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ジェネリック医薬品について

皮膚病AtoZ 「ジェネリック医薬品について」

最近よくテレビコマーシャルや新聞広告で見かけるジェネリック医薬品(後発医薬品)という言葉も、だいぶ認知されてきたように思います。皆さんはどうお感じになっているでしょうか? 私自身はジェネリック医薬品のメリットを認めつつも、情報不足や私自身の経験不足から2006年7月現在では数剤の導入(尿素製剤、抗生物質含有軟膏、抗アレルギー剤やビタミン剤の一部)にとどまっています。今回は知人の皮膚科医と雑談をしたことがきっかけで、ジェネリック医薬品について、次のような観点から考えてみました。

1)薬剤費が安くなる?コスト面について
(福井大学付属病院薬剤部;後藤ら.参考③より)
薬価が収載当初でも先発医薬品の7割であり、その後は市場価格などを加味して引き下げられる(安売りすれば薬価も下がる仕組み)ので患者様の窓口負担は低下します。日本において欧米並みに後発医薬品が普及すれば、年間約6兆円の薬剤費のうち1~2兆円が削減できるとも試算されています。当院では完全院外処方ですので、薬価差益は最初から存在しません。先発医薬品の薬局への納入価が対薬価90%程度であり、さらに消費税を含めると薬価差益がほとんどないと考えられるのに対し、後発医薬品では平均すれば対薬価約60%(中には30%以下もあるという)であり、さらに次の薬価改定で40%程度引き下げられることが多いという現実は何を意味するのでしょうか?全世界的にみて、安価な後発医薬品が発展途上国・医療経済困難者などに対して非常に重要かつ有用であることは判りやすいのですが、欧米とは異なり、国民皆保険の日本において薬価差益を生み出す二重価格が本当に必要なのでしょうか? また、医薬品選択において価格主体で誘導されるのは如何なものでしょう?
*米などでは加入している保険の種類によってかかれる医療機関、使える薬剤も自ずと制限されてしまいます。

2)品質・有効性・安全性について
後発医薬品では承認申請時に要求される試験として、
①1錠中の含有量の規格や有効成分の確認試験法
②安定性に関する加速試験(完全包装品が対象。より過酷条件での試験は後発品メーカーの自主的検討項目)
③先発医薬品との生物学的同等性(1997年のガイドラインで示された「薬の吸収パターンが同じであることを証明すれば、薬の効き目が同じ、つまりは治療効果も同等であるとする前提的な原理」に基づいて、健常人での血中濃度を比較した試験)
などがあり、毒性試験は全て免除されています。さらに外用剤では、生体への吸収過程が内服薬などに比べて少ないために生物学的同等性試験は免除され、浸透圧やpHなどの物理化学的性質などが同等性担保の視標になる場合もあると言います。
「先発医薬品と後発医薬品では未知物の検出率が異なる」などの報告、「実際に臨床効果が異なっていた」「報告されている薬物動態上は有意差がないものの、実際には食後に内服する薬剤がガイドラインに則って絶食時だけでのデータである」あるいは「動物での試験では薬物動態の指標となる値が先発医薬品に劣っていた」「ある種の外用剤では防腐剤が多い」「先発医薬品にも個体差は出てしまうが後発医薬品ではその差が大きい」などの数々の報告や意見もあります。また外用剤においては、たとえ主剤が同じであろうとも基剤が異なれば皮膚への吸収性(薬の効力)が異なることはよく知られており、先発医薬品と後発医薬品では当然ながら基剤が異なります。

これらの報告を目にすると、本当にTVコマーシャルで言っているような「同じ効果」と言えるのかどうか不安になります。さらに試験施設や試験方法が異なるために、本来は同じであるはずの先発医薬品の検査値も異なっていたりするため、比較も困難な状況であり、医療従事者の立場でもデータが不足していて判断できかねる状況にあります(統一された条件下での製品比較情報が少ない)。乱暴な例えかもしれませんが、一流メーカーのステイプラー(ホッチキス)と百円ショップのステイプラーがあったとします。針は同じものだとします。目的は同じく紙を綴じることにありますが、綴じる能力や使いやすさ、壊れる(不具合を起こす)頻度は果たして似たようなものでしょうか?薬も同様で「主剤」は同一で同じ効果をもたらします。しかし、その周囲に使われるもの(基剤)によってできた製品は少なからず変わってきます。それが薬剤の安定性であったり、体内や皮膚への吸収性、使用感(内服しやすい、味がよい、塗り心地に優れる、など)に違いが出てきます。

