遺伝子やその産物がかかわるとの考え(Hollidayの仮設)が最近では支持されているようです。

過食を制限することの有用性に関しては、貝原益軒の『養生訓』にも「それは飲食を適度にして過食をせず、脾臓と胃とを傷つけて病を誘発する...」などと出ていること、「小食に病なし」あるいは「大食は病のもと」との格言もあるように、経験則から自ずと導かれている道理なのかも知れません。白澤卓二先生の著書では、下記のようなことが記されていました。
・DHEA-Sは20歳でピーク、年齢とともに直線的に低下
カロリー制限で筋肉にたまるストレスが押さえられ、DHEA-Sの減少を抑制できる。
・βアミロイドタンパクの沈着(脳の老人斑)
アルツハイマー病発症モデルマウスでは、高脂肪食では普通食の2倍に増加するが、カロリー制限では逆に3分の一に減少。すなわち、カロリー制限をし、食事を低脂肪にすればアルツハイマー病発症の危険性が下がる可能性がある。
・「腹八分目」ではなく、「腹七分目」を目指せ
…とのこと。これが難しい。特に夜が…。
・目標体重は「20歳の時の体重+5kg」の維持、だそう
私の場合は上記が実践されないので、これも到達できず。
・一日に必要とするエネルギー量を計算する

一日に必要とするエネルギー量=一日の基礎代謝量(1500kcal)×生活活動強度(Ⅲ段階:中程度=強度は1.7)=2550kcal(私自身の概算)。でも実際の摂取量をカロリー計算してみると、その多さに愕然としてしまいます。これは先頃話題になった岡田斗司夫氏の『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)にも紹介されています。200 kcalというと、ご飯なら茶碗軽めの一杯、小さめのあんぱん1個くらいですが、これを消費するのに必要な運動は1時間のウォーキングと同程度であることを考えると、いかに運動でカロリーを消費するのが困難か?ということもわかります。
また一度万歩計をつけて、1週間の平均歩数を調べてみるとよいかもしれません。私などは1万歩どころか6千歩/日しか歩いておらず驚愕しました。摂取カロリーを制限するほうが、はるかに現実的だと思い知りました。
③体のサビつきを防ぐ(抗酸化)
(村★私自身、大層興味がある分野でもありますので、後日項を改めてご紹介します)
個人的には日常生活での活性酸素からの防御が困難だからこそ、サプリメントや水素水なども活用したいと思っています。
・活性酸素を増やす加工食品類を避ける
コンビニ弁当やファーストフードの食品添加物の多い食事を避ける。
・ファイトケミカルの摂取
赤ワインのポリフェノール、緑茶のカテキン、キノコのβ-グルカン、緑黄色野菜のβ-カロテンなどを積極的に活用すること。多彩な野菜や果物の摂取に加えて、無農薬野菜や無添加食品を選択することも重要。

参照:養生訓(現代語訳)(<http://home.att.ne.jp/theta/mo/you/genbun.html>)、下川 功(ANTI-AGING MEDICINE 2005;1(2):24-28)

2008年01月13日

入浴が皮膚を乾燥させる?

正しい入浴剤の選び方、入浴の仕方を知ろう

 お風呂の記憶にはどのようなものが残っていますか? 私には幼少時に自宅のお風呂が壊れてしまい、しばらくの間近所の銭湯に通った楽しい記憶があります。広いお風呂、入浴後のヨーグルトなどとともに、菖蒲湯(しょうぶゆ)などの変わり湯があったためでしょう。母によると、私は幼少時にはいわゆる「カラスの行水」どころか大層な風呂嫌いだったそうですが、何とか効を奏したのが「おもちゃ」とカラフルな「入浴剤」だったそうです。思い起こせば、実家が愛媛にあったこともあり、中高生になってからも冬には「みかん類の皮」がよく風呂に浮かんでいたような気がします。みかんにはさまざまな効果があります。果皮に含まれる「リモネン」という精油には血行を促進し、湯冷めしにくく、寝つきがよくなる作用があります。ほのかに甘酸っぱい匂いもリラックスさせてくれます。また、みかんの皮に含まれるビタミンCは、一番風呂に含まれる塩素による酸化作用から肌を守ってくれる効果があると考えられています。
 最近ではスーパー銭湯や健康ランドなるものも少なくなく、月変わりで薬湯が設けられています。松湯(1月)、大根湯(2月)、よもぎ湯(3月)、桜湯(4月)、菖蒲湯(5月)、ドクダミ湯(6月)、桃湯(7月)、はっか湯(8月)、菊湯(9月)、生姜湯(10月)、蜜柑湯(11月)、柚子湯(12月)などhttp://www.yunokuni.com/index.html)。入浴に伴う物理的・化学的な効果については以前「温泉と皮膚」と題して書きましたので、今回は家庭でも気軽に使用できる入浴剤を題材にして、皮膚の保湿と薬剤の吸収について一緒に考えてみたいと思います。

入浴剤の種類と成分
~入浴剤の効果って、どんなもの? その種類と特徴を知ろう。

 入浴剤は化粧品に属するものと医薬部外品に分かれます。さらに製品に含有される成分は多種あるものの、その製品に表示される効能効果は医薬部外品と言えども、「あせも、荒れ性、冷え症、腰痛……」などに限られています。すなわち、いずれの入浴剤も同様の効能効果をうたっているため、消費者の立場に立てばどれを選べばいいのかわからないのが実情であろうと思われます。成分的には、温泉と薬用植物湯に由来する成分を応用したものが大半を占め、それらに酵素、油性成分、界面活性剤、香料、着色料などが添加されています。

①無機塩系
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、塩化ナトリウムなどが主成分で、粉末顆粒状が多いといえます。これらの成分は皮膚表面のタンパク質と結合し、体全体に膜を作り、熱の放散を防ぐために温熱効果が持続します(湯冷めしにくい)。硫酸ナトリウムは血液循環をよくする、重曹は皮膚の脂肪汚れを乳化するなどの清浄効果も知られています。「○○温泉の湯」などの名称で販売されている製品は概ねこのタイプに属し、各地の温泉成分を応用したものとなっています。

②炭酸ガス系
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩とコハク酸、フマル酸などの有機酸を組み合わせた錠剤タイプ。花王の「バブ」が代表的な製品で、中和反応により発生した炭酸ガスを浴水に溶け込ますように工夫されております。炭酸ガスは経皮吸収されると皮内・皮下で血管を拡張させて、血圧の低下と血流量を増加させます。その結果、全身の新陳代謝が促進され、筋肉に蓄積された乳酸の排泄も促進されるので保温効果や疲労回復効果が期待されます。吸収された炭酸ガスは最終的には肺から呼吸とともに排出されます。

③薬用植物系
センキュウ、トウキ、ボウフウ、チンピ、カミツレ、ハッカなどの生薬を配合しています。薬湯としても古くから利用されており、主には生薬に含まれるさまざまな精油が肌をコーティングし、温熱効果を高め、皮膚の炎症を抑えたり、血流増加を促すとされています。また、生薬独特の香りによるリラックス効果も期待されます。

④酵素系
パパイン、パンクレアチンなどのタンパク質分解酵素を無機塩類系成分と組み合わせることで、入浴効果を高めつつ、皮膚表面や毛穴の汚れを酵素の力で皮膚に無理なく、物理的刺激を与えないで清浄することが期待されます。

⑤清涼系
メントールによる冷感や炭酸水素ナトリウム、硫化アルミニウムカリウム(ミョウバン)による清涼感、かつ青色を基調とした色彩を浴水につけることによって視覚的にも爽快感が得られることが期待されます。