中には非常に喜ばしい改良を加えて発売しているメーカーもあります。例えば味。これは特に子供にとっては大切な問題です(苦味を消す、美味しい味付けにする)。また先発品にはない、剤形で発売しているものもあります。粉が苦手な子供用にゼリーにする、軟膏やクリーム基剤しかない外用剤をローションタイプにする、同じような液状の外用剤でも、よりさっぱりとした使用感にする、クリーム剤の外用した時の伸びなどの使用感を改善するなど工夫が施されています。さらには「主剤」ではなく「基剤」にあたるところの成分を変更したり、注射剤をキット化することによって、より安全性や簡便性に配慮した優れた製品もあります。このような良い面も多数あります。こういう努力をみると「頑張れジェネリック!」と言いたくなります。

3)医薬品情報(副作用情報など)について
先に記したように薬品には主剤以外に基剤があり、基剤が異なっているため副作用が全く同一かどうかはわかりません。外用剤による「かぶれ」をとっても基剤の成分による「かぶれ」があるように、先発品メーカーの副作用情報がそのまま後発品にあてはまることはないと考えます。また、先発品メーカーと比較すると医師や薬剤師への医薬品の情報提供が手薄に思われます。改善を期待したいと思います。

4)一般名処方と代替調剤について
一般名処方とは医師が薬剤の商品名ではなく、一般名(成分名)で処方する(例えば、イトリゾールではなくてイトラコナゾール)ことで、薬剤師が先発あるいは後発医薬品の中から患者様に情報を説明して薬剤を選択できるシステムですが、院外処方では実際の製品として何が使用されているかが不明です。TVコマーシャルのいう如く「先発品と後発品の効果が同じ(少なくとも基剤が異なっているにも関わらず、本当にここまで表現して許されるのであろうか?基剤の違いによる副作用発現などに関して情報は十分に蓄積されているのであろうか?)」という前提に立って、初めてこうした処方法はなされるものだと思います。代替調剤とは薬剤師が患者様へ説明後に医師の了解なしに同一成分薬へ切り替えることを言いますが、現時点では薬効の大きい薬剤の変更には抵抗感を覚えます。薬価差益で薬剤が選択される可能性もありますし、私自身がジェネリック医薬品について把握しきれていないことも一因です。

5)皮膚科関連のジェネリック医薬品について
①抗真菌内服薬
イトリゾールのジェネリックについては、「不特定残留溶媒総量が多い」「元来吸収性が良くないとされている薬剤であるのに、空腹時データしかない」ものや、「イヌの試験において薬剤血漿中濃度が先発品より低いものが存在する」などの報告から、採用を見送っています。ラミシールのジェネリックについては、発売されて間もなく、相当数のメーカーから販売されていて未だ比較された報告もないことから、現時点では未採用としています。今後の検討課題です。
②抗アレルギー薬
血中薬物動態は先発品と大差ないとされています。臨床効果の差の有無に関する報告は少ないようです。
③抗ウイルス薬
ゾビラックスのジェネリックには先発品には存在しなかった内服ゼリー、シロップ、ドライシロップなどがあります。
④抗生物質
内服抗菌薬は一般的に試用期間が短く、あえて臨床的に有用性が同等であるとの報告が少ない薬剤を選択する必要がどこまであるのでしょうか? 長期内服する抗アレルギー薬などと比較すると価格差は大きくないと思われます。
⑤ステロイド外用薬
種類が非常に多く、既存の先発品の中にも使用経験のないものもあり、基剤の違いによる薬効の差、さらには多剤との混合の際の問題(組み合わせによってはpHのために薬効が失活するなど)などが危惧されるため、現時点では先発品にない剤形の薬剤のみの導入に留まっています(先発品には軟膏とクリーム基剤しかなく、後発品にはローション剤が存在する場合など)。

現時点では未だジェネリック医薬品に関して十分に議論されているとは思われず、情報も少ない状況であり、「ジェネリックを選択する」ことには選択者(医師、薬剤師、患者)に自己責任というリスクも危惧されます。ある先発品メーカーのMR氏が「自分の会社が、特許が切れれば、薬価をうんと安くすればいいのに…」と言った言葉が印象的でした。先発品にはない工夫がなされたジェネリックに期待したいと思います。

下記資料を参考あるいは一部引用いたしました。
オレンジブック総合版, ②日本ジェネリック研究会, ③澤 明、根本 治 編集:ジェネリック・ガイド Monthly Book Derma.No.113,全日本病院出版会,2006
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2006年12月08日

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