⑥スキンケア系
セラミド、コレステロールエステル、米胚芽油、エステル油、スクワラン、ホホバ油、ミネラルオイル、米発酵エキスなどの保湿成分を配合し、剤型的には液体がほとんどです。入浴により角質層が膨潤するために、こうした成分が効率的に皮膚へ浸透し、入浴後の乾燥を抑制することが期待できます。皮膚科で推奨されるのはこのタイプが多く、2e(資生堂)、エモリカ(花王)、バスキーナ(持田製薬)などがあります。

  私自身は、入浴時には頂き物の「○○の湯」とベビーオイルを数プッシュ分バスタブに入れて使用していますが、これをするようになってからは冬期の乾燥による痒みと皮膚症状がかなり緩和されました。ものぐさな私には合っているようで、現在ではほとんど習慣化しています。

入浴前後での皮膚変化
~入浴によって皮膚は乾燥する?

 「入浴によって皮膚が乾燥する」と聞くと、違和感を覚える方もおられるかも知れません。水に漬かると皮膚(角質層)が水分で飽和(水和)するのに……。しかし、実際に皮膚が乾燥傾向にある人が通常の入浴を行うと、入浴後に皮膚の乾燥症状が悪化したり痒みが増したりすることは少なからず経験されています。皮膚科でも、乾燥性皮膚病の患者さんには、入浴時の石鹸などの使用ばかりではなく、入浴そのものも制限したり、入浴後、皮膚が完全には乾ききらないうちに油分を含んだ保湿剤の使用を徹底させるなどの指導を行うように教えられます。これはどうしてかと言うと、入浴時や入浴直後は皮膚が水和(皮膚に十分に水分が浸透している)しているため、肌は一見潤っているように感じられますが、様々な保湿因子も流れ出てしまっているために時間が経つに従って、以前にも増して乾燥(角質層の水分量低下)が起きてしまうからです。保湿剤を含めた局所薬は無傷の皮膚よりも角質層のバリアが破壊されていたほうがよく浸透し、湿った角質層では乾燥した角質層よりも10~100倍有効に浸透するとも言われています。入浴で角質層が水和すると、角質細胞間の距離が拡大されるため、結果として細胞間の結合と粘着力を低下させて落屑を促進させてしまいます。一方角質層が適度な水分を含むことは各種の酵素の働きにも必要であり、角質デスモゾーム(接着分子)の正常な分解と落屑につながります。シャワーや短時間の入浴ではこうした効果は薄れるので、20分くらいじっくりとお湯に浸かり、その後すぐにワセリンなどの保湿剤を使用することがお勧めです。  上述のように、入浴時の角質層が水和した状態では、さまざまな成分が皮膚へ吸収されやすくなります。入浴中には広範囲にわたる成分を適用できる可能性から、入浴剤の使用が有効なスキンケアの手段としても期待されています。

角質層の水分保持メカニズム
~皮脂膜、NMF(天然保湿因子)、細胞間脂質の連携が重要
①「皮脂膜」が皮膚表面を覆って、水分の蒸発を防ぐ
皮脂腺からの皮脂と、表皮細胞由来の表皮性脂質、さらには汗が皮膚表面で混じりあい、水分と油分が乳化した状態で「皮脂膜」が作られています。皮脂膜はシール状となって皮膚表面を覆い、角質層の水分喪失を防いでいます。石鹸を使用するとすぐに皮脂膜は洗い流されてしまうので、ツッパリ感を感じてしまいます。
②「NMF」が水分をひきつける
NMFは遊離アミノ酸やP.C.A、尿酸などのアミノ酸代謝物などの水溶性タンパクや無機塩から成ります。水につけたからといって簡単に流れ出ないのは細胞間脂質(③参照)に守られているからですが、洗剤などで過度に脱脂されると、脂質が破壊されるとともにNMFも急激に失われてしまいます。
③「細胞間脂質」がサンドイッチ状に親水部間に水分を挟み込む
スフィンゴ脂質と総称される、セラミドの事です。化粧品成分として使用されるものには、哺乳類や植物からの抽出以外にも、微生物醗酵を利用したものもあり、当院の院内製剤は紀文の醗酵セラミドを使用しています。

参照:湯の国Web(http://www.yunokuni.com/index.html)、ツムラ温泉科学プロジェクト(http://www.onsenkagaku.com/science/03_03.html)、洗いの殿堂(http://www.arainodendo.com/)、お風呂ゼミナール(http://www.kao.co.jp/bath/)、岩瀬ら(皮膚病診療1999;21(7):655-62)、Gutman et.al(Arch Dermatol 2005;141:1556-59)、浅田康夫(美容皮膚科学事典 2002;中央書院)など

 

2007年12月20日

ジェネリック医薬品について

皮膚病AtoZ 「ジェネリック医薬品について」

最近よくテレビコマーシャルや新聞広告で見かけるジェネリック医薬品(後発医薬品)という言葉も、だいぶ認知されてきたように思います。皆さんはどうお感じになっているでしょうか? 私自身はジェネリック医薬品のメリットを認めつつも、情報不足や私自身の経験不足から2006年7月現在では数剤の導入(尿素製剤、抗生物質含有軟膏、抗アレルギー剤やビタミン剤の一部)にとどまっています。今回は知人の皮膚科医と雑談をしたことがきっかけで、ジェネリック医薬品について、次のような観点から考えてみました。

1)薬剤費が安くなる?コスト面について
(福井大学付属病院薬剤部;後藤ら.参考③より)
薬価が収載当初でも先発医薬品の7割であり、その後は市場価格などを加味して引き下げられる(安売りすれば薬価も下がる仕組み)ので患者様の窓口負担は低下します。日本において欧米並みに後発医薬品が普及すれば、年間約6兆円の薬剤費のうち1~2兆円が削減できるとも試算されています。当院では完全院外処方ですので、薬価差益は最初から存在しません。先発医薬品の薬局への納入価が対薬価90%程度であり、さらに消費税を含めると薬価差益がほとんどないと考えられるのに対し、後発医薬品では平均すれば対薬価約60%(中には30%以下もあるという)であり、さらに次の薬価改定で40%程度引き下げられることが多いという現実は何を意味するのでしょうか?全世界的にみて、安価な後発医薬品が発展途上国・医療経済困難者などに対して非常に重要かつ有用であることは判りやすいのですが、欧米とは異なり、国民皆保険の日本において薬価差益を生み出す二重価格が本当に必要なのでしょうか? また、医薬品選択において価格主体で誘導されるのは如何なものでしょう?
*米などでは加入している保険の種類によってかかれる医療機関、使える薬剤も自ずと制限されてしまいます。

2)品質・有効性・安全性について
後発医薬品では承認申請時に要求される試験として、
①1錠中の含有量の規格や有効成分の確認試験法
②安定性に関する加速試験(完全包装品が対象。より過酷条件での試験は後発品メーカーの自主的検討項目)
③先発医薬品との生物学的同等性(1997年のガイドラインで示された「薬の吸収パターンが同じであることを証明すれば、薬の効き目が同じ、つまりは治療効果も同等であるとする前提的な原理」に基づいて、健常人での血中濃度を比較した試験)
などがあり、毒性試験は全て免除されています。さらに外用剤では、生体への吸収過程が内服薬などに比べて少ないために生物学的同等性試験は免除され、浸透圧やpHなどの物理化学的性質などが同等性担保の視標になる場合もあると言います。
「先発医薬品と後発医薬品では未知物の検出率が異なる」などの報告、「実際に臨床効果が異なっていた」「報告されている薬物動態上は有意差がないものの、実際には食後に内服する薬剤がガイドラインに則って絶食時だけでのデータである」あるいは「動物での試験では薬物動態の指標となる値が先発医薬品に劣っていた」「ある種の外用剤では防腐剤が多い」「先発医薬品にも個体差は出てしまうが後発医薬品ではその差が大きい」などの数々の報告や意見もあります。また外用剤においては、たとえ主剤が同じであろうとも基剤が異なれば皮膚への吸収性(薬の効力)が異なることはよく知られており、先発医薬品と後発医薬品では当然ながら基剤が異なります。

これらの報告を目にすると、本当にTVコマーシャルで言っているような「同じ効果」と言えるのかどうか不安になります。さらに試験施設や試験方法が異なるために、本来は同じであるはずの先発医薬品の検査値も異なっていたりするため、比較も困難な状況であり、医療従事者の立場でもデータが不足していて判断できかねる状況にあります(統一された条件下での製品比較情報が少ない)。乱暴な例えかもしれませんが、一流メーカーのステイプラー(ホッチキス)と百円ショップのステイプラーがあったとします。針は同じものだとします。目的は同じく紙を綴じることにありますが、綴じる能力や使いやすさ、壊れる(不具合を起こす)頻度は果たして似たようなものでしょうか?薬も同様で「主剤」は同一で同じ効果をもたらします。しかし、その周囲に使われるもの(基剤)によってできた製品は少なからず変わってきます。それが薬剤の安定性であったり、体内や皮膚への吸収性、使用感(内服しやすい、味がよい、塗り心地に優れる、など)に違いが出てきます。

中には非常に喜ばしい改良を加えて発売しているメーカーもあります。例えば味。これは特に子供にとっては大切な問題です(苦味を消す、美味しい味付けにする)。また先発品にはない、剤形で発売しているものもあります。粉が苦手な子供用にゼリーにする、軟膏やクリーム基剤しかない外用剤をローションタイプにする、同じような液状の外用剤でも、よりさっぱりとした使用感にする、クリーム剤の外用した時の伸びなどの使用感を改善するなど工夫が施されています。さらには「主剤」ではなく「基剤」にあたるところの成分を変更したり、注射剤をキット化することによって、より安全性や簡便性に配慮した優れた製品もあります。このような良い面も多数あります。こういう努力をみると「頑張れジェネリック!」と言いたくなります。

3)医薬品情報(副作用情報など)について
先に記したように薬品には主剤以外に基剤があり、基剤が異なっているため副作用が全く同一かどうかはわかりません。外用剤による「かぶれ」をとっても基剤の成分による「かぶれ」があるように、先発品メーカーの副作用情報がそのまま後発品にあてはまることはないと考えます。また、先発品メーカーと比較すると医師や薬剤師への医薬品の情報提供が手薄に思われます。改善を期待したいと思います。

4)一般名処方と代替調剤について
一般名処方とは医師が薬剤の商品名ではなく、一般名(成分名)で処方する(例えば、イトリゾールではなくてイトラコナゾール)ことで、薬剤師が先発あるいは後発医薬品の中から患者様に情報を説明して薬剤を選択できるシステムですが、院外処方では実際の製品として何が使用されているかが不明です。TVコマーシャルのいう如く「先発品と後発品の効果が同じ(少なくとも基剤が異なっているにも関わらず、本当にここまで表現して許されるのであろうか?基剤の違いによる副作用発現などに関して情報は十分に蓄積されているのであろうか?)」という前提に立って、初めてこうした処方法はなされるものだと思います。代替調剤とは薬剤師が患者様へ説明後に医師の了解なしに同一成分薬へ切り替えることを言いますが、現時点では薬効の大きい薬剤の変更には抵抗感を覚えます。薬価差益で薬剤が選択される可能性もありますし、私自身がジェネリック医薬品について把握しきれていないことも一因です。

5)皮膚科関連のジェネリック医薬品について
①抗真菌内服薬
イトリゾールのジェネリックについては、「不特定残留溶媒総量が多い」「元来吸収性が良くないとされている薬剤であるのに、空腹時データしかない」ものや、「イヌの試験において薬剤血漿中濃度が先発品より低いものが存在する」などの報告から、採用を見送っています。ラミシールのジェネリックについては、発売されて間もなく、相当数のメーカーから販売されていて未だ比較された報告もないことから、現時点では未採用としています。今後の検討課題です。
②抗アレルギー薬
血中薬物動態は先発品と大差ないとされています。臨床効果の差の有無に関する報告は少ないようです。
③抗ウイルス薬
ゾビラックスのジェネリックには先発品には存在しなかった内服ゼリー、シロップ、ドライシロップなどがあります。
④抗生物質
内服抗菌薬は一般的に試用期間が短く、あえて臨床的に有用性が同等であるとの報告が少ない薬剤を選択する必要がどこまであるのでしょうか? 長期内服する抗アレルギー薬などと比較すると価格差は大きくないと思われます。
⑤ステロイド外用薬
種類が非常に多く、既存の先発品の中にも使用経験のないものもあり、基剤の違いによる薬効の差、さらには多剤との混合の際の問題(組み合わせによってはpHのために薬効が失活するなど)などが危惧されるため、現時点では先発品にない剤形の薬剤のみの導入に留まっています(先発品には軟膏とクリーム基剤しかなく、後発品にはローション剤が存在する場合など)。

現時点では未だジェネリック医薬品に関して十分に議論されているとは思われず、情報も少ない状況であり、「ジェネリックを選択する」ことには選択者(医師、薬剤師、患者)に自己責任というリスクも危惧されます。ある先発品メーカーのMR氏が「自分の会社が、特許が切れれば、薬価をうんと安くすればいいのに…」と言った言葉が印象的でした。先発品にはない工夫がなされたジェネリックに期待したいと思います。

下記資料を参考あるいは一部引用いたしました。
オレンジブック総合版, ②日本ジェネリック研究会, ③澤 明、根本 治 編集:ジェネリック・ガイド Monthly Book Derma.No.113,全日本病院出版会,2006
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2006年12月08日

温泉と皮膚

皮膚病AtoZ 「温泉と皮膚」
温泉と皮膚

先日、久しぶりに温泉へ行きました。ここから程近い鬼怒川温泉です。九州にいた頃はよく温泉へ行っていましたが、北千住で開業してからは時間がとれずご無 沙汰していました。東京ドームシティのラ・クーアも清潔で設備が整っていて気持ちがよいのですが、いかんせん混雑ぶりに辟易してしまいます。それに比べる と温泉地では適度な人ごみですし、途中の行程やその地域の環境(森林浴効果など)を楽しむこともできます。温泉旅館などに宿泊すれば、お料理も楽しみの一 つになります。
温泉利用は、体を休め、疲労をとって体力を養う「休養」、心身を休ませて健康を保つ「保養」、病気治療のため体を休める「療養」の三つに大別することができ、これらを「温泉の三養」と呼ぶそうです。私はこれに料理を楽しむべく「栄養・滋養」を足して、「四養(しよう)を しよう??」として、温泉を楽しんでいます。「お気に入りの温泉、あるいは温泉宿はどこですか?」と問えば皆さんすぐに数件を答えてくださるほど日本人に とって温泉は馴染みの深いものであるとともに、人それぞれに思い入れが異なるものであるとの感を強くします。雰囲気、料理、泉質(効能)、値段などの価値 基準が異なるため仕方のないことなのでしょう。

今回、鬼怒川温泉では、「温泉と皮膚」について考えてみました。よく美人湯あるいは美肌 湯などと呼ばれる温泉があります。大学時代、私がよく同級生とクラブ活動終了後に行っていた佐賀県の古湯温泉(不老長寿の薬を探しに日本に来た徐福が約 2200年前に発見したとされるもの。アルカリ性単純泉)も“美人の湯”と呼ばれていました。
一般的には「日本三大美人の湯」として、群馬県の 川中温泉(硫酸塩泉)、和歌山県の龍神温泉(重曹泉)、島根県の湯の川温泉(弱アルカリ性単純泉)、「日本三大美肌の湯」としては佐賀県の嬉野温泉(含食 塩重曹泉)、島根県の斐乃上温泉(アルカリ性単純泉 or 放射能泉)、栃木県の喜連川温泉(含硫黄―ナトリウム・カルシウムー塩化物泉)が知られていま すが、これらの共通点としては「アルカリ性」である、「Cl-(塩素イオン)の量よりNa+(ナトリウムイオン)の量の方が100mg/l以上多い」くら いのもので、どうも根拠は曖昧なようです。

温泉・温泉地の効果
~物理的効果(温熱・浮力・水圧)、化学成分による効果、変調効果、環境効果について

先ず、温泉の物理的効果として「温熱」 (血管拡張・リンパ循環促進、皮膚呼吸の刺激・新陳代謝促進、鎮痛・筋緊張緩和など)があり、一般的に42℃以上の熱いお湯では神経系・循環器系を興奮さ せ刺激するといわれ、38℃以下のぬるいお湯では逆に神経系・循環器系の興奮を抑え、鎮静・鎮痛作用を示すと言われます。また、温泉に溶けているイオンや 化合物が皮膚の蛋白質と結びついて皮膚表面を被覆して熱放散を妨げるため、真水に比べると保湿・保温効果(湯冷めしにくい)を発揮します。「浮力」(体重が軽くなり、入浴中の運動が容易になり、関節への負担が軽減される)を利用して、変形性関節症などのリハビリにも用いられます。「水圧」 によって下半身の血液が胸郭や心臓へ戻り、心臓が血液(水分)が多いと勘違いして利尿ホルモン分泌するため、体液の一部が尿として排泄され、軽度の脱水傾 向となり、見かけ上の血液量が減って心臓の負担が軽減されます。水圧に抗して腹式呼吸を行えば呼吸筋の負荷訓練にもなります。
「化学成分による効果」としては、「血管拡張作用」と「殺菌作用」 などが挙げられます。炭酸ガスや硫化水素ガスなどが皮膚を通して吸収され、血管を拡げる(この炭酸ガスを利用したのが花王の入浴剤「バブ」)ので、血管抵 抗が減って血液循環がよくなり血圧も低下します。筋肉内の疲労物質(乳酸など)も除去しやすくなり、疲労回復につながります。また草津温泉がアトピー性皮 膚炎に有用とされていますが、pHが低いこととマンガンやヨウ素イオンによることが知られています。
体内に吸収された温泉成分の刺激や、反復して入浴することによる刺激にて神経系や内分泌系に作用する「変調作用」。さらには地形・気候・植生などが変化(転地)することによって、精神安定(鎮静)作用が得られ、「環境効果」とも言えます。

温泉とアトピー性皮膚炎
~皮膚の清浄化(殺菌作用)

「ア トピー性皮膚炎によい温泉は?」との話もよく耳にします。通常、皮膚のpHというのは皮膚そのもののpHではなく、皮脂膜のpHを示しており、本来は皮脂 に含まれる脂肪酸や汗に含まれる乳酸やアミノ酸などによってpH4.5~6.5の弱酸性の状態に保たれています。皮膚の「酸外套」とも言われ、細菌からの 防御機能の一端を担っています。それがアトピー性皮膚炎患者さんでは中性からアルカリ性域に傾いていること、また皮膚での分泌型IgA(細菌をやっつける 抗体)が減少していることによって、皮膚表面での細菌(主にブドウ球菌)が増加する結果となります。一部の細菌から放出される毒素(スーパー抗原)がアト ピー性皮膚炎の増悪因子になることも知られています。
考えられる温泉入浴による一番の効用は、「皮膚の清浄化作用」ではないかと思います。泉質としてのpHが酸性であることから、皮膚表面のpHを正常な状態に近づける、マンガンやヨウ素、銅イオンが細菌に対して殺菌作用を示すのも一因でしょうが、それ以上に皮膚表面の様々な老廃物を単純に除去する入浴・洗浄効果が大きな要因ではないでしょうか?
その他に、高張性の強食塩泉では浸透圧で皮膚表面の水分を除去するため、海水浴と同様に「じゅくじゅくした湿疹」に有効な場合もありますが、当然ながらし みて痛い(痛みで痒みが軽くなるという人もおられますが)ものですし、アルカリ性単純泉や重曹泉では清浄化効果が高くて有用、硫酸カルシウムや硫酸マグネ シウムなどのにがり成分が多いほうが皮膚蛋白質を凝固させて皮膜形成になるので保湿に有用とも言われます。高温であれば、痒みは強く感じられますから、そ の後の掻き破る行為につながることもあるでしょう。硫黄泉では角質溶解作用が強く、よけいに肌荒れを起こす方もおられます。
このように人様々な 作用を生じますので、「アトピー性皮膚炎によい温泉」というのは、ご本人に合った温泉ということです。但し循環湯よりは源泉掛流しが塩素や細菌の観点から はよいでしょう。いずれにせよ、温泉だけを過信せず、その後の保湿剤などのスキンケアは欠かせません。

美肌?と温泉成分
~重曹泉(ナトリウムー炭酸水素塩泉)による効果=洗浄効果

油で汚れたお皿を冷水につけるよりも、お湯につけておいた方がよく汚れが取れます(温度があがると洗浄能力が高まる)。さらにナトリウムイオン(Na+)は水分を蓄える作用以外にも、皮脂の成分である脂肪酸(R-COO-H)と結合するとR-COO-Na(石鹸)に化学変化するために、Na+が多いお湯では石鹸効果に よって皮膚表面がスベスベ・ツルツルに感じられます(グリセリン発生量が多いとヌルヌル感)。また、炭酸水素イオン(HCO3-)は洗浄補助剤となって Na+の石鹸効果を高めます。カルシウムイオン(Ca+)やマグネシウムイオン(Mg+)が少ない水(いわゆる軟水)では石鹸の泡立ちがよいですね。塩素 イオン(Cl-)が多いと石鹸効果が阻害されます。石鹸が高価であった時代には、これらの泉質は非常に有用であったのかも知れません。確かに重曹泉に入浴 した時には自分の肌がスベスベに感じられて気持ちよいものです。

*  *  *
私なりに温泉地にて、温泉というものについて皮膚との関わりという観点から、少し科学的に書いてみました。皆さんの温泉への興味につながれば幸いです。
最後に、耳よりな話を一つ。先日、「Blue Mercury」 という活性水素水を製造販売している会社の室田社長にお会いした時に、「水素水を飲むよりも、水素風呂に入って皮膚吸収を活用したほうが抗酸化作用に優れ る」というお話を伺いました。これは実に画期的で、毎日お風呂に入りながら健康維持(アンチエイジング)を図れるという願っても無い事で、このシステムを 利用した銭湯を計画中とのことでした。風呂好き民族である日本人のためにも、温泉・入浴の効能などのさらなる科学的な解明が待たれます。話は逸れますが、 別府に九州大学温泉治療学研究所(温研と呼ばれていましたが、後に生態防御医学研究所として統合)があり、そこの寮に同僚数人で泊めて頂き、ふぐの刺身に 肝の薬味をたっぷりつけてたらふく食べて、広い湯舟の温泉につかって夜中まで宴会をした楽しい記憶があります。気のおけない人達と、美味しいものを食べ、 美味しいお酒に気持ちよい温泉、ここまで揃えばどんな温泉でもストレス発散の特効薬になりますよね。あ~、あの時よ、もう一度……。余り情報ばかりに振り回されずに、ご自身に合った身近な温泉を探す、遠くても心身ともにリラックスできて温泉を楽しめればそれで良いのでしょう。

●参考文献
「温泉の科学」,「群馬大学 草津分院 温泉医学研究所」,「日本一の美人の湯ってどこ?」,「温泉郷」,「ツムラ温泉科学プロジェクト」,『温泉の医学』(飯島裕一著/講談社現代新書)など。

2006年08月03日

